なぜスズキはインドで人気No.1のクルマなのか?海外進出成功のカギとは!?

スズキ インド市場

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インド国内で最も売れている自動車メーカーは、スズキです。そのシェアは、なんと50%を超えるほどなのです。

トヨタや日産、他の海外メーカーも進出している中、スズキが成功している理由はどこにあるのでしょうか。

吉田 恒道|よしだ つねみち

1980年代、大学卒業後ファッション・モード専門誌「WWD Japan」編集部勤務を皮切りに編集者としてのキャリアを積む。その後、90年〜2000年代、中堅出版社ダイヤモンド社の自動車専門誌・副編集長に就く。以降、男性ライフスタイル誌「Straight’」(扶桑社)など複数の男性誌編集長を歴任し独立、フリーランスのエディターに、現職。著書に「シングルモルトの愉しみ方」(学習研究社)がある。

吉田 恒道
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スズキがインドで成功したカギは、スピーディな参入と、徹底したローカライズ

スズキがインドで成功したカギは、スピーディな参入と、徹底したローカライズ

インド自動車工業会の発表によると、インド国内での2021年の乗用車販売台数は出荷ベースで308万台でした。

12月単月でメーカーごとのシェアを見てみると、マルチ・スズキは56.0%、韓国最大手である現代が14.7%、起亜自動車が3.5%、地元メーカーであるマヒンドラ&マヒンドラが8%、日系メーカーであるトヨタ・キルロスカが4.9%、日産が1.3%のシェア率となっています。

このことから、インド市場ではほぼスズキ1強であることが分かるのではないでしょうか。

インド市場でのスズキの成功の裏には、当時の鈴木会長の先見の明とスピーディな動きがあったとされます。

スズキがインドに参入したのは、1982年のことです。当時、インド国内の自動車市場は発展途上であり、国民に広く自動車を普及させることができる車造りができる海外メーカーを探していました。

そこにスズキが名乗りをあげ、1981年に設立されたインド国営のマルチ・ウドヨグ社との合弁会社になり、現在にいたっています。

同時期にトヨタも乗用車でのインド参入を図っていますが認可が降りず、1983年になって現地資本との合弁でDCMトヨタを設立し、1985年になってようやくダイナの生産・販売にこぎつけることができたほどなのです。
また、インドに住む人々が求める車造りを徹底している点も、インドでのスズキの強さの要因となっているようです。

スズキがインドで初めて製造・販売を手がけたのは1983年にデビューしたマルチ800というモデルでした。これは、2代目アルトをベースとしてインド国内向けに改修したものであり、販売価格は現在の貨幣価値に換算しておよそ32万円ほどです。

当時インドで市販されていたモデルと比較すると非常に安価であり、故障も少なかったことから人気車種となり、2014年の生産終了までおよそ30年に渡って販売されるロングセラーとなっています。

マルチ800の存在は、スズキがインド国内で信頼を得た大きな要因の1つでしょう。しかし、その後もスズキは現在に至るまで現地の要望に応えるモデルを生み出し続けています。

ラインナップの多くは現地の税法に対応するため、全長を4メートル未満に収めたり、日本と異なる道路状況を考慮して最低地上高を上げるなどの工夫が行われています。

インド独自のモデルも豊富であり、ニーズや予算に合わせて選べる体制を整えているために、スズキはインド国内で大きなシェアを占めることに成功しているといえるのではないでしょうか。

現在、インドの自動車市場は世界でも有数の巨大市場になっています。そのような市場にあって、スズキはこれからも日系メーカーとして強い存在感を放ち続けるでしょう。
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