道路は大きくならないのにどうして車は大きくなるのか

モデルチェンジをする度にボディサイズが大きくなる日本車たち。「5ナンバーサイズ」の普通車も最近は珍しくなってきました。しかしながら日本の道路事情が大きくなった車たちに対応して、大きくなっている訳ではありません。

ではなぜボディサイズが大きくなり続けているのでしょうか?今回はこの疑問を様々な角度から見てみましょう。

文・西川 昇吾

Chapter
ターニングポイント1:排気量による自動車税制度の導入
ターニングポイント2:軽自動車の進化
ターニングポイント3:日本専用モデルの減少とグローバルモデルの普及
ボディサイズはどこまで大きくなる?

ターニングポイント1:排気量による自動車税制度の導入

ホンダ アコード インスパイア 1989

最初の大きなターニングポイントと言えるのが、排気量によって金額が決まる現在の自動車税制度の導入でしょう。0.5Lずつ金額が高くなっていく現在の自動車税制度ですが(2019年7月現在)、これは1989年に導入されたものです。

それまで乗用車は3ナンバー車と5ナンバー車で税金額が分けられていました。3ナンバー車は普通乗用車、5ナンバー車は小型乗用車とされていて、もちろん5ナンバー車の方が税金は安かったです。そして5ナンバー車の基準は以下の通り。

・長さ4.7m以下

・幅1.7m以下

・高さ2m以下

・排気量2,000㏄以下

これらの条件を1つでも超えてしまうと3ナンバー車となってしまい、税金が高くなってしまいました。そのため1989年までは日本市場ではコンパクトな5ナンバー車を求める声が多かったでしょう。しかし現在の自動車税制度の導入によりボディサイズに捉われる必要性が低くなりました。

加えて1989年と言えばバブル時代真っ盛り、市場はもっと大柄で高級感のある車を求めました。現在でも3ナンバー車(普通乗用車)と5ナンバー車(小型乗用車)の法規上の区別はありますが、税金面では差がないため5ナンバー車である必要性はあまりないのです。

ターニングポイント2:軽自動車の進化

ホンダ N-ONE

ボディサイズが大きくなると駐車場や住んでいる道路事情の関係で困ってしまうユーザーもいることでしょう。そのため今でも小さな車を求める声はあります。しかし小さな普通車が減ってしまった原因として軽自動車の進化が挙げられるでしょう。

近年の軽自動車は一昔前の質素なイメージの軽自動車と違い、性能面はもちろん、装備も充実しており、コンパクトカーにも引けをとらない魅力的なモデルたちが数多く存在します。

長距離移動が多いユーザーならともかく、通勤やお買い物などの短距離移動が多いユーザーにとって、ボディサイズやランニングコストの面で優位な軽自動車は魅力的なのです。ボディサイズを気にするユーザーたちが現代の軽自動車に満足しているという見方もできるでしょう。

ターニングポイント3:日本専用モデルの減少とグローバルモデルの普及

かつては多く販売されていた日本専用モデル、しかし車の寿命が伸びたことによる日本市場の伸び悩みとコスト集約などの問題から日本専用モデルは少なくなってきています。

そうなると諸外国で販売されているグローバルモデルを日本市場に投入するのが自然な流れになるのですが、日本よりも大きな国土と道路を持ち、日本人よりも大柄な諸外国ユーザーに受け入れてもらうために必然的にグローバルモデルは大型化していきます。

このようなグローバルモデルを日本市場に投入すると「最近の車大きくない?」という声が上がってくるのです。

ボディサイズはどこまで大きくなる?

住宅街 道路 ひし形

ボディサイズが大きくなっているのは一概にこれらの理由が全てでなく、様々な理由があるでしょう。しかしボディサイズが大きくなっている事実は変わりません。

限度はあるでしょうが、今後もボディサイズが大きくなるのは考えられます。逆に小さくなる可能性は少ないでしょう。各種センサーを駆使した運転支援技術などで、大きくなっても運転しやすい車にメーカーが仕上げているという面もあります。

今後ボディサイズはどこまで拡大するのか?ストップするのはいつなのか?注目していきたいトレンドでもありますね。

西川 昇吾|にしかわ しょうご

1997年生まれ。富士スピードウェイ近隣で生まれ育ち、大学で自動車に関する学習をする傍ら、自動車ライターとしての活動を始める。過去にはコミュニティFMのモータースポーツコーナーにてレギュラー出演経験あり。「書くこと、喋ることで自動車やモータースポーツの面白さを伝える」ことを目標とし、様々なジャンルのライティングや企画に挑戦中。

西川 昇吾|にしかわ しょうご