マツダ CX-8はSUVの見た目でミニバンのような快適性を持った車だった!

いまや、マツダ車のメインストリームはクロスオーバーSUVですが、国内市場でのフラッグシップモデルとなっているのが「CX-8」です。その特徴は、他のCXシリーズにはない3列シートを持っていることです。その特徴ゆえに、メーカーも予想していなかったユーザーから支持を得るようになりました。

文・山崎 友貴

Chapter
ミニバン志向のユーザーを惹きつけたスタイリングと乗車人数
大きさは利点?取り回しの悪さも皆無!
ニーズや好みに合わせたグレード展開
2020年モデルはさらに機能が充実
大人数乗車の機会が多い人にすすめたい

ミニバン志向のユーザーを惹きつけたスタイリングと乗車人数

マツダ CX-8 2017.9

2017年に登場したCX-8は、北米向けモデルであるCX-9の国内版という位置づけでデビューしました。2代目CX-9は全長5,000mmを越えるため、日本では受け入れられないだろうという判断により、CX-5のプラットフォームを流用した同モデルが日本専用モデルとして開発されたのです。

とは言え、全長は4,900mmと堂々たるサイズで、ミニバンほどではないものの、全席の居住空間は快適と感じられる広さが確保されています。目玉である3列目のシートは、レッグスペースも最大限に確保されている上に、シートのクッション材に厚めのものを使用。エマージェンシーシートとは言わせないだけの、快適性を保持。大人が長時間座っても、決して不満の出ない座り心地に仕上げています。

ラゲッジスペースも十分です。全席を使った場合の荷室容量でも242L(メーカー計測)、サードシートを畳んだ時では775L、2名乗車時には1,727Lの荷室容量を確保できます。最大容量状態にすれば、前輪を外した状態のロードバイク2台を積むことができます。

マツダ CX-8 インテリア (2017)

他のCXシリーズとはひと味違う、ラグジュアリーなインテリアも同モデルの特徴と言えるでしょう。その上質さは、車内に入った瞬間から感じることができます。すべてのトリムやメッキ処理を施した樹脂パーツまで、開発者たちのこだわりが感じられる質感が香ります。車内のどこにも、妥協はありません。

CX-8は国内デビューと同時に、20代・30代のファミリー層から支持を得たといいます。これらのユーザーは、CX-8を輸入SUVと比較することが多いようですが、同モデルの上質感を考えればそれも頷けます。

さらに、こうしたユーザーはミニバンの乗り替え組や比較組が多いというデータもあります。ミニバンの車内空間は欲しいけれど、カッコ悪いクルマには乗りたくないという層です。こうしたユーザー像はマツダも想定外だったようで、若い層の支持は嬉しい誤算だったようです。

大きさは利点?取り回しの悪さも皆無!

マツダ CX-8 2017

よく「CX-8は大きすぎるのでは?」という不安の声を聞きます。しかし、実際に乗ってみると、キャブオーバーのバンタイプなどよりも取り回しがラクです。仮に細街路に入っても、内輪差だけ少し気を配ってやれば、それほど苦労することなく右左折ができました。

昨今は高級ミニバンが市場を席巻していますが、それらと比べると、ドライブフィールには格段に差があります。ハンドリングはマツダがこだわる「人馬一体」感に溢れていますし、運転が面白くないということは皆無です。山岳地帯の道でも、積極的に走ることを楽しみたくなるようなクルマです。

CX-8はCX-5に比べるとサイズがひと回り大きいのですが、それが大きなデメリットになっていることはまったくありません。乗り始めるとすぐに感覚がフィットしてきますし、大きなクルマが苦手という人でも“普通”のクルマとしてドライブすることができます。

マツダ CX-8 2017

最小回転半径は、CX-5が5.5mに対して、CX-8は5.8m。細い道でも取り回しの良さを感じます。また、高速ではCX-5よりもホイールベースが230mm長い分だけ、直進安定性に優れています。

搭載されるエンジンは、2.5Lガソリンターボと2.5LガソリンNA、そして2.2Lディーゼルターボの3種類。フィーリング的には2.5Lガソリンターボと2.2Lディーゼルターボがパワフルですが、扱いやすさという点では2.5LガソリンNAの好感度が高くなります。

過給器付きエンジンならではのトルク感や加速感は薄いのですが、ジェントリーなドライブフィールはCX-8にピッタリです。ただしエンジンの違いは、自動車税やエコカー減税の差にもなりますので、その点でも検討が必要と言えます。

ミッションは全車6ATのみのですが、変速が非常にスムーズで、マニュアル的な操作ができるシフトスイッチもオプションで設定されています。

ニーズや好みに合わせたグレード展開

マツダ CX-8 2017

CX-8のグレードは、エンジンごとに分かれており、全9タイプ。それぞれに2WDと4WDが設定されています。ちなみに、2.5LガソリンNAのグレードは上から「25S Lパッケージ」「25Sプロアクティブ」「25S」。2.5Lガソリンターボは「25T Lパッケージ」のみ。2.2ディーゼルターボには「XD Lパッケージ」「XDプロアクティブSパッケージ」「XDプロクアクティブ」が設定されています。

どのグレードにも、2列目2人掛けのキャプテンシートと3人掛けのベンチシートが設定されています。ベーシックグレードの場合、ヘッドライトにLEDが採用されていないため、夜の表情と視界が異なるという差はあります。後は快適装備の面で、当然ながら高いグレードほど充実しています。

マツダ CX-8 2017

2019年11月の改良では、ガソリンターボとディーゼルに「エクスクルーシブモード」という特別仕様車が設定されました。2列目シートに前後スライドと背もたれの角度が電動で調整できるタイプが標準化され、ベンチレーション機能も付いています。

またスイッチひとつで2列目シートが倒れる電動ウォークイン機能、2列目シートのアームレスト付きコンソールがそれぞれ標準化されているのが特徴です。

2020年モデルはさらに機能が充実

マツダ CX-8 2017

CX-8は2018年に引き続き、2019年にも仕様変更を実施しています。主な変更内容としては下記のようになります。

・2.5LガソリンNA 4WD、2.5Lガソリンターボ FFの追加
・Lパッケージの2列目ベンチシートのワンタッチウォークイン機能追加
・2列目キャプテンシートにカップホルダーとUSB端子を採用(25S)除く。
・一部グレードの3列目シートにUSB端子を採用
・荷室床下容量拡大
・ルーフの雨音対策強化
・マツダコネクト8インチ化
・オフロードトラクションアシストの導入(4WD)

2020 マツダ CX-8

内容を見ると、マツダらしく、非常に真面目に改良を行っていることが分かります。特に、荷室の床下容量拡大やルーフの雨音対策などは、一見すると地味に思えますが、車両各部の構造の変更が必要な改良であり、少しでも快適で使い勝手のいいクルマにしたいというメーカーの姿勢を感じることができます。

4WD車にオフロードトラクションアシストが付いたことも、アウトドアレジャー派には心強いポイントと言えます。深雪や砂、泥などでスタックした場合、スイッチを押すことで電子デバイスが作動。ブレーキを自動制御して、空転したタイヤのトラクションを復活させます。

また、3列目シートにUSB端子が装備されたことで、子供がゲーム機などをストレスなく使えるという利点が生まれました。

大人数乗車の機会が多い人にすすめたい

2020 マツダ CX-8

ロングボディを採用したことで、デメリットというデメリットが見当たらないCX-8。敢えて挙げるなら、住宅地にある狭いコインパーキングで、多少駐車に気を遣うことでしょうか。

しかし国内市場を考えて作られているだけあって、おおよそ乗っていて持て余すということはありません。3列目シートは非常によくできており、身長180cmのテスターが座っても、さほど窮屈感を感じることはありませんでした。170cmくらいの人であれば、まず快適に座ることができるのではないでしょうか。

2020 マツダ CX-8

2列目も3列目も、ミニバンほどの開放感はありませんが、シート位置や窓の形状が熟考されており、長時間座っていても息苦しくならないはずです。ドアも広く開口するため、3列目の乗降性も悪くありません。

ミニバンの機能性は欲しいけれどスタイリングは…というユーザーには、まさにうってつけだと言えます。またサーフボードなどの長尺物を積む機会が多いといったレジャースポーツ派にも、実にいいチョイスだと思います。

まだまだこれから進化することが予想されるCX-8ですが、とりあえず現行モデルは購入して損をするクルマではありません。使い勝手がよく、操っても楽しく、しかもステイタスもアピールできます。シートに座った瞬間に、オーナーが満足感を感じられる1台だと思います。

山崎 友貴|やまざき ともたか

四輪駆動車専門誌、RV誌編集部を経て、フリーエディターに。RVやキャンピングカー、アウトドア誌などで執筆中。趣味は登山、クライミング、山城探訪。小さいクルマが大好物。

山崎 友貴|やまざき ともたか