ナンバープレートの地域名は選べる?意外と知らない制度と変更のリアル

ナンバープレート

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車のナンバープレートには、「品川」「世田谷」「練馬」など地域名が表記されています。この地域名は車が登録されたエリアを示すものですが、じつはこれに特別なイメージを抱く人も少なくありません。例えば「品川ナンバーはお金持ちが多そう」「足立ナンバーは怖い」といった都市伝説のような評判もあり、憧れから「自分の車を◯◯ナンバーにしたい!」と思う方もいるでしょう。しかし、本当に好きな地域名にナンバープレートをすることはできるのでしょうか?

CARPRIME編集部

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Chapter
ナンバープレートの地域名はどうやって決まる?
原則は「使用の本拠の位置」を管轄する運輸支局名
「使用の本拠の位置」とは?
地名は選べない! 引っ越した場合の手続き
豆知識:遠く離れていても「品川」ナンバー?!
希望ナンバー制度で地域名も選べるの?
増え続ける地域名表示:「ご当地ナンバー」
地域振興のための新制度「ご当地ナンバー」とは?
全国に広がるご当地ナンバーの歴史と具体例
ご当地ナンバーのルールと「図柄入りナンバー」との違い
好きな地域名に変えるには?ナンバー変更の手続きと注意点
まとめ

ナンバープレートの地域名はどうやって決まる?

原則は「使用の本拠の位置」を管轄する運輸支局名

まず、ナンバープレート上部に表示される地域名(地名部分)は、基本的に車を使用・保管する場所(使用の本拠の位置)によって決まります。

この地名表示は、そのナンバープレートを交付した運輸支局や自動車検査登録事務所の所在地を表しており、車の所有者(使用者)の住所地などを管轄する運輸支局等の名称が、ナンバープレートの地名になる仕組みです。

言い換えれば、「車庫証明」を取得した場所=車の使用の本拠地の地名がプレートに刻まれることになります。

「使用の本拠の位置」とは?

「使用の本拠の位置」とは、車の持ち主(または管理者)の所在地のことで、通常は所有者の住民票に記載された住所がこれにあたります。

ただし、住民票がある場所でなくても、単身赴任先の住所や別荘の所在地など、実際に車を主に使用・保管する場所があれば、その場所を「使用の本拠の位置」として登録することも可能です。その場合、公共料金の領収書や郵便物などが「生活の実態」を証明する書類として必要になることがあります。

要は「生活の実態」がある地域以外で、好き勝手に地域名を選ぶことはできないということです。

地名は選べない! 引っ越した場合の手続き

例えば、東京都内であれば居住地によって「品川」「練馬」「足立」などのナンバーが割り当てられます。品川区や港区など都心部の特定地域に住んでいれば品川ナンバー、練馬区に住めば練馬ナンバー、といった具合です。現住所とは異なる地域名のナンバーを希望しても、基本的にはその土地に居住(または使用拠点がある)ことが前提となります。

なお、引っ越しなどで管轄の運輸支局が変わるエリアに移動した場合には、15日以内に車の登録情報(使用の本拠の位置)を変更する必要があります。詳細は後述しますが、この住所変更手続きに伴ってナンバープレートの地域名も変更となり、新しい土地の運輸支局名が入ったナンバープレートに付け替えることになります。

豆知識:遠く離れていても「品川」ナンバー?!

ところで、「品川ナンバー」と聞くと東京23区のイメージですが、実は東京から約1000kmも離れた小笠原諸島の車にも「品川」ナンバーが付与されています。小笠原諸島は東京都に属しますが島しょ地域には運輸支局が存在しないため、品川にある東京運輸支局本庁が管轄しているからです。

同様に伊豆大島や八丈島など東京都内の離島部の車も品川ナンバーとなっています。距離的には遠く離れていても、行政上の管轄がどこに属するかで地域名表示が決まる一例と言えるでしょう。

希望ナンバー制度で地域名も選べるの?

結論から言えば、希望ナンバー制度を利用してもナンバープレートの地域名を自由に選ぶことはできません

希望ナンバー制度とは、ユーザーが希望する数字(番号)をナンバーに指定できる制度で、1999年から導入されました。これはナンバー下部の4桁などの「一連指定番号」部分を自分の好きな数字にできる制度です。しかし地域名表示や分類番号、ひらがな部分は希望ナンバー制度の対象外であり、変更・選択はできない決まりになっています。

希望ナンバー制度では例えば「・・77」や「・・・1」のような語呂合わせや人気の番号を選ぶことができます。抽選対象の人気番号(「1」「7」「8」「88-88」など)は申請が集中した場合、抽選に当選しないと取得できませんが、それでもあくまで選べるのは番号部分のみです。ナンバープレート上部の地名は前述のとおり車の使用本拠地で決まるため、希望ナンバー制度で地域名まで変えることは不可能なのです。

では時折見かける、今までに無かった地名のナンバープレートは一体何なの?と思う方もいるでしょう。それは希望ナンバー制度によるものではなく、次に説明する「ご当地ナンバー」と呼ばれる制度によって誕生した新しい地域名表示のナンバーです。

増え続ける地域名表示:「ご当地ナンバー」

ご当地ナンバー 岩手 2019

ご当地ナンバー 岩手

地域振興のための新制度「ご当地ナンバー」とは?

ご当地ナンバーとは、従来存在しなかった新たな地域名表示のナンバープレートのことです。国土交通省が2006年に開始した制度で、地域振興や観光振興を目的として、運輸支局などを新設することなく、特定の地域に独自の地名を表示できるようにしたものです。

簡単に言えば、一定の要件を満たした地域からの要望に基づき「ご当地ナンバー」の導入が認められ、その地域の名前をナンバープレートの地名として採用できる仕組みです。

全国に広がるご当地ナンバーの歴史と具体例

この制度により、2006年10月以降、全国各地で新しいナンバープレートの地名が次々と誕生しました。例えば三重県の「鈴鹿」「伊勢志摩」、山梨・静岡両県にまたがる「富士山」ナンバーなどは、ご当地ナンバー制度の第1弾として導入された地名です。

その後も導入は段階的に進み、2014年には「世田谷」「杉並」などが、2020年には「知床」「飛鳥」などが追加されました。直近では2023年10月に「秋田」「那須」「岡崎」など10地域が新たに加わり、現在(2025年時点)では全国で54地域にまで広がっています。こうしたご当地ナンバーは、地域住民の愛着向上やPR効果を狙って導入されています。

ご当地ナンバーが導入された地域では、新たな地名が選択肢に加わりますが、誰でも自由に選べるわけではありません。その地名が示すエリア内に「使用の本拠の位置」を持つ車でなければ交付されない点は、通常のナンバープレートと同様です。例えば「富士山ナンバー」は、対象地域(山梨県富士吉田市など)で登録された車しか取得できません。

ご当地ナンバーのルールと「図柄入りナンバー」との違い

ちなみに、ご当地ナンバーと混同されやすいものに「図柄入りナンバープレート」の制度があります。これは、各地域の風景や名産品などをデザインしたプレートを選べる制度で、地名そのものを変更するものではありません。例えば「湘南」ナンバーの車が、デザインが施された図柄入り「湘南」プレートを付ける、といった形になります。地域名はあくまで管轄エリアに応じた名称となります。

好きな地域名に変えるには?ナンバー変更の手続きと注意点

「やっぱりどうしても憧れの地域名ナンバーにしたい!」という場合、現実的な方法はその地域で車を登録すること(=その土地に住所を移すこと)です。前述の通り、ナンバーの地名は使用本拠地で決まるため、対象エリアに引っ越すか、もしくはその地域で車庫証明を取得できる拠点を確保する必要があります。

実際に親戚や知人の住所を借りて住民票を移し、駐車場を確保して他地域のナンバーへ変更登録すること自体は制度上可能です(ただし居住実態がないと違法になる恐れがあり推奨できません)。虚偽の住所で登録する「車庫飛ばし」は法律違反となりますので注意してください。あくまで正規の方法でその土地に生活拠点を置く場合に限り、結果的に希望の地域名ナンバーを手に入れられるということになります。

では、引っ越しなど正当な理由でナンバープレートの地域名を変更するには具体的にどのような手続きが必要なのでしょうか。ここではナンバー変更(住所変更)時の基本的な流れを押さえておきましょう。
1. 新住所での車庫証明を取得する
引っ越し先で駐車場を確保し、所轄の警察署で車庫証明を申請・取得します(※自家用普通車の場合。軽自動車は地域によって車庫証明不要エリアもあります)。

2. 運輸支局で変更登録手続きを行う
新しい所在地を管轄する陸運局(運輸支局)にて、車検証の住所変更(変更登録)を行います。必要書類は新住所の住民票(または使用本拠を示す書類)、現在の車検証、車庫証明書、本人確認書類、印鑑などです。予約制の運輸支局も多いので事前に確認しましょう

3. 現在のナンバープレートを返納し、新しいナンバーを受け取る
窓口で登録が完了したら、現在ついている古いナンバープレートを返却し、新しい地域名のプレートが交付されます。封印が必要な後部プレートはその場で取り付け・封印してもらいます。

4. 自動車保険やETC、住所情報の更新
忘れずに自動車保険(任意保険)の登録住所や、ETC車載器の情報、カーナビの登録住所なども新住所に変更しておきましょう。自動車税の送付先も新住所になります。
以上が大まかな流れです。特に他都道府県への転居など大きく管轄が変わる場合には、引っ越し後15日以内に所定の変更登録を行うことが法律で義務付けられています。ナンバープレート自体を付け替えなくても直ちに罰せられることはありませんが、車検証の登録住所変更を怠ると道路運送車両法第12条違反となり最大50万円以下の罰金が科される可能性があります。

加えて、自動車税の納税通知書やリコールの案内が旧住所に送られてしまい受け取れなくなるなどの不都合も生じます。引っ越した際は運転免許証の住所変更とともに、必ず車検証(ナンバー)と車庫証明の変更手続きも速やかに行いましょう。

まとめ

ナンバープレートの地域名にまつわる制度と変更の実情について解説しました。基本的にナンバーの地名は自分で選べるものではなく、自家用車であれば自分の生活拠点に応じて自動的に決まるものです。

しかし、ご当地ナンバー制度によって地名のバリエーションが増えたり、「品川ナンバー」に代表されるようなステータス的イメージが語られたりと、ナンバープレートの地域名は意外に奥が深いトピックでもあります。今回ご紹介した知識を踏まえて、愛車のナンバー地名にもぜひ注目してみてください。好きな土地のナンバーに憧れる気持ちも大切にしつつ、ルールの範囲内でカーライフを楽しみましょう。
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