【元日産自動車エンジニア】日産 セレナe-POWERハイウェイスター~試乗して分かった、ココが凄い!ここがダメ!~ 【新型車インプレッション】

新たなフロントマスクを手に入れたセレナ。これまで、デザインや内装の使い勝手の良さはレポートしてきた通り、魅力的な点が多くありました。そして、セレナのもう一つ魅力が、e-POWERやプロパイロットをはじめとする先進の走行技術です。

今回、セレナe-POWERハイウェイスターに、高速道や一般道、そしてワインディングまで試乗しました。元日産自動車エンジニアの筆者が、古巣に忖度一切なしで、ご紹介します。

文・吉川 賢一/写真・鈴木 祐子

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良い点 ①重たい車体を軽々と走らせるe-POWERドライブ
良い点 ②運転席からの視界が優れていて安心
気になる点 ①ステアリングアシスト制御によってハンドルが左右に振れる
気になる点 ②カタログ燃費と実燃費の乖離が大きい

良い点 ①重たい車体を軽々と走らせるe-POWERドライブ

2019 日産 セレナ ハイウェイスター e-power

e-POWERのメリットとして、よくワンペダルドライブが注目されますが、本来のウリは発進時の力強い加速にあります。1.8tという重たいクルマを、停車時からスルスルと加速させるあのパワーは、慣れてしまうと病みつきになります。

e-POWER車に一度乗ってしまうと、普通のガソリン車が古臭く感じてしまうほど、e-POWERは次元が違う走行フィールです。

2019 日産 セレナ ハイウェイスター e-power

逆にワンペダルドライブは確かに面白い運転感覚ではありますが、セレナのキャラクターには合っていないように思います。運転者のアクセルペダル操作のスキルによって、加減速がギクシャクしてしまうのです。

ワンペダルドライブを楽しく感じるのは運転者だけですから、大人数を乗せて移動をするときなどには使用しないことをお薦めします。

良い点 ②運転席からの視界が優れていて安心

2019 日産 セレナ ハイウェイスター e-power

e-POWERの効果だけではなく、運転席からの見晴らしの良さも、セレナのドライブフィールに貢献しています。フロントウインドウやサイドウインドウ、そしてAピラー下の小窓まで、非常に大きくつくられています。さらに、ドライバーの着座位置が高く、上から見下ろすようになる視界となっているため、視認性と開放感が非常に高いです。

2019 日産 セレナ ハイウェイスター e-power

この開放的な空間を味わえるだけでもセレナには価値があります。しかも、1列目だけでなく、2列目や3列目でも、視界が優れていますので、家族や仲間たちと長距離旅行の際など、セレナはベストチョイスだといえるでしょう。

気になる点 ①ステアリングアシスト制御によってハンドルが左右に振れる

2019 日産 セレナ ハイウェイスター e-power

プロパイロットは、高速運転中の頼もしい味方であり、快適性と疲れにくさを実現してくれるシステムです。LKA(レーンでのハンドル角修正制御)を備えており、車線間の中央を走行するようにハンドルを修正してくれるのですが、今回のセレナでは、この修正が頻繁に入る点が気になりました。

2019 日産 セレナ ハイウェイスター e-power

通常、こうしたシステムは、前方にある白線をカメラでモニターしてステアリングをコントロールしています。遠くの白線を見るほどに滑らかなハンドル修正となりますが、車線の中央からはズレやすい、という面もあります。セレナの場合は、すぐそばの白線を見ている印象です。

車線の中央を維持しようとする意識が強く、レーンから少しでも外れようものならば、ハンドルの修正が頻繁に入ります。気になりだすときりがない性能なのですが、もう少し滑らかな制御となるように、改善が望まれます。

気になる点 ②カタログ燃費と実燃費の乖離が大きい

2019 日産 セレナ ハイウェイスター e-power

セレナe-POWERのJC08モード燃費は26.2km/Lですので、実質0.8掛けの21km/Lは出てほしいものですが、高速道路メインの走行時の燃費は17km/L、一般道メインの走行では13km/Lと、実際とのギャップが大きくなってしまいました。

エアコンは常時ON、乗員2名と機材が50kgほどでしたので、荷物を満載しているコンディションではありません。重たいボディーを、e-POWERで動かすことはできても、ガソリン消費量はその分増えてしまうのだと認識させられました。

大人数で移動をする機会もあるミニバンですが、乗員が増えるほど、燃費はさらに悪くなるでしょう。

日産 ノート e-POWER

ノートe-POWERでは、実燃費で20km/Lを楽々と超える結果をたたき出していましたので、クルマが重たいセレナe-POWERの燃費には、過度な期待はしない方が良いかもしれません。

2019 日産 セレナ ハイウェイスター e-power

マイナーチェンジをしたセレナ、これまで控えめだったフロントフェイスも、ハイウェイスターでは遂にライバルミニバンと戦えるほどにド派手なフロントフェイスとなりました。積極的にハンドル操作をするクルマではありませんが、プロパイロットを活用して大人数で快適に長距離移動をしたい方には、ぴったりなクルマです。

2019 日産 セレナ ハイウェイスター e-power

ただし、プロパイロットや10インチナビゲーションモニターなど、便利なオプション装備を選択していくと、購入価格が跳ね上がります。試乗車では440万円ほどになっていました。ユーザーとしては、どれが必要な装備でどれが過剰な装備なのか、冷静な目で見て無駄のないオプション選択をオススメします。

吉川 賢一|よしかわ けんいち

モーターエンジニア兼YouTubeクリエイター。11年間、日産自動車にて操縦安定性-乗心地の性能技術開発を担当。次世代車の先行開発を経て、スカイラインやフーガ等のFR高級車開発に従事。その後、クルマの持つ「本音と建前」を情報発信していきたいと考え、2016年10月に日産自動車を退職。ライター兼YouTube動画作成をしながら、モータージャーナリストへのキャリア形成を目指している。

吉川 賢一|よしかわ けんいち