走行中にバックギアを入れたらどうなる?事故や故障リスクと対処法を解説
更新日:2025.07.31

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「走行中にバックギアを入れてしまったらどうなるのだろう?」と不安に思ったことはありませんか。実際に入れてしまうと何が起こるのでしょうか。
本記事では、その疑問に対して専門用語もできるだけかみ砕いて、親しみやすい口調で解説していきます。それでは、まずはバックギアというもの自体について見ていきましょう。
本記事では、その疑問に対して専門用語もできるだけかみ砕いて、親しみやすい口調で解説していきます。それでは、まずはバックギアというもの自体について見ていきましょう。
この記事でわかるポイント|走行中にバックギアの危険性を総整理
・バックギア(リバースギア)の基本
・AT車とMT車のバックギア違い
・走行中にバックギアを入れたときの症状と危険性
・誤操作時の対処法
・走行中にバックギア Q&A
・バックギア(リバースギア)の基本
・AT車とMT車のバックギア違い
・走行中にバックギアを入れたときの症状と危険性
・誤操作時の対処法
・走行中にバックギア Q&A
バックギアとは?基本構造と役割をやさしく解説
バックギアとは、自動車を後退させるための変速ギア(変速段)のことです。シフトレバー上では通常「R」と表示されており、「リバース(Reverse)の頭文字」です。
バックギアに入れると、トランスミッション内部のギアの組み合わせが変わり、エンジンの回転力が逆方向にタイヤへ伝わることで、クルマは後ろ向きに進むことができます。 AT車(オートマチック車)でもMT車(マニュアル車)でも、ギアの配置や操作方法は異なりますが、「R」に入れればクルマが後退するという点は共通です。
ただし、ATとMTではバックギアの構造や誤操作を防ぐ安全機構に違いがあるため、次で詳しく説明します。
バックギアに入れると、トランスミッション内部のギアの組み合わせが変わり、エンジンの回転力が逆方向にタイヤへ伝わることで、クルマは後ろ向きに進むことができます。 AT車(オートマチック車)でもMT車(マニュアル車)でも、ギアの配置や操作方法は異なりますが、「R」に入れればクルマが後退するという点は共通です。
ただし、ATとMTではバックギアの構造や誤操作を防ぐ安全機構に違いがあるため、次で詳しく説明します。
AT車とMT車のバックギアの仕組みと安全機構の違い
AT車(オートマ車)では、多くの場合、シフトレバーにシフトロック解除ボタン(誤って意図しないポジションに入らないようにするためのボタン)が付いており、走行中にドライバーが誤って簡単にRレンジに入れてしまわないようになっています。
また、近年の電子制御式AT車はコンピューターによる安全対策が施されており、一定以上の速度で走行中にRレンジに入れようとしても、トランスミッション保護のためにギアが即座にはリバース(後退)に入らない仕組みになっています。
一方、MT車(マニュアル車)では、前進用のギアとは異なり、バックギアには回転を同期させるシンクロメッシュ機構がないことが多いため、車が動いている間は歯車同士の回転が合わず、物理的にギアが入りにくい構造になっています。そのため、走行中にレバーをRに入れようとしても普通は入らず、「ガリガリッ」というギアがぶつかる異音がするだけです。
さらに多くのMT車には、バックギアに誤って入れてしまうことを防ぐため、シフトノブを押し込む、あるいはリングを引き上げるなど、特殊な操作をしないとRに入らないロック機構(リバースロックアウト)が備わっています。
また、近年の電子制御式AT車はコンピューターによる安全対策が施されており、一定以上の速度で走行中にRレンジに入れようとしても、トランスミッション保護のためにギアが即座にはリバース(後退)に入らない仕組みになっています。
一方、MT車(マニュアル車)では、前進用のギアとは異なり、バックギアには回転を同期させるシンクロメッシュ機構がないことが多いため、車が動いている間は歯車同士の回転が合わず、物理的にギアが入りにくい構造になっています。そのため、走行中にレバーをRに入れようとしても普通は入らず、「ガリガリッ」というギアがぶつかる異音がするだけです。
さらに多くのMT車には、バックギアに誤って入れてしまうことを防ぐため、シフトノブを押し込む、あるいはリングを引き上げるなど、特殊な操作をしないとRに入らないロック機構(リバースロックアウト)が備わっています。
走行中にバックギアを入れると起こること|AT車・MT車別シナリオ
AT車編|走行中にバックギアを入れたケース
- 誤ってシフトレバーをRに入れてしまう:
例えばドライブレンジ(D)から急にRレンジに入れてしまったとします。 しかし、前述の通り多くの現代的なAT車では、一定速度以上で走行中にRレンジに入れてもすぐにはバックギアが噛み合いません。多くの場合、車両のコンピューターがドライバーの誤操作と判断し、トランスミッションが後退用のギアに切り替わらないよう保護してくれるからです。
- 車の挙動:
近年の車種では、走行中にRレンジに入れても警告音が鳴るだけで、実際には車はそのまま前進を続ける(または惰性で進む)ことがほとんどです。 しかし、保護機能が不十分な古いAT車では、Rに入れた途端にエンジンが停止したり、ごく低速まで落ちた瞬間に強い衝撃とともにリバースギアが作動しようとしたりする例も報告されています。 ただし、走行中にリバースギアが万が一作動したとしても、前進している車が急に『逆走』することは物理的に起こりえません。実際に起こりうるのは、トランスミッション内部のギアや部品が破壊されたり、駆動輪がロックして車がスピンしたりするといった、極めて危険な状態に陥ることです。
- 考えられる影響:
たとえ最新の保護機能が付いた車でも、走行中に誤ってRレンジに入れようとすればトランスミッション内部に大きな負荷がかかることは間違いありません。システムが介入しても完全に負荷をカバーしきれず、場合によっては内部の電子部品や機械部品を傷めてしまうこともあります。 さらに、保護機能が働く前のごく低速時(クリープ現象程度の速度など)にギアが噛み合ってしまえば、車体が急に引き戻されるような強い衝撃が発生し、エンジン停止やタイヤのロックなど重大な挙動につながりかねません。
MT車編|走行中にバックギアを入れたケース
- ギアが基本的に入らない:
MT車では前述の通り、走行中はバックギアの歯車同士の回転が合わないため、通常はレバーをRに入れようとしても途中でゴリゴリ…という異音がするだけで、ギアは物理的に噛み合いません。 多くの場合、運転者が音に驚いてすぐにレバーを元の位置に戻すため、大事には至りません。
走行中にバックギアを入れたときの危険性&故障リスクまとめ
急激な減速とエンストの危険
もし走行中にリバースギアが噛み合ってしまった場合(主に保護機能が不十分な古いAT車や、ごく低速時のMT車で無理やり操作した場合など)、車は一瞬で急激に減速します。
これは高速走行中に急ブレーキを踏んだのに匹敵するほどの大きな衝撃となる可能性があります。エンジンにも駆動系を介して無理な逆方向の力がかかり、その強大な負荷によって即座にストール(エンジン停止)する可能性が非常に高いです。
高速道路などでこのような事態が発生すれば、後続車との追突事故など、重大な事故につながりかねません。
これは高速走行中に急ブレーキを踏んだのに匹敵するほどの大きな衝撃となる可能性があります。エンジンにも駆動系を介して無理な逆方向の力がかかり、その強大な負荷によって即座にストール(エンジン停止)する可能性が非常に高いです。
高速道路などでこのような事態が発生すれば、後続車との追突事故など、重大な事故につながりかねません。
トランスミッション破損リスク
無理な力で走行中にリバースギアを噛み合わせようとすると、トランスミッション内部の歯車や関連部品が欠けたり、折れたりして、深刻なダメージを受ける恐れがあります。一度トランスミッションが破損すると、修理には高額な費用と時間がかかります。
また、このような運転者の明らかな誤操作や故意と見なされる行為による故障は、車両保険の補償対象外となる場合があるため注意が必要です。
また、このような運転者の明らかな誤操作や故意と見なされる行為による故障は、車両保険の補償対象外となる場合があるため注意が必要です。
もし走行中にバックギアに入れてしまったら?安全に対処する手順
まず元のギアに戻す
AT車で誤ってRレンジに入れてしまったことに気付いたら、慌てずに素早くDレンジに戻しましょう。
MT車でもバックギアに入れようとして異音がしたら、すぐにクラッチを踏み込んでニュートラルに戻します。保護機能が働く現代の多くの車では、即座に正しいレンジに戻せば、それ以上のトラブルは防げる場合がほとんどです。
MT車でもバックギアに入れようとして異音がしたら、すぐにクラッチを踏み込んでニュートラルに戻します。保護機能が働く現代の多くの車では、即座に正しいレンジに戻せば、それ以上のトラブルは防げる場合がほとんどです。
車の挙動を確認する
その後、車が普段通り動くか、異音や異常な振動がないか、警告灯などが点灯していないかを確認してください。
特に異常が感じられなければ、ひとまず大きなダメージはない可能性が高いですが、その後も慎重に運転し、少しでも違和感があれば早めにディーラーや整備工場で点検を受けるようにしましょう。
特に異常が感じられなければ、ひとまず大きなダメージはない可能性が高いですが、その後も慎重に運転し、少しでも違和感があれば早めにディーラーや整備工場で点検を受けるようにしましょう。
エンストしたときの対策
もし衝撃などでエンジンが止まってしまったら、落ち着いてハザードランプを点灯させ、周囲の安全を確認します。
AT車の場合、慌ててシフトレバーを操作せず、Dレンジのままで問題ありません。
MT車の場合はクラッチを踏んでニュートラルにします。そのまま惰性で走行し、安全な路肩などに車を停車させましょう。エンジン停止中はハンドル(パワーステアリング)やブレーキ(ブレーキブースター)が普段より重くなりますが、力を込めて操作すれば効きますので、慎重にハンドルを操作し、ブレーキを数回に分けて踏むなどして確実に停車させてください。
車が完全に停止してから、AT車はシフトをP(パーキング)に入れ、再度エンジンをかけ直してください。
AT車の場合、慌ててシフトレバーを操作せず、Dレンジのままで問題ありません。
MT車の場合はクラッチを踏んでニュートラルにします。そのまま惰性で走行し、安全な路肩などに車を停車させましょう。エンジン停止中はハンドル(パワーステアリング)やブレーキ(ブレーキブースター)が普段より重くなりますが、力を込めて操作すれば効きますので、慎重にハンドルを操作し、ブレーキを数回に分けて踏むなどして確実に停車させてください。
車が完全に停止してから、AT車はシフトをP(パーキング)に入れ、再度エンジンをかけ直してください。
よくある疑問Q&A|走行中にバックギア関連の不安を解消
Q: 走行中にバックギアを入れたら車は壊れてしまいますか?
A: 最悪の場合、トランスミッションなどが壊れてしまう可能性があります。リバースギアが走行中に強制的に噛み合うと、エンジンや変速機に設計想定外の強大な負荷がかかり、内部部品の破損につながる恐れがあるためです。
ただし、最近の電子制御式AT車では、走行中の誤操作を検知してギアが入らないようにする安全装置(フェイルセーフ機能)が働くため、実際にはギアが作動せず、壊れないケースがほとんどです。何事もなく通常通り走行できているなら、深刻なダメージはない可能性が高いですが、万が一に備え、不安な場合は専門家に見てもらうとより安心です。
Q: 一瞬だけRに入れてすぐ戻しましたが、大丈夫でしょうか?
A: 車に特に異常な音や振動などがなく、普通に走行できているのであれば、多くの場合、大きな問題には至っていないと考えられます。現代のAT車は保護機能が働いて、実際にはギアが切り替わっていないことがほとんどです。
ただ、トランスミッションの電子制御系などに予期せぬ負荷がかかった可能性もゼロではありませんので、しばらくは注意深く運転し、少しでも気になる症状(変速ショックが大きくなった、異音がするなど)が出たら、早めに点検を受けることをお勧めします。
A: 最悪の場合、トランスミッションなどが壊れてしまう可能性があります。リバースギアが走行中に強制的に噛み合うと、エンジンや変速機に設計想定外の強大な負荷がかかり、内部部品の破損につながる恐れがあるためです。
ただし、最近の電子制御式AT車では、走行中の誤操作を検知してギアが入らないようにする安全装置(フェイルセーフ機能)が働くため、実際にはギアが作動せず、壊れないケースがほとんどです。何事もなく通常通り走行できているなら、深刻なダメージはない可能性が高いですが、万が一に備え、不安な場合は専門家に見てもらうとより安心です。
Q: 一瞬だけRに入れてすぐ戻しましたが、大丈夫でしょうか?
A: 車に特に異常な音や振動などがなく、普通に走行できているのであれば、多くの場合、大きな問題には至っていないと考えられます。現代のAT車は保護機能が働いて、実際にはギアが切り替わっていないことがほとんどです。
ただ、トランスミッションの電子制御系などに予期せぬ負荷がかかった可能性もゼロではありませんので、しばらくは注意深く運転し、少しでも気になる症状(変速ショックが大きくなった、異音がするなど)が出たら、早めに点検を受けることをお勧めします。