なぜ踏切内での事故は無くならないのか?もし立ち往生した場合の対処法は?

踏切内で立ち往生してしまう理由

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全国的に踏切内での事故は後を絶ちません。

事故まではいかずとも、踏切内で停車しているときにカンカンカンという警告音が聞こえてきてヒヤっとした経験がある方も多いのではないでしょうか。

なぜ踏切内で立ち往生してしまうのか?その理由について詳しく解説します。

吉田 恒道|よしだ つねみち

1980年代、大学卒業後ファッション・モード専門誌「WWD Japan」編集部勤務を皮切りに編集者としてのキャリアを積む。その後、90年〜2000年代、中堅出版社ダイヤモンド社の自動車専門誌・副編集長に就く。以降、男性ライフスタイル誌「Straight’」(扶桑社)など複数の男性誌編集長を歴任し独立、フリーランスのエディターに、現職。著書に「シングルモルトの愉しみ方」(学習研究社)がある。

吉田 恒道
Chapter
踏切内での事故の原因の大半は「直前横断」
踏切内に閉じ込められる原因は?
踏切内に閉じ込められてしまったら?
非常停止ボタンを押そう!

踏切内での事故の原因の大半は「直前横断」

国土交通省の発表によると、2019年に起こった踏切事故は211件。全体での死傷者は216名で、亡くなった方は84名にものぼります。

踏切事故の発生件数自体は過去30年を遡ってみると減少こそしているものの、緩やかだと言わざるを得ません。踏切事故を完全に防ぐことは、交通における1つの課題だといえます。

では、踏切事故はなぜ発生してしまうのでしょうか。

同じく国土交通省の資料によると、発生件数211件中、全体のほぼ半分以上となる51.2%(108件)を占めるのが直前横断となっています。次に多いのが落輪やエンスト、停滞によるもの。

つまり、踏切事故を引き起こしてしまう原因のほとんどが、列車が近づいていることが分かっているにも関わらず、急ごうとして無理やり踏切内に侵入。遮断機に閉じ込められて事故に繋がっている、ということが想像されます。

踏切内に閉じ込められる原因は?

そもそも、踏切内は道路交通法の第44条において駐停車が禁じられている場所であるにもかかわらず、なぜ踏切内で停滞してしまうのでしょうか。

そのほとんどは、踏切の出口がクルマの流れやなんらかの理由によって詰まっており、やむなく踏切内で止まってしまうというもの。このような状況になってしまえば、遮断機が降りるまでに踏切出口の渋滞が解消されない限り、クルマは踏切内で立往生することになります

ではなぜ、出口が詰まっている踏切にわざわざ侵入してしまうのでしょうか?

その原因の多くは、先を急いでいてよほど焦っているか、前方周囲の安全確認をおろそかにしているパターンでしょう。

朝、出勤ラッシュの時間帯に遅刻しそうでおよそ平常心とはほど遠い心理状態でハンドルを握れば、少しでも前に進みたい意識で余裕がなくなり、前方が詰まった踏切に侵入してしまってもおかしくはありません。

また、車内にいる友人との会話に夢中になっていたり、スマホの操作やナビの操作に夢中になっていたりと、注意力散漫な状態では前方の安全確認もなにもあったものではないからです。

そういった状況で遮断機が降りて踏切内に閉じ込められてしまえば、想定外の事態にパニックに陥ることは火を見るより明らか。

列車の接近を知らせるサイレンの音が、さらに冷静な判断をできなくしてしまいます。

踏切内に閉じ込められてしまったら?

では、踏切内に閉じ込められてしまった場合はどうすればいいのでしょうか。

まず、完全に遮断機が降り切ってしまう前なら、反対車線から踏切の外に何とか出てしまうのがベター。反対車線の踏切入り口に停車しているドライバーからは嫌な視線を向けられるかもしれませんが、命には代えられません。

もし反対車線のクルマが踏切ギリギリに停車していて抜け出せるスペースがなければ、踏切内でバックして、自分が進行してきた側の反対車線に出ましょう。踏切内から脱出できたら、慎重に脇道や側道に停車し、とにかく周囲のクルマや歩行者に迷惑を掛けないことが重要です。

もし遮断機が完全に降り切ってしまっても、クルマが動かせる状態であればアクセルを踏み込んで遮断機をクルマで押し、踏切から脱出しましょう。遮断機の棒は柔らかい素材で作られており、クルマで押しのけて通行することが可能。

ボディに少々の擦り傷はできてしまうかもしれませんが、列車と衝突するリスクとの天秤には掛けられません。

非常停止ボタンを押そう!

クルマが動かせる状態なら、上述したような方法で脱出を試みるのが一番です。

重要なのは、故障や脱輪、エンストなどでクルマが動かせなくなってしまった場合一瞬でもクルマを動かすのは難しいと感じたら、すぐさまクルマから降りて非常停止ボタンを押しましょう

踏切には確実に設置されている非常停止ボタンは、誤作動を防ぐためボタンは固くなっているので、強く押し込むのがポイントです。

ボタンを押したら、非常停止ボタン付近に記載されている番号に電話をしなければなりません。

列車の接近を知らせる警告音がなり始めて、遮断機が降り切ってしまうまでの時間は15秒あるので、少なくとも10秒以上は確保されています。

遮断機が完全に降り、列車が通るまでの時間は20秒が基準。ドライバーはその間にクルマが動かないと判断をして、非常ボタンを押さなければならないのです。

20秒が過ぎるのはあっという間で、ほとんど考えている時間はありません。

とにかく、非常停止ボタンを恐れず押すのが重要になってくるでしょう。
踏切内で立ち往生しないためには、踏切付近での運転により慎重になる必要があります。

前が詰まっていたら踏切に侵入しない。

閉じ込められてしまったら、脱出を試みる。

脱出がムリなら、非常停止ボタンを押す。

これを覚えておくだけで、立ち往生して踏切事故に遭う確立はかなり低減されるはずです。

とにかく冷静な判断をすることで、自分の命や誰かの命を守ることができるのを覚えておくと良いでしょう。

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