パトカー仕様カスタムの合法性は?パトランプ・サイレン・ロゴ使用のルール

パトカー クラウン

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近年、緊急車両であるパトカーは子どもから大人まで人気があります。これを真似して、愛車をパトカー風にカスタムしたいという人も増えています。しかし、車両の改造には法律の制約があり、公道走行には注意が必要です。本記事では、パトカー風カスタムの内容と、合法・違法となる範囲を詳しく解説します。

CARPRIME編集部

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Chapter
パトカーの主な3種類
1. 無線警ら車(白黒パトカー)
2. 小型警ら車(ミニパト)
3. 交通取締用四輪車(高速・覆面パトカー含む)
パトカー風カスタムとは?
パトカー風カスタムが違法になるケース
安全・防犯面のメリットと誤解リスク
メリット ― 抑止力としての効果
リスク ― 誤認・悪用・トラブルの可能性
合法的に楽しむポイント
取り締まり事例と警察の見解
まとめ

パトカーの主な3種類

パトカーは任務や配備場所に応じていくつかのカテゴリに分けられます。代表的な3種類を押さえておくと、カスタムを検討する際の参考にもなるでしょう。

1. 無線警ら車(白黒パトカー)

最も一般的なパトカーで、白と黒のツートンカラーに赤色灯を載せた姿が特徴です。主に市街地の巡回や110番通報への初動対応を担当し、無線で指令を受けて現場へ急行します。車種はトヨタ・クラウンやスバル・レガシィなどのセダンが中心で、トランクに交通規制用のコーンやバリケード、救急救命キットなどを搭載しています。

2. 小型警ら車(ミニパト)

軽自動車ベースの小型パトカーで、狭い路地や住宅街の巡回、駐車違反取り締まりなどに活躍します。スズキ・アルトやダイハツ・ミラなど取り回しの良いモデルが採用されることが多く、交番や駐在所に配備されているケースが一般的です。小回り性能に優れ、都市部の細い生活道路でも機動的に動ける点がメリットとなっています。

3. 交通取締用四輪車(高速・覆面パトカー含む)

速度超過や危険運転を取り締まる高性能パトカーで、交通機動隊や高速道路交通警察隊に所属する警察官が乗務します。トヨタ・クラウンや日産・スカイラインのハイパワーグレード、スバル・WRX、日産・フェアレディZなどが採用例です。外観を一般車両に近づけた覆面パトカーもこのカテゴリーに含まれ、赤色灯を引き出して点灯させると一気に緊急車両へと早変わりします。

パトカー風カスタムとは?

パトカー風カスタムとは、一般車両をパトカーの外観に似せて改造することを指します。具体的には、白黒のツートンカラーに塗装またはラッピングする車体に「◯◯県警」や「POLICE」などの文字・シンボルを入れるルーフに赤色灯(パトランプ)を装着するサイレンや警報スピーカーを設置する、といった改造です。

例えば、軽自動車をパトカー風に仕立てた「ミニパト」スタイルのカスタムも見られます。こうした改造を施すことで、子どもに人気のパトカーの外観を楽しむことができますが、次項で述べるように法律上のルールには細心の注意が必要です。

パトカー風カスタムが違法になるケース

  • 文字・ロゴの表示
「◯◯県警」や「POLICE」、警察の紋章(旭日章)など警察組織を連想させる文字・マークの表示は禁止されています。これらを使用すると刑法166条の「偽造公記号使用罪」に抵触するおそれがあります。

  • ボディカラー(白黒ツートン)
ボディを白と黒のツートンカラーにすること自体は違法ではありません。実際、警備会社や防犯パトロールカーでも採用例があり、「白ベースに黒色を加える」ことで緊急車両の要件を満たすと解釈されています。

  • 赤色灯(パトランプ)
緊急車両以外の車両への赤色灯の取り付けは、道路運送車両法の保安基準で禁止されています。赤色灯は緊急走行時のみ点灯が許されるため、一般車が点灯させることはもちろん違法です。実際、赤色灯をルーフに設置するだけでも保安基準違反となります。公道走行時に赤色灯を使いたい場合は、覆面劇用車と同じく布カバー等で赤色灯部分を完全に覆う必要があります。

  • サイレン・警報装置
緊急車両以外がサイレン音やそれに類似する警報音を鳴らすことは、各都道府県の道路交通規則で禁止されており、公安委員会遵守事項違反に当たります。音を出さない状態で機器を搭載することは構造上可能ですが、公道で鳴らせば道路交通法違反となります。

  • 車体寸法の変更
ルーフにパトランプを取り付ける際に車体に穴を開けたり溶接したりして全高が変わると、構造変更の届出義務が生じます。未届けで公道を走れば違反となります。


以上のように、白黒塗装以外の改造(文字・ロゴ、赤色灯、サイレンなど)は法律で厳しく制限されています


参考:道路運送車両の保安基準(2021年4月28日現在)

安全・防犯面のメリットと誤解リスク

パトカー風カスタムには「目立つ外観」を活かした防犯効果が期待できる半面、誤解を招くリスクも存在します。両面を理解したうえで活用しましょう。

メリット ― 抑止力としての効果

  • 犯罪・迷惑行為の抑止
白黒ボディや赤色灯(覆い付き)といった外観は遠目にも警察車両を連想させるため、空き巣・車上荒らし・不法投棄などの抑止に一定の効果があるとされています。自治体や商業施設が敷地内にダミーパトカーを設置する例が増えているのは、この「存在感」が犯罪者の心理に働くためです。

  • 交通マナー向上
住宅街や学童通学路に停めておくと、ドライバーが速度を落とす、歩行者への注意を払うなど、安全運転を促すケースがあります。実際、一部の自治体では「防犯パトロール車」として白黒塗装の公用車を導入し、地域ボランティアが巡回に使用しています。

リスク ― 誤認・悪用・トラブルの可能性

  • 公道での誤認・混乱
走行中に周囲が「警察車両が来た」と勘違いし、不要な減速や進路変更を招けば事故リスクが高まります。緊急車両優先の場面で“道を譲らせる”ような状況を意図せず生む可能性も否定できません。

  • 威圧・脅迫と受け取られるおそれ
他車に対して優越的な立場を誇示する目的でパトカー風を装った場合、道路交通法だけでなく暴行・脅迫に類するトラブルへ発展する懸念があります。ドライバーや歩行者が恐怖を感じれば、被害届や相談につながる事例もあります

  • 子どもへの誤教育
「赤色灯やサイレンは遊び感覚で使っていい」という誤ったイメージを与える可能性があります。とくにイベントやSNS投稿で過度に“警察ごっこ”を強調すると、模倣行為を誘発しかねません。

  • 法令違反と見なされる境界が曖昧
「抑止目的だった」と主張しても、装備や行為が保安基準・道路交通法に抵触すれば取り締まり対象となります。とりわけ赤色灯の不適切な装着・点灯やサイレン吹鳴は言い訳が通用しません。
パトカー風カスタムは地域の安全や交通マナー向上に寄与し得る一方、使用環境や運転者の振る舞い次第で周囲に混乱や威圧を与える“諸刃の剣”です。私有地・イベントなど限定された場所で抑止力として活用し、公道では法令を厳守して「誤認させない配慮」を徹底することが、安全かつトラブルを防ぐ最善策と言えるでしょう。

合法的に楽しむポイント

  • 私有地で楽しむ
公道ではなく自宅ガレージや私有地内で見せる分には違法になりません。実際、交通違反抑止用のダミーパトカーが私有地に置かれている例も全国にあります。

  • デザインの工夫
警察を直接連想させない表現にします。例えば「POLICE」ではなく「パトロール」とする、警察のエンブレムを付けないなどの工夫で法令違反を回避できます。また、塗装は「覆面パトカー風」にする(白塗装のみ)など、必ず白ベースにすると合法と判断されやすいです。

  • ライト・サイレンの扱い
赤色灯をどうしても使いたい場合は、公道走行時に必ず布カバーなどで覆うようにします。映画撮影用車両では走行時にカバーを掛けています。サイレン音装置は、音を出さなければ搭載自体は問題ありません(ただし鳴らすのは違法です)。

  • グッズ利用
公道走行ではなくイベントや展示会で楽しみたい場合は、実物ではなく玩具のパトライト・サイレンセットなどを使用する方法もあります。

  • 警察署への相談
仮にパトカー風車両を私有地やイベントで使う場合でも、念のため管轄警察署に許可や相談をしておくと安心です。

取り締まり事例と警察の見解

実際にパトカー風カスタムが原因で摘発された事例があります。

2024年5月、福岡県で覆面パトカーもどきに改造した乗用車が赤信号を無視しタクシーと衝突、運転者2名が危険運転致傷容疑で逮捕されました。助手席の男性が車窓から赤色灯を手で設置し、「交差点に進入します」などと車内マイクで呼びかけていた悪質なケースです。

過去には2020年に札幌で赤色灯を付けた偽白黒パトカーを公道で走らせ、2人が書類送検された例も報告されています。

警察当局はこうした行為を厳しく禁止しています。

東京都の道路交通規則では「緊急自動車以外は緊急車両と紛らわしい灯火・サイレンを使用してはならない」と明記されており、違反時には罰則の対象となります。警察庁も「赤色灯の点灯やサイレンの吹鳴を許可なく模倣する行為は違法」と強く警告しています。

違反した場合、道路運送車両法や道路交通法など様々な法令違反となり、逮捕・処分される可能性があります。

まとめ

パトカー風カスタムはアイデア次第で楽しめますが、赤色灯やサイレン、警察組織を示す文字・マークの使用は法律で厳しく禁止されています。白黒カラーリングだけに留め、赤色灯は使用せず、警察を想起させるロゴを貼らなければ合法範囲内です。どうしてもリアル感を追求する場合でも、公道での使用は避け、あくまで私有地やイベントで節度を守って楽しみましょう。法令を遵守して、安全にパトカー仕様カスタムを満喫してください。
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