センチュリーを中古で買ってみてどうだったのか?

2014年式/走行距離10万キロ/法人ワンオーナー/修復歴なし/価格324万円/色:神威エターナルブラック/ドアミラー/本革シート/オプション:ライティングテーブル

以上のセンチュリーをトヨタ中古車店で買ったという話は前編でいたしました。それから9ヶ月、約5000キロ乗りましたが、実際オーナーとなって乗ってみてどうだったのかについて今回の中編でお話ししたいと思います。

文/写真・大田中 秀一

Chapter
圧倒的な存在感に腰が引ける
人目を意識する
運転するといいもの感に幸せな気分
モンクのない後席
思わぬ副産物と気づき
気になる点は?

圧倒的な存在感に腰が引ける

トヨタ センチュリー

輸入高級車と違いデザイン面でも存在感の面でも実に控え目に思えるセンチュリーですが、どこで乗るかによるにしても基本的に存在感はかなりあり目立つ存在のようです。と、思うのは、信号待ちや渋滞中に視線を感じるからです。どういう意味で見ているのか知りませんよ。

「センチュリーだ~」と思ってクルマを見ているのか、クルマと乗っている人物の風体が合わないなと思って車内の私を見ているのか、いずれにしても見られている感はすごい。路上では間合いを取られている気もします。すべて気のせいかもしれませんが、とにかくそんな気がすることは確かです。

トヨタ センチュリー

物理的に実感するのはやはり駐車するとき。全長5,270 mm×全幅1,890 mmという堂々たるサイズなので立体駐車場で入るところはほとんどありません。入るのは銀座三越くらいでしょうか。玉川高島屋は、幅はぴったりですが長さが足りないのでギリギリ入りません。

平置きでも古い駐車場やコインパーキングでは、幅はいっぱいいっぱいなので乗り降りがしんどいし、前は若干はみ出しているし、とけっこう気を遣います…狭い道路での行き違いもかなり。

人目を意識する

トヨタ センチュリー

元々、目立つことが好きな性分なのですが、ちょっと目立ちすぎて困った感じです。実際に見られているかどうかは別として、とにかく人目が気になるようになりました。クルマをできるだけきれいに、そして磨かれている状態を保つことは当然ですが、乗るときの衣装も気になるようになってしまいました。

運転スタイルも、ブレーキペダルから足を離していきなりではなく、清水和夫のドライビングレッスンで教えられるようにクリープでタイヤが一回転くらいしてからじわりとアクセルを踏み込む、急にハンドルを切らない、ゆっくり切りゆっくり戻し、戻しきってからじわーっとアクセルを踏み込む。

急加減速をしないなど、クルマの挙動が激しくならないように、滑らかに品良く見えるようにしようとこれまで以上に心がけるようになりました。これには思わぬ副産物もあったのですがそれは後述します。何をそんなにと思われるかもしれませんが、全ては当初の目的”センチュリーらしく”あるためです。

運転するといいもの感に幸せな気分

トヨタ センチュリー

アクセルもブレーキも不自然なセッティングがされていないので実に自然な運転感覚です。ハンドルは意外にもクイックでいい反応します。これは予想外。これらは万が一の時にVIPを速やかに逃がすためにも必要なのかな?

アクセルをじわーっと踏み込んだときの5.0L V12エンジンの実に滑らかなこと。感無量です。これだけでも買った価値があった。V8ハイブリッドになってしまった新型が旧型を超えられない唯一の部分。

車内の静粛性も段違いなので、かなり遠いところにいる後席のパッセンジャーとの会話も実にしやすいし、心地いい。話しも弾みます。ハンドル操作を少々荒くしても後席の乗り心地にはそんなに影響しないということもトピックです。

トヨタ センチュリー

驚いたのはすごくコースティング(空走)すること。電車かと思うくらい。ちょっとアクセルを踏んですぐ戻してもかなりそのまま進みます。街中の信号の多い区間だと、発進で少し踏んだだけで次の信号まで空走していく感じ。

元々は燃費を良くするためにやってみたことですが、下り坂の先に登り坂がある場合などは、下り坂の始めでちょっとアクセルを踏み、登りのある程度まではノーアクセルで行けるように、登り区間に入ってブレーキを踏まないように且つ後ろをイライラさせないような絶妙な車間距離になるように考えて走るということもやっています。

高速道路ではコースティングがより感じられます。例えば、新東名上り東京方面の場合だと、新東名から東名に合流するために下るちょっと前に強めにアクセルを一度踏んですぐ戻したら厚木までノーアクセルで走れます。

と言うと、「そんなばかな」と言われます。合流してから御殿場インターまで緩く長い登り区間がありますし、大井松田インターから秦野中井まではけっこう急な登り坂もありますので。でも交通状況が良ければ、確かにノーアクセルは言い過ぎにしても2回か3回アクセルをじわりと踏み足すだけで厚木までたどり着くのは本当です。

5.0L V12エンジンにものを言わせて爆走するのもカッコ悪いと思い法定速度以下を守って走るし、昨今あおり運転と間違われても困るので車間距離は多めに取りつつも後ろをイライラさせてこっちがあおられないような間隔で走るようにもしています。

それは結果的には無駄なアクセルやアクセル直後のブレーキというもったいない事態を避け省燃費につながるとから思うから。できるだけ燃料費を節約したいということももちろんありますが、主題はセンチュリーをセンチュリーらしく走らせるためです。

モンクのない後席

トヨタ センチュリー

後席重視のクルマなので当然のことなのですが、リフレッシュ機能付きリクライニングシート/シートヒーター/シートファン・フットレスト/オットマンシート(助手席のシートバックの一部が開いて足を伸ばせる)/大きなアームレスト/ライト/鏡/テレビ/DVDビデオなど至れり尽くせり。

空調も運転席と助手席、後席は別々の温度設定ができるし、空調やオーディオ、助手席シートポジションなどたいていの操作は後席からできる。オーディオも後席重視モードがあり、どんな場合でもナビゲーション音声案内など後席の住人には必要のない音声は運転席横からしか聞こえないなどさすがです。

長いホイールベースによる広い足下と低いサイドシルによって乗り降りが実にしやすく、靴がひっかかることもない。天井やドア、シートバックについている太くて長いグリップは、特に高齢者が乗り降りするときには嬉しい。これまで一緒に乗った人たちは全員、後席に座ってもらいましたが大変好評でした。

特に両親からはモンク一つ出ない。これまでは趣味性の高いクルマばかりだったので、「狭い」「乗り心地が悪い」「古い」など苦情がたくさんありましたが、センチュリーには実にゴキゲンで乗ってくれています。

100キロ先の温泉に連れて行ったときです、帰りは遠回りしようと言いだし結局一泊二日で300キロくらい走りましたが、なんのモンクも出なかったばかりか、「このまま北海道旅行に行こうか」と軽口まで出る始末。それだけ快適だったということでしょう。

思わぬ副産物と気づき

トヨタ センチュリー

上述したようなイメージと手法で運転しているわけですが、一番の副産物は燃費です。高速道路で8km/L少々、一般道でも7km/L以上は走ります。5.0L V12としてはかなり優秀なのではないでしょうか。アクセルを踏んでいる時間がものすごく短くなった効果もきっとあるでしょう。カタログで確認したらJC08モードで7.6km/Lだったので、この実燃費はとても優秀だと自画自賛しています。

第二に到達時間です。こんな走り方をしているので後続車にどんどん追い抜かれるのですが、到達時間は変わらないようです。追い抜いていったクルマが右に左に車線を変えながらがんばって走っているものの、いつまでも視界の範囲にいることがよくあります。

高速道路ではさすがにあっという間に見えなくなりますが、しばらくしたらまた後ろから来たなんていうこともけっこうあります。大阪―東京間をノンストップで走る人はきっと希で、たいていのドライバーは休憩しますし、渋滞することもあれば追い越し車線もノロノロ…悠々と走るクルマやトラックに引っかかることもあるので少々の速度差は吸収されてしまうのでしょう。

急いでいる人をできるだけ邪魔しないように新東名などの三車線区間では一番左の車線を走るようにもしていますが、その車線にいるクルマが少ないのでこれが意外に快適に走れる。そんなこともあってゆったりと走るようになりました。

気になる点は?

トヨタ センチュリー

ナビの性能は期待できません。地図は開通したての道路も載っている最新版が使えますが、ルート案内アルゴリズムや機能は20年前に使っていたナビに近い。また、いくら素性のいい個体であるとは言っても、10万キロ走っている個体です。

さすがに下回り、ブッシュ類はくたびれてきているんだろうなと思うところもあるので、しばらくしたらそのあたりをリフレッシュしてみようと思っています。それも”センチュリーらしく”のために。

「センチュリーはこんな人に乗って欲しい」につづく。

大田中 秀一|おおたなか しゅういち

乗りもの、特にクルマ好きで、見ること、乗ること、しゃべることすべてが好き。5年間のレース参戦経験を活かし、レーシングスクールインストラクターも時々務める。大型二種免許も所有していることもあり、運転技術に関しての研究も行なう。モビリティに関わることすべてを興味のままに取材、自動車専門誌並びにweb、経済ニュースサイトなどに寄稿している。世界のマイナーモーターショーウォッチャー、アセアン・ジャパニーズ・モータージャーナリスト・アソシエーション会長、インドネシアにも拠点がある無意識アセアンウォッチャー。

大田中 秀一|おおたなか しゅういち