【プロ徹底解説】新型が登場する前に現行型ゴルフ7をおさらい!フォルクスワーゲン ゴルフTDIは完熟されたクルマ?

ドイツ本国では次期モデル“ゴルフ8”が登場した中、日本では販売中のフォルクスワーゲン・ゴルフ7にようやくディーゼルエンジンが追加された。ここのところ欧州ではディーゼルエンジンに対する風当たりが強くなってはいるものの、ディーゼルエンジンへの人気は根強いのも確かだ。今回追加された2.0ℓ直4ディーゼルターボエンジンは、いわばフォルクスワーゲンの主力エンジンの一つであり、ゴルフ7の主力エンジンともなっていた。今回は熟成領域に入ったゴルフ7「TDI」の出来映えを考えてみた。
文・会田 肇/写真・萩原文博
モデルチェンジする前に、現行型ゴルフをおさらいしてみよう
今回試乗したのは、ディーゼルエンジン搭載モデルであることを示す「TDI」のバッヂをつけた、そのゴルフTDIのトップモデル「TDI Highline Meister」だ。ゴルフの基本形でもある4ドアハッチバックで、ボディサイズは全長4265mm×全幅1800mm×全高1480mmで、 ホイールベースは2635mm。
ややワイドに振ったことで安定感のある落ち着きも醸し出し、嫌味がない端正なデザインは眺めていて安心感があるスタイルだ。逆にそれが“没個性”と取られることもあるが、幅広い人に受け入れられることを最大のテーマとしているゴルフだけに、の安心感を抱かせることはきわめて重要だったとも言えるのだ。
現行型ゴルフの内装は派手ではないが地味でもない。確かな質感の高さ
内装も特に際立った印象はない。とはいえ、内装は手に触れる一つひとつの質感が高く、プラスチッキーな印象を受けることが多い国産車と比べると雲泥の差。
シートも本革で、地味なデザインの中にもクォリティの高さは十分に伝わってくる。価格が391万円と、この手のクルマとしてはかなり高い印象だが、この質感の高さは誰もが納得がいくレベルにあると言っていいだろう。シートは本革を採用するもサポート性が高く、カチッとした収まり具合は長距離でも疲れにくそうだ。機能面ではデジタルメーターやインフォテイメントシステム「Discover Pro」を搭載し、そこには駐車支援システム「Park Assist」など先進テクノロジーの数々が標準装備されている。
荷室は、容積としてはまずまずといった感じだが、奥行きはあまりない印象。リアシートを倒した際もあまり広さは感じない。一方で、6:4分割可倒式の後席には中央部に貫通できる機能が備わっていて、長尺物を積む際に重宝する。デッキボードの高さも2段階となっていて、用途に合わせた使い分けができるなど小技が効いている。
「TDI」には大きくコンフォートラインとハイラインの二つに分けられ、それぞれに“マイスター”仕様が用意されて都合4つのラインナップとなる。
現行型ゴルフでお買い得なのはマイスター
お買い得と思われるのはこのマイスターで、純正ナビゲーションシステムである「ディスカバープロ」と、メーター類を12.3インチディスプレイに表示する「デジタルメータークラスター」が加わる。今どきカーナビは必須アイテムだし、デジタルメーターは近未来を感じさせる魅力的な装備。
17インチアルミホイール
この二つの追加装備は、マイスターの購入動機として大きな要素ともなるはずだ。さらにマイスターでは、コンフォートラインが足まわりを16インチから17インチにアップ、ハイラインでは専用デザインの17インチホイールが組み合わされる。また、ハイラインは内装が本革となり、スポーツシートはヒーター、パワーランバーサポート(運転席のみ)まで備えた贅沢なパワーシートとなる。その意味ではマイスターはかなりお買い得な仕様となっていると言えるだろう。
また、マイスターには、パークディスタンスコントロールやパークアシストを装備される。前者は前後の障害物を検知して警告して状況次第でブレーキまでかけてくれるは安心感を生み出す装備だし、後者は駐車時のステアリング操作を自動で行うなどを標準で装備するのも大きなポイントだ。
ただ、パークディスタンスは日常使いでありがたい親切装備ともいえるが、パークアシストは使いこなすのにやや慣れが必要だ。特に交通が混雑した街道沿いで使うのはちょっと厳しい。この機能を実行するにはギアをリバースに入れ、速度調整をする必要はあるものの、目の前でくるくるとステアリングが回転する動作は見ていて楽しいし、ちょっよした未来感を味わうにもいいかもしれない。