なぜ世界は電気自動車に向かうのか。エンジン車は生き残れないのか

日産 リーフ

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電気自動車の象徴といえる日産リーフに新グレード「リーフe+」が追加された。バッテリーの総電力量を62kWhと倍近く増やし、航続距離も570km(JC08モード)まで伸ばした。実用レベルでも400km程度はノンストップで走り切れることが期待され、電気自動車のネガとされていた航続距離が改善された。いや、そうでなくとも現行モデルのリーフは売れている。2018年暦年での国内販売台数は25,722台(自販連調べ)。これはトヨタ カムリやホンダ シビック、マツダ アクセラを上回るもので、もはやマイナーな存在ではないといえる。電気自動車は着々と存在感を高めている。

文・山本晋也
Chapter
電気自動車はエンジン車を駆逐してしまうのか?
エネルギー多様性を考えると電気は有利
エンジン車が一定数を下回ると形勢は変わる

電気自動車はエンジン車を駆逐してしまうのか?

売れているといってもリーフの販売台数は、登録車・乗用車全体が2,895,454台であること考えると、わずか0.8%に過ぎない。まだまだエンジン車(ハイブリッドを含む)が大半なのも事実だ。しかし、だからといってエンジン車の未来が明るいわけではない。

昨今、欧州から都市部におけるディーゼル車の進入規制に関するニュースが聞こえてくるが、これは大気汚染の対策だ。それまで熱効率の良さから評価されてきたディーゼルエンジンだが、フォルクスワーゲン・グループで発覚した不正行為により似非クリーンであったと社会が認識したことで、ディーゼルの負の側面であるエミッション性能が注目されるようになってきた。

光化学スモッグやPM(微小なチリ)の原因となる古いディーゼルが排除されようとしている。これは、すでに日本が10年以上前に通ってきた道ではあるが、欧州では古い基準のディーゼル車から排除されようとしている。

そのカウンターとして電気自動車が注目を集めているのは、ご存知の通り。このトレンドが続けば、いずれ排ガスを出さないゼロエミッション車を求める声につながるだろう。それが夢の存在でなく、日産リーフのように量産可能な工業製品として存在しているのであれば、なおさらだ。

エネルギー多様性を考えると電気は有利

電気自動車というのはエネルギー多様性のトレンドにも合致している。内燃機関というのは、人工燃料というアプローチもあるが、基本的には化石燃料によってのみ動かすことができる。

しかし、電気自動車は「電気」という共通フォーマットによって動くモビリティだ。すなわち、風力や太陽光に地熱といった再生可能エネルギーで動かすこともできるし、石油や石炭でも動かせる。地域によっては原子力発電も含まれるだろう。とくに再生可能エネルギーによって維持できるモビリティという価値は、とくに重要だ。

もっとも電気はストレージしづらいという特性があり、電気をいったん水素に変換して保存しておこうというアイデアもある。それが水素社会で、そこで主役になるのが燃料電池車なのも知られているところだ。

いずれにして、ゼロエミッションとエネルギー多様性は相性が良い。逆に言うとシングルソースの内燃機関はエネルギー多様性やゼロエミッションに対応しづらい。

エンジン車が一定数を下回ると形勢は変わる

もちろん、内燃機関が急激になくなるわけではなく、それぞれのエリアにおけるエネルギーバランスに合わせて共存していくであろう。ただし、狭いエリアでは電気自動車の普及が進み、エンジン車の比率がある程度まで減ってしまうと、一気に形勢が電気自動車寄りになるだろう。

そこでポイントになるのが燃料インフラだ。現在でもガソリンスタンドの廃業が問題となっているが、エンジン車(燃料販売)が一定数を下回ると、その地域における燃料インフラが維持できなくなる。そうなると狭い地域でいえば電気自動車にシフトせざるを得なくなる。

モビリティの将来を想像すると、都市部は環境規制の面からエンジン車を徐々に排除し、地方では燃料インフラの維持が難しくなり自然とエンジン車が退場することになる。こうした大きな流れを汲んで、自動車業界は電動化に進んでいるのである。

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