【プロ解説】トヨタ ヤリスを歴史とともに徹底解説!!

トヨタ ヤリス

2020年2月10日に販売開始されたコンパクトカーのトヨタ ヤリス。ルーツは1999年に登場したコンパクトカーのトヨタ ヴィッツです。

3世代に渡って国内ではヴィッツというネーミングで販売されていましたが、現行モデルはヴィッツではなく海外で使用されている名称のヤリスに統一されました。

名前だけでなく、イチから新開発されたヤリスは、従来のコンパクトカーの域を超える「上質な乗り心地」と「最新の安全・安心技術」を備えています。

また、全長3,950mm×全幅1,695mm×全高1,500mm(4WD車は1,515mm)というコンパクトなボディを活かした「軽快なハンドリング」が特徴となっています。

文・写真/萩原 文博

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初代モデル

初代モデル

現行型ヤリスのボディ骨格は新開発されたコンパクトカー向けのTNGAプラットフォームを採用しています。従来型に比べて車両重量を50kgの軽量化と同時にねじり剛性を30%以上強化。さらに車両の重心高を15mm下げることで、優れた操縦安定性と上質な乗り心地を両立しました。

外観デザインは「B-Dash!」がコンセプト。大胆(BOLD)に、活発(BRISK)、そして美しい(BEAUTY)を具現化し鋭い加速で、弾丸のようにダッシュ!するイメージを想起させる無駄を削ぎ落とした今にも走り出しそうな凝縮したデザインを採用しています。

シャープな印象のヘッドライトで精悍なフロントマスクを表現。そして、リヤは一体的に造形されたウィンドウとコンビネーションンランプが新しい3次元的なグラフィックとなり、かなりアグレッシブなデザインとなっています。

インテリアデザインも外観同様に無駄を削ぎ落として広さと快適さを確保しつつ、ドライバーが運転に集中できる空間を実現しました。インパネの断面を薄くすることで、ワイド感を強調。さらにハンドルを従来型より小型化することで、室内をより広くスポーティな印象を演出しています。

また、トヨタ初となるフードレス双眼デジタルTFTメーターやソフトインストルメントパネルを採用。またコンソールの幅を広くし、収納スペースを確保するなど利便性の高い室内空間となっています。

ヤリス搭載されるパワートレインは3種類。最高出力69ps、最大トルク92Nmを発生する1L直列3気筒DOHCエンジンをはじめ、高速燃焼技術などを採用し、最高出力120ps、最大トルク145Nmを発生し、低燃費と高出力を両立した新開発の1.5L直列3気筒ダイナミックフォースエンジン。

そして、この1.5Lガソリンエンジンにモーターを組み合わせた新世代のハイブリッドシステムとなります。組み合わされるトランスミッションはCVTを中心としていますが、すべて新開発されています。なかでも1.5Lガソリンエンジンには発進用ギア付のダイレクトシフトCVTユニットを採用。

従来のCVTに対して低速域での伝達効率を大幅に改善。CVTにありがちな空走感を減らし、アクセル操作に応じたダイレクトでスムーズな走りを実現しています。また1.5Lガソリン2WD車には6速MTを設定しているのが特徴です。

駆動方式は2WD(FF)を中心に1.5Lガソリン車には4WD、ハイブリッド車にはモーターで後輪を駆動させるE-Fourを用意しています。燃費性能はより実燃費に近いWLTCモードで、1Lガソリン車が20.2km/L、1.5Lガソリン車が19.2~21.6km/L、そしてハイブリッド車は30.2~36.0km/Lという優れた燃費性能を実現しています。

注目が高まっている運転支援システムですが、新型ヤリスは最新の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」を標準装備(X Bパッケージを除く)としています。衝突被害軽減ブレーキのプリクラッシュセーフティは昼間・夜間の歩行者検知および昼間の自転車運転者の検知が可能です。

さらに右折時の対向直進車や右左折後の横断歩行者も検知対象となり、万が一の交差点事故への対応範囲を拡大させています。また、低速時の事故予防をサポートする「低速時加速抑制」機能をトヨタ車として初搭載。この機能は自車の直前にいる歩行者、自転車運転者、車両をミリ波レーダーと単眼カメラで認識。

前方に対象物がある状況で、停車または徐行状態からアクセルペダルを必要以上に強く踏まれた場合にはエンジン出力を抑制または弱いブレーキをかけるというもの。ペダルの踏み間違いによる事故の回避または被害軽減に効果を発揮します。

高速道路などで、前方車両の追従走行を支援する「レーダークルーズコントロール」そして同一車線内中央を走行できるようにハンドル操作を支援する「レーントレーシングアシスト」を装備しドライバーをサポート。加えてトヨタ車初となる最新鋭の高度駐車支援システム「アドバンスド・パーク」を採用。

この機能は駐車時にハンドルだけでなく、アクセルやブレーキも制御し、駐車に必要な操作を支援するというもの。カメラと超音波センサーによって周囲を監視し、万が一の場合は警報とブレーキ制御で接触回避を支援してくれます。さらに事前に駐車位置を登録しておけば、白線のない駐車場でもこのシステムが使用可能となっています。

最新のコネクティッドサービスではスマートフォンとの連携可能なディスプレイオーディオおよびDCM(車載通信機)を新型ヤリスは全車に標準装備。スマートフォンとの機能を連携するとともに、全てのユーザーがコネクティッドサービスを利用可能可能となっています。

さらにT-Connectやオプションサービスを契約すれば、さらに充実したサービスを受けることができます。ヤリスは2020年11月にトヨタのサブスクリプションサービスKINTO専用の「KINTOツーリングセレクション」を設定しました。

このモデルはGグレードをベースに、ブラックを基調とした内外装に、ブラックのカーボン調フィルムを施したルーフやブラック塗装のドアミラー、専用のアルミホイールを採用。さらに、ボディ剛性や足回りのチューニングを中心に開発。ブレース追加など最適なボディ剛性を実現したモデルです。

さらに、2021年5月には一部改良を実施し、安全・安心装備を充実させています。

現行型ヤリスは、販売開始から1年半が経過しましたが、2021年5月に早くも一部改良を行い、運転支援システムなどの安全装備をアップデートするなど積極的に安全性を向上させています。

なかでも、ペダルの踏み間違いによる急加速を抑制するプラスサポートや乗車前にエアコンなどの操作が可能なリモートスタート(アプリ)をT-Connectサービスに設定などは、幅広い年齢層に支持されるヤリスらしい装備の充実と言えます。

萩原 文博|はぎはら ふみひろ

1970年生まれ。10代後半で走り屋デビューし、大学在学中に中古車情報誌の編集部にアルバイトとして加入。1995年より編集部員として編集作業に本格的に携わる。中古車の流通、販売店に精通し、「中古車相場師」として活動。2006年からフリーランスの編集者となり、中古車だけでなく、現在は日本で最も多くの広報車両を借り出して取材を行い、新車でもユーザー視点のバイヤーズガイドを中心に、人気車種の動向や流行りの装備の価値評価などを加味した、総合的に買いのクルマ・グレードの紹介をモットーとしている。

萩原 文博