トヨタ 2代目センチュリーはシートアレンジできる?最高級乗用車の実力は?(DBA-GZG50/TA-GZG50(改)/TA-GZG50/E-GZG50)

トヨタ 2代目センチュリー

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トヨタ 2代目センチュリー(DBA-GZG50/TA-GZG50(改)/TA-GZG50/E-GZG50)のシートアレンジについて解説します。

トヨタ センチュリーは1967年の登場以来、皇室や官公庁、各業界のトップたちに愛されてきたクルマです。一般的には上流階級のクルマのイメージが浸透していますが、中古車として個人で購入する人も一定数おり、安定した人気と存在感を誇っています。

ラグジュアリーなクルマの代名詞でもあるセンチュリーですが、実用性、特にシートアレンジについてはあまり高くない一方でその他の機能が充実しているのです。

今回は、センチュリーのシートアレンジについて、詳しく説明します。

吉田 恒道|よしだ つねみち

1980年代、大学卒業後ファッション・モード専門誌「WWD Japan」編集部勤務を皮切りに編集者としてのキャリアを積む。その後、90年〜2000年代、中堅出版社ダイヤモンド社の自動車専門誌・副編集長に就く。以降、男性ライフスタイル誌「Straight’」(扶桑社)など複数の男性誌編集長を歴任し独立、フリーランスのエディターに、現職。著書に「シングルモルトの愉しみ方」(学習研究社)がある。

吉田 恒道
Chapter
トヨタ 2代目センチュリーとはどんなクルマ?
トヨタ 2代目センチュリーのコンセプト「ショーファー・ドリブン」
トヨタ 2代目センチュリーのリアシートはシートアレンジはできない!
トヨタ 2代目センチュリーの助手席もシートアレンジはできない
トヨタ 2代目センチュリーのシートの特徴は素晴らしい!

トヨタ 2代目センチュリーとはどんなクルマ?

トヨタ センチュリーは1967年の発売開始から現在に至るまで、54年の長きにわたって日本のクルマ市場に存在する最高級乗用車です。名前の由来はトヨタ自動車の初代社長、豊田佐吉氏の生誕100年の節目の年に誕生したことから「センチュリー(世紀)」と命名されました。

主な用途は一般的な乗用車としての役割ではなく、リアシート(後席)に要人やゲストを乗せることです。センチュリー自体は一般のユーザーでも購入できるものの、新車価格の値段やイメージからあまり普及していません。

中古車市場でもそれなりの台数は存在しますが、決して多いというわけでもありません。

センチュリーの新車価格が高いのは、その特殊な製造工程にあります。

通常のトヨタ車は「トヨタ生産方式」と呼ばれるクルマ作りの理念に基づいて製造されます。しかし、センチュリーの場合は、受注を受けてから熟練の職人が手作業で組み上げる方式を採用しているため、完成・納車までに時間と労力を要するのです。

フロントグリルに設えられる鳳凰のエンブレムは、完成までに1か月を要することからも分かるとおり、並大抵ではない労力がかかっています。

エンジンは5.0L V型12気筒ですが、12気筒すべてがすべて一体になっているわけではありません。センチュリーは要人を乗せることを目的としたクルマであるため、エンジントラブルによる走行不能は避けたいところです。

そこで、エンジンを6気筒ずつ左右に分離しています。万が一片側のエンジンに異常が発生しても、もう片側のエンジンで走行できるように設計されているのです。緊急事態への備えも鑑みたセンチュリーの設計には、今でも目を見張るものがあります。

トヨタ 2代目センチュリーのコンセプト「ショーファー・ドリブン」

トヨタ センチュリーのシートアレンジの解説に入る前に、センチュリーのコンセプトについて説明をしておきます。結論から言えば、このコンセプトのためにセンチュリーのシートアレンジはまったくと言っていいほどできないのです。

「ショーファー」とはフランス語で「お抱え運転手」を意味する言葉です。それに「運転する」の意味を持つ言葉をくっつけているため、直訳すると「お抱え運転手が運転するクルマ」という意味になります。

センチュリーはこの「ショーファー・ドリブン」に入るため、所有者が直接運転席に座って運転するわけではなく、専属の運転手が所有者を目的地まで運ぶために運転するクルマなのです。

もちろん、オーナーが運転免許を持っていれば自分で運転することもできますが、多くの場合はリアシートに座ります。センチュリーのコンセプト上、運転席周辺よりもリアシート周辺の座り心地に力を入れているのです。

事実、センチュリーのリアシートとその周辺の機能は、フロントシート(前席)周辺よりも整備されています。クルマのオーナーやゲストは後部座席に乗ることを前提に作ることが「ショーファー・ドリブン」の使命とも言うべきものなので、このコンセプトなしでセンチュリーを語ることはできません。

このことを念頭に置くと、なぜセンチュリーではシートアレンジができないのかがお分かりいただけるでしょう。

トヨタ 2代目センチュリーのリアシートはシートアレンジはできない!

結論から言ってしまうと、トヨタ センチュリーでのシートアレンジはできません。リクライニング機構などはあるものの、それでもささやかなものです。

前述のとおりセンチュリーのコンセプトはあくまでも「ショーファー・ドリブン」であり、要人やゲストを快適に目的地まで運ぶためのものです。そのため、リアシートをアレンジする想定では設計されていません。

そもそもセンチュリーの車両形状はセダンであり、ラゲッジルーム(荷室)と乗車空間は一体にはなっておらず、分離されています。よくクーペと混同する人がいますが、クーペはラゲッジルームと乗車スペースがつながっており、リアシートをアレンジすることでラゲッジスペースの拡大ができます。

しかし、セダンの場合は与えられたラゲッジルームを有効活用するか、リアシートを第2のラゲッジルームとして使うかの二択です。センチュリーのラゲッジルームは500L と大容量で、大概のものはラゲッジルームだけで事足ります。

しかし、シートアレンジができないためあまりに長いものは載せることができません。加えて「ショーファー・ドリブン」の特別仕様のシートはものを置くスペースではなく人を載せるスペースです。

リアシート一体を第2のラゲッジルームとして使うのもやや気が引けるでしょう。どうしてもという場合は仕方ありませんが、シートの質感も抜群に良いため、ものを載せるには少々もったいない気もします。

トヨタ 2代目センチュリーの助手席もシートアレンジはできない

トヨタ センチュリーのシートアレンジができないのはリアシートだけではありません。フロントシート、特にシートアレンジではよくアレンジされる助手席もシートアレンジができないようになっているのです。

センチュリーのゲストはリアシートに座ることになるので、リクライニング機能で倒し切ってしまうと後ろのゲストに迷惑が掛かります。しかもリアシートのセンターには助手席の位置をコントロールするボタンも付いているため、実質主導権はリアシート側にあります。この状態で助手席のシートアレンジはできるわけがないでしょう。

気になるのは、センチュリーの助手席には誰が座る想定で作られているかです。リアシートが要人やゲストで、運転席は当然運転手です。

残る1席は、実は要人やゲストの秘書や通訳用の座席として想定されています。もちろん中には秘書や通訳を介さない要人やゲストもいるでしょうが、おそらくその可能性は非常に稀です。誰かしらのお世話係が運転手以外で必要になるような要人やゲストが乗るクルマに、そのお世話役が乗る席がないのも問題でしょう。

センチュリーは徹底的に乗車スペースは人のものであるスタンスを貫いているのです。

センチュリーはそもそもが一般大衆向けのクルマとして設計されたわけではありません。「ショーファー・ドリブン」として誕生したセンチュリーは、開発当初から一貫してそのスタンスを貫き続けてきました。

現行モデルとなる3代目を含めてそのスタンスは変わることなく現代まで受け継がれ、そして愛されています。シートアレンジができなく困るのは、一般大衆の反応であって、センチュリーがターゲットにしている顧客には無関係の話なのです。

トヨタ 2代目センチュリーのシートの特徴は素晴らしい!

シートアレンジはまったくできず、実用性の面ではあまり高いとは言えないトヨタ センチュリーですが、その真髄は人を乗せてこそ真価を発揮します。

センチュリーはそのコンセプトとターゲットの関係上、乗車空間とラゲッジルームを明確に区分しています。つまり、乗車空間のシートアレンジはなかったとしても、まったく問題がないのです。むしろ、センチュリーはシートアレンジがないことで、居住性や質感を向上させることに成功しているのです。

シートは標準仕様でウールファブリックを採用しており、通気性・遮熱性ともに非常に優れています。シートヒーター機能は標準装備であることに加えて、通気性を確保するために通気口がシート裏側に設けられているのです。これにより暑い日でも快適に座ることができるようになっています。

また、リアシートはリクライニング機能を使うと座面が自動で上下に稼働し、身体に負担のない位置に移動してくれます。ドアの開閉に合わせて初期位置に戻るので、わざわざ降車時に自分で位置を直す必要もありません。とにかくゲスト優先の、リアシートに特化したクルマなのです。

フロントシート、特に運転席周辺はリアシートの機能性とはまた違ったこだわりを見せています。居住性よりも操作性・実用性に軸足を置いたセンチュリーの運転席は、運転手が要人やゲストを安全に目的地まで送迎するために必要な装備が揃っています。

乗り心地こそリアシートには劣ってしまうものの、そもそもオーナー自らがハンドルを握るコンセプトのクルマではありません。だからと言ってそのほかをなおざりにしていないのがセンチュリーの特徴でもあります。

3代目へとバトンを引き継いだ2代目センチュリーも同様に、リアシートにはリアシートの、運転席には運転席の特徴とこだわりがあるのです。
トヨタ センチュリーのシートアレンジについて解説しました。

残念ながらシートアレンジができるクルマではありませんが、実際に乗ってみれば乗車スペースに荷物を置くことがいかにもったいなく感じる質感かがわかるでしょう。

現在は中古車で比較的手頃な値段で手に入るクルマなだけに、以前ほどの手に取りにくさはなくなりました。購入する際はあくまでも人を乗せることに特化したクルマだということを念頭において、使い道などを十分に検討しましょう。
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