小さな突起「エアロスタビライジングフィン」とは?整流効果を解説!
更新日:2024.09.09
※この記事には広告が含まれます
飛行機、列車、そして自動車。高速で移動する物体が必ず悩まされるのが、「空力」です。地球に空気が存在するゆえに、その空気を制するために、これまで様々なアイデアが試されてきました。
文/写真・山崎 友貴
文/写真・山崎 友貴
空気の流れをいかに制するか
皆さんは「空力」という言葉を聞いたことがあると思います。地球には空気の壁があり、その中を進もうとすると空気によって力を受けます。例えば車ですが、進む方向と反対に働く『抵抗』、車に対して垂直方向に働く『揚力(リフト・ダウンフォース)』、そしてサイドから働く『応力』です。
この空力抵抗をどうやって低減させるかということに、移動体を設計してきたエンジニアは挑戦してきました。例えば新幹線やジェット機の流線型のデザインは、そのひとつと言えます。
自動車は20世紀に高速化が進みましたが、デザインもさることながら、空気抵抗や揚力をいかに減らして、エンジンのパワーを効率よく伝えるかということが課題になります。
そして生まれたのが、エアロパーツです。エアロパーツは主にレースシーンで進化し、現在でもF1マシンには様々な場所に様々な形状のエアロパーツが装着されています。F1という究極の車においては、空力性能が勝敗の鍵を握っており、パワーユニット以上に重要と言われているのです。
市販車においても、90年代頃から様々なエアロパーツが付けられるようになりました。車両前下部のリップスポイラー、横下部のサイドスカート、そして車両後端に付けられるウイングなどです。
これらは高性能なスポーティカーの特徴ともなっていましたが、近年では操縦安定性や燃費の向上にも効果があることから、コンパクトカーやミニバン&ワンボックスカー、軽トールワゴンなど、幅広いカテゴリーの車に装着されるようになっています。
この空力抵抗をどうやって低減させるかということに、移動体を設計してきたエンジニアは挑戦してきました。例えば新幹線やジェット機の流線型のデザインは、そのひとつと言えます。
自動車は20世紀に高速化が進みましたが、デザインもさることながら、空気抵抗や揚力をいかに減らして、エンジンのパワーを効率よく伝えるかということが課題になります。
そして生まれたのが、エアロパーツです。エアロパーツは主にレースシーンで進化し、現在でもF1マシンには様々な場所に様々な形状のエアロパーツが装着されています。F1という究極の車においては、空力性能が勝敗の鍵を握っており、パワーユニット以上に重要と言われているのです。
市販車においても、90年代頃から様々なエアロパーツが付けられるようになりました。車両前下部のリップスポイラー、横下部のサイドスカート、そして車両後端に付けられるウイングなどです。
これらは高性能なスポーティカーの特徴ともなっていましたが、近年では操縦安定性や燃費の向上にも効果があることから、コンパクトカーやミニバン&ワンボックスカー、軽トールワゴンなど、幅広いカテゴリーの車に装着されるようになっています。
小さな突起が驚くべき整流効果を生む!
2011年頃から、トヨタ車に見られるようになった整流パーツが「エアロスタビライジングフィン」です。ドアミラーベース、そしてリアコンビネーションランプのサイド、ボディー下部などに取り付けられるもので、非常に小さいのが特徴です。
「突起を付けたら、かえって空力が悪化するのでは?」と思われるかもしれませんが、こうしたパーツは「ボルテックスジェネレーター」と呼ばれており、飛行機や新幹線などに取り入れられている汎用的な技術です。
エアロスタビライジングフィンというのはトヨタの商標で、その形状が独自のもの。水中を130km/hで泳ぐカジキマグロの断面形状の比率を参考にしているそうです。
エアロスタビライジングフィンは86のようなスポーティカーをはじめ、アクアやヴォクシー&ノア、そしてハイエースといった商用車にまで装着車両が広がっています。では、このパーツはいったいどんな効果を生むのでしょうか?
車が高速で空気の中を進むと、Aピラー付近やコーナーでいくつかの渦が発生します。これにより、車体を流れる空気が波打つように流れ、ボディーから空気の流れは離れていきます。この空気の流れが「剥離」する時に抵抗が発生したり、車両後部のフラつきを生むのです。
そうした空気の流れがある場所にエアロスタビライジングフィンのような突起を設置すると、空気がフィンに当たって縦に回るらせん状の流れを車体に沿って発生させます。この軸流に周囲の気流が1.2倍(トヨタ発表数値)に増速しながら引き寄せられ、走行中の空気抵抗を減らします。
その他の効果としては、微操舵時の応答性向上、操舵時の手応えの向上、ヨーの復元力&減衰力の向上、ロール減衰の向上が期待できます。
エアロスタビライジングフィンは、空気の流れが速い部分に取り付けると効果が高まるため、トヨタは車両のドアミラーとリアコンビネーションランプの側面、フロアアンダーカバーに付けているのです。
ちなみにこのパーツは車両の空力を改善することから、静粛性や燃費改善にも効果を発揮すると言われています。
「突起を付けたら、かえって空力が悪化するのでは?」と思われるかもしれませんが、こうしたパーツは「ボルテックスジェネレーター」と呼ばれており、飛行機や新幹線などに取り入れられている汎用的な技術です。
エアロスタビライジングフィンというのはトヨタの商標で、その形状が独自のもの。水中を130km/hで泳ぐカジキマグロの断面形状の比率を参考にしているそうです。
エアロスタビライジングフィンは86のようなスポーティカーをはじめ、アクアやヴォクシー&ノア、そしてハイエースといった商用車にまで装着車両が広がっています。では、このパーツはいったいどんな効果を生むのでしょうか?
車が高速で空気の中を進むと、Aピラー付近やコーナーでいくつかの渦が発生します。これにより、車体を流れる空気が波打つように流れ、ボディーから空気の流れは離れていきます。この空気の流れが「剥離」する時に抵抗が発生したり、車両後部のフラつきを生むのです。
そうした空気の流れがある場所にエアロスタビライジングフィンのような突起を設置すると、空気がフィンに当たって縦に回るらせん状の流れを車体に沿って発生させます。この軸流に周囲の気流が1.2倍(トヨタ発表数値)に増速しながら引き寄せられ、走行中の空気抵抗を減らします。
その他の効果としては、微操舵時の応答性向上、操舵時の手応えの向上、ヨーの復元力&減衰力の向上、ロール減衰の向上が期待できます。
エアロスタビライジングフィンは、空気の流れが速い部分に取り付けると効果が高まるため、トヨタは車両のドアミラーとリアコンビネーションランプの側面、フロアアンダーカバーに付けているのです。
ちなみにこのパーツは車両の空力を改善することから、静粛性や燃費改善にも効果を発揮すると言われています。
後付けでも果たして効果がある?!
トヨタ車に取り付けられているエアロスタビライジングフィンは、基本的にパーツの一部形状となっていますが、果たして後付けをして効果があるものなのでしょうか。
トヨタが純正部品として、レクサス各車やヴィッツ、プリウス用を出していることを考えれば、十分に効果があると言えるのではないでしょうか。
トヨタ純正部品の場合、価格は1万円以上と高額ですが、自動車用品店などに行くと1,000円以下のリーズナブルなボルテックスジェネレーターが売られています。一般的には風切り音防止用として売られているようですが、中には「フラつき防止」と謳っている商品もあります。
どの商品も両面テープで車体に付けるだけという手軽なもので、時速60km/h以上の中速域から効果が表れると言われていますが、効果の実感は人それぞれというのが実情のようです。
今回、筆者も愛車に付けてみました。装着した車両はジープ ラングラーアンリミテッド。箱形なので、車両後部に乱流は発生しやすいボディ形状で、空力の改善を実感しやすいと言えます。
フィンの装着は、ドアミラー脇に2個、それと水平位置の車両後部に2個。テストは直線の高速道路を100km/hで、未装着50km、装着後50kmを走行して比較しました。テストでは、サイドミラー付近の車内騒音(ドアミラー付近の風切り音がする場所で計測)、燃費を計測しています。
まず騒音の計測値ですが、未装着時には78〜81dbだったのが、装着によって80〜82dbとなりました。数値は若干上がっていますが、誤差の範囲で、変化がないと言っていいでしょう。
燃費も関しても、未装着時10.4km/ℓが装着後10.6km/ℓと、ほぼ変化がありませんでした。燃費に関しては、走行距離が短いため、長距離を走ればもっと差が出ていたかもしれません。
装着によっては数値上では変化がないように見えますが、フィーリングに関しては若干の変化が見られました。これまで高速で走行すると、若干リアタイヤの不安定さがあったラングラーですが、ステアリングがピタッと中立付近で止まった感じがします。
さらに、ハンドルを少し切っただけで、車の頭がスッと切った方に動き、回頭性が若干改善されたように感じられました。このフィーリングの改善は、トヨタがエアロスタビライジングフィンに関しての効能として謳っている部分と合致します。
ただし、この変化は誰にでも「改善」と捉えられるかというと、そこは千差万別だと言えます。例えば、空力性能に優れた流麗なフォルムを持つクルマに付けた場合、その差というのはなかなか分からないかもしれません。
トヨタが純正部品として、レクサス各車やヴィッツ、プリウス用を出していることを考えれば、十分に効果があると言えるのではないでしょうか。
トヨタ純正部品の場合、価格は1万円以上と高額ですが、自動車用品店などに行くと1,000円以下のリーズナブルなボルテックスジェネレーターが売られています。一般的には風切り音防止用として売られているようですが、中には「フラつき防止」と謳っている商品もあります。
どの商品も両面テープで車体に付けるだけという手軽なもので、時速60km/h以上の中速域から効果が表れると言われていますが、効果の実感は人それぞれというのが実情のようです。
今回、筆者も愛車に付けてみました。装着した車両はジープ ラングラーアンリミテッド。箱形なので、車両後部に乱流は発生しやすいボディ形状で、空力の改善を実感しやすいと言えます。
フィンの装着は、ドアミラー脇に2個、それと水平位置の車両後部に2個。テストは直線の高速道路を100km/hで、未装着50km、装着後50kmを走行して比較しました。テストでは、サイドミラー付近の車内騒音(ドアミラー付近の風切り音がする場所で計測)、燃費を計測しています。
まず騒音の計測値ですが、未装着時には78〜81dbだったのが、装着によって80〜82dbとなりました。数値は若干上がっていますが、誤差の範囲で、変化がないと言っていいでしょう。
燃費も関しても、未装着時10.4km/ℓが装着後10.6km/ℓと、ほぼ変化がありませんでした。燃費に関しては、走行距離が短いため、長距離を走ればもっと差が出ていたかもしれません。
装着によっては数値上では変化がないように見えますが、フィーリングに関しては若干の変化が見られました。これまで高速で走行すると、若干リアタイヤの不安定さがあったラングラーですが、ステアリングがピタッと中立付近で止まった感じがします。
さらに、ハンドルを少し切っただけで、車の頭がスッと切った方に動き、回頭性が若干改善されたように感じられました。このフィーリングの改善は、トヨタがエアロスタビライジングフィンに関しての効能として謳っている部分と合致します。
ただし、この変化は誰にでも「改善」と捉えられるかというと、そこは千差万別だと言えます。例えば、空力性能に優れた流麗なフォルムを持つクルマに付けた場合、その差というのはなかなか分からないかもしれません。
トヨタは昨今、アルミテープでの静電気除去による空力性改善で特許を取るなど、おもしろいテクノロジーを世に送り出しています。エアロスタビライジングフィンもエンジニアが大真面目に実証した技術なので、間違いなく効果はあるのでしょう。
信じるか信じないかは貴方次第、ではありますが、一度試してみてはいかがでしょうか。
信じるか信じないかは貴方次第、ではありますが、一度試してみてはいかがでしょうか。