クロカンとSUVとCUVの意味と違いを解説!

ボルボ V90 クロスカントリー

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国内ではミニバンに次いで市場のシェアを獲得しているSUV。ですが、昨今はSUVという言葉だけでなく、クロカン4WDやCUVなど、さらに細分化された言葉が使われることが多くなっています。今回はSUVのカテゴライズについて説明しましょう。

文・山崎 友貴
Chapter
クロカン4WDから様々な派生型が誕生した
クロカン4WDはラダーフレームとパートタイム4WDを持ち、本格的なオフロード走行ができる車
SUVはモノコックボディで四輪独立懸架式サスペンションを持ち、多少の悪路であれば走れる十分なロードクリランスを持つ
CUVはB/Cセグメントのコンパクトボディで、SUVに比べるとボディも排気量も小さい

クロカン4WDから様々な派生型が誕生した

十分なロードクリアランスを有し、快適な広さの車内を確保し、さらには存在感の強いスタイリングを持ったSUV。アメリカから生まれたSUVは、この30年間で世界に広がり、どの国でも人気の高いカテゴリーに成長しました。

SUVの正式名称は「スポーツ・ユーティリティ・ビークル」。日本語にすると「スポーツ用多目的車」といった感じになります。何だか分かったような分からないような言葉ですが、要は“何にでも使える万能車”といったところでしょうか。

SUVの誕生は80年代に遡ります。その頃と言えば、クロスカントリー4WD(以下クロカン4WD)の全盛期。Jeepから生まれたクロカン4WDは、主にプロフェッショナル用として使われることが多かったのですが、ロングボディで多人数乗車ができるバリエーションが生まれたことで、一気に民間に広がっていきました。

頑丈なラダーフレーム構造とリジッドアクスル式サスペンション、そして優れた走破性を生むパートタイム式4WDを持つクロカン4WDは、道路インフラが整っていない地域だけでなく、アクティブなレジャーを楽しむ都市生活者にも人気を博していました。

80年代になって、世界的なクロカン4WDがやってきて、世間で広く乗られるようになると、クロカン4WDは「乗用車化」「低価格化」という2つの道を進むこことになります。構造的にコストのかかるクロカン4WDは高価で、収入の少ない若年層には高嶺の花だったのです。

特にアメリカでは、車体に対して屋根がかかっている率によって、自動車保険額が変わります。そのため、車両価格が高く、保険料率が高いクロカン4WDを若年層や低所得層が持つことは困難です。アメリカでピックアップトラックの人気が高いのは、この自動車保険のシステムゆえです。ちなみに、アメリカ向けモデルの中には、セダンをベースに、後部を荷台にして保険料対策をしたモデルも存在します。

しかし、ピックアップモデルには問題がありました。それは荷台がオープンで、カバーをかけないと荷物が濡れて、同時に防犯的に不安が残ります。そこで、アメリカのピックアップトラックユーザー向けに生まれたのがFRP製のトラックシェルです。荷台も有効なスペースとして使えることから、たちまち全米でヒット。これがSUVの源流という説が、もっとも有力になっています。
そして、さらにはピックアップトラックにシェルを被せた風に見せた、ちょっと本末転倒なモデルが発売されます。例えば、3代目のフォード ブロンコや2代目Jeep チェロキーなど。国産車で言えば、ハイラックス・サーフやテラノといったモデルです。

これらのモデルは、クロカン4WDよりもスポーティなボディデザインを持ち、オンロードでもキビキビと走れるサスペンションや動力性能が与えられました。4WDスポーツワゴンと呼ばれましたが、同時にSUVとも呼ばれるようになり、この名前が世界に広がっていきました。

90年代に入ると、RAV4やCR-V、フリーランダーに代表されるライトクロカンが誕生します。軽量なモノコックボディを採用し、サスペンションは四輪独立懸架式を使ったライトクロカンは、低価格を実現したことから、若年層に人気となります。

またクロカン4WDと違って、セダンのような普通の車のように乗れること、2WDも設定して燃費面でもアドバンテージがあったことから、幅広い層に広がっていきます。このライトクロカンが、やがて従来のSUVと融合し、モノコックボディに独懸のサスを持つ背の高い車は、すべてSUVと呼ばれるようになります。

2000年代に入ると、クロカン4WDが衰退し、一方でSUVが先鋭化していきます。ボディをどんどん軽量化する一方で、サスペンションの見直しを行い、さらにはパワフルなエンジンを搭載。スポーティカーに劣らない運動性能を持ったSUVは、その室内の快適性から、富裕層を中心にシェアが拡大していきました。

そして、中国で人気を博したことが起爆剤になり、キワモノという扱いから、自動車のスタンダードなカテゴリーに至ったのです。
一方、SUVほどのロードクリアランスはいらないけど、その雰囲気は欲しい…というユーザー向けに「クロスオーバー」というカテゴリーが誕生します。クロスオーバーは元々、フィアット・パンダなどであったボディバリエーションのひとつですが、2000年代に入ると各社が積極的に発売するようになり、さらには単独モデルとして登場するまでに成長したカテゴリーです。

最近では「CUV(クロスユーティリティヴィークル)」などとも呼ばれますが、はっきりとした基準はありません。ただ、見分け方としては以下のカテゴライズができると思います。

クロカン4WDはラダーフレームとパートタイム4WDを持ち、本格的なオフロード走行ができる車

代表車種:ハリアー、X-TRAIL、CX-5

SUVはモノコックボディで四輪独立懸架式サスペンションを持ち、多少の悪路であれば走れる十分なロードクリランスを持つ

FFとフルタイム4WDの駆動方式が用意されている。
代表車種:ハリアー、X-TRAIL、CX-5

CUVはB/Cセグメントのコンパクトボディで、SUVに比べるとボディも排気量も小さい

悪路のドライブもできないことはないが、フラットダートや雪道ドライブが中心。
代表車種:CH-R、CX-3、XV
正直なところ、どのカテゴリーも完全な定義が存在しないのですが、分からない時にはとりあえずどのモデルも「SUV」と言っておけば、恥をかくことはないでしょう。
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