ミニバンの世界を変えるCX-8

アヘッド CX-8

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質感、乗り心地。ハンドリング、動力性能。実用性、ルックス、そして価格。マツダCX-8はこうしたクルマに求められる要素を、非常に高いレベルで満たす、国産車としては近年まれに見る傑作だと思う。

text:山田弘樹 photo:長谷川徹 [aheadアーカイブス vol.183 2018年2月号]
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ミニバンの世界を変えるCX-8

ミニバンの世界を変えるCX-8

最も大きな魅力は国内「CXシリーズ」として初となる3列目シートを備えたこと。マツダはかつてミニバンカテゴリーでライバルに対し「プレマシー」を磨き上げることができず、「ビアンテ」の3ナンバー化でファミリー層の支持を失った。

なおかつ「鼓動デザイン」との融合を諦めたことからこのジャンルを撤退したわけだが、CX-8が3列目シートを備えたことでその英断は見事果たされたのではないかと思う。つまりミニバンのような生活感のない、今最も「かっこいいファミリーカー」がここにできあがったのだ。

さらに言えばこのCX-8、筆者のような独り身のクルマ好きの心さえもきちんとつかむ。贅沢にも上級車種「CX-9」の骨格と足回りを使った乗り心地には、看板スター「CX-5」より一枚上手の安定感がある。しかしながらそのハンドリングは、驚くほどに軽やかなのだ。

剛性の高いボディに、スプリングがスムーズに動くようにあつらえ直したサスペンション。それを容量の大きなダンパーが支える自然な乗り味には、荷室に自転車を積む地方ユーザーの要求に応え、食パンのように縦長なボディを背負い、短いストロークでこれを走らせるミニバンでは得がたい上質さがある。さらに言えば全幅はCX-5と同等だから、日本では非常に走らせやすい。

2.2ℓの直噴ディーゼルターボも見事。そのパワーは190PSと平凡ながら、高回転側タービンに高価な可変ジオメトリー機構を投入し、実質3ステージターボとなったターボが450Nmの最大トルクを自在に引き出してくれるから、日常のドライブで歯がゆさを感じることはない。マツダはこのスカイアクティブDを将来的にモーターと連携させるはずで、よってその煮詰めや進化にも余念がないのである。

こうしたシャシーと動力系のよさを底上げするのは、やはりCX-9から譲り受けたシートと遮音材だ。3列目シートこそコストの関係で特殊発泡ウレタンを使えなかったが、座面形状をラウンドさせる工夫によって、〝既存の三列目〟とは一線を画す乗り心地が与えられている。

CX-8は、正にわたしたち日本人のために作られたSUVだ。CXシリーズの究極、と言うとオーバーに聞こえるかもしれないが、筆者の本音である。その核にはマツダが長年追い求めてきた動的質感の結実が見られる。これからのマツダは、こういうクルマが増えて行くだろう。

●CX-8 車両本体価格:¥3,785,400
(XD PROACTIVE、税込) 
エンジン:SKYACTIV-D2.2 
排気量:2,188cc
最高出力:140kW(190ps)/4,500rpm
最大トルク:450Nm(45.9kgm)/2,000rpm

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商品詳細