ポルシェ カイエン、後発でもさすがの“速さ”でトップランナーに躍り出た【高山正寛のテレマティクス Now!】

ポルシェ カイエン 2018年

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「うおおっ、これは…」思わず息を呑むほど驚いた。そのハンドリングの素晴らしさ・・・ではなく搭載するインフォテインメントシステムの驚くべき進化に対してである。

文・高山正寛
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PCMが変えた新時代のインフォテインメント
高い基本性能に驚き、サービスの追加でさらなる進化が体験できる
“高材疾足”という言葉が似合いそう

PCMが変えた新時代のインフォテインメント

先に言ってしまうと筆者はそれほどポルシェに強い思い入れがあるわけではない。もちろん、この仕事を長くしている限り、憧れのブランドではあるし、ハンドリング性能の高さなどは試乗する度に「うむむ」と唸ってしまうほど「クルマに乗るという意味」を考えさせてくれるほどある種の哲学が伝わってくる。

しかし過去カーナビゲーションをコアとするシステムに関してはそこへの資源集中、言い換えれば“プライオリティ”は低めであった。実際知り合いの「ポルシェ乗り」と話していてもナビゲーションの話などは「何かいい商品あったら紹介してよ」と最後に少しだけ出る程度(ちょっと悲しい)。もちろんそれ自体は全然否定しないし、ユーザーのポルシェへの愛も感じていたものだ。

しかし世の中は進んでいる。そもそもインフォテインメントはインフォメーション(情報)とエンタテインメント(娯楽)の造語、さらに昨今では通信を活用し外部から情報を取得しドライブに役立てる「テレマティクス技術」は当たり前になりつつある。

その中でポルシェが採用したのがPCM(ポルシェコミュニケーション・マネージメントシステム)である。他社に追従する形になったポルシェのインフォテインメントシステムだが、その進化の速度は極めて早く、後発ながらあっという間に先頭集団に追いつき、今や追い越そうという程の勢いがある。

高い基本性能に驚き、サービスの追加でさらなる進化が体験できる

車内に乗り込んでみてまず目に飛び込んできたのがコアシステムとなる「PCM」の大画面化だ。サイズは12.3インチと昨今の高級輸入車と同等ではあるが、評価すべきはそのディスプレイの美しさと地図画面の見やすさだ。

ディスプレイ自体はHD(High Definition)化されており、地図上の文字のジャギー(ギザギザ)感も少ない。また3D画面で市街地地図を表示した際にはビル群などの建物も3D化されるが、これを表示する際のスピードが早い。

最近では少なくなってきたが実際の走行速度に3D画面の生成が待ち合わず表示された時にはすでその場所を通過していた…なんてほとんど意味のないナビも存在した。その点カイエンのPCMは必要な情報をバランス良く表示する(VICSの渋滞情報も見やすい)ので3D化しても周辺の情報も掴みやすい。

次にUIだが、「ポルシェ アドバンストコックピット」の採用により、ほとんどの車両機能をPCM上のタッチパネルや音声認識のほか、ステアリングスイッチ、さらにセンターコンソール上のダイレクトタッチなどで各種操作が行える。

一見、項目としては多く感じるかもしれないが、人によってどのUIを使うかは自ずと変わってくる。その点でも選択の自由がある点はユーザービリティの点でも高いと思うし、それほどハードルは高くない。またメーター内には7インチのフルHDディスプレイがタコメーターの両サイドに2個配置されているが、これらを切り替えることでナビ画面などを表示できるなど昨今のトレンドもしっかりと取り入れている。

そして何よりも注目すべきは「ネットワークへの対応」であろう。元々カイエンのナビゲーションシステムは最先端の「ナビゲーションプラス」となっているが、LTEやWi-Fiに対応することで一気にその性能を高めている。

特にLTEを使うことでリアルタイムの交通情報を取得し最適なルートを提案する「オンライン交通情報」が活用できる点は大きな進化だ。元々PCMのルート探索能力は実際使ってみても高いレベルと感じたが、ナビゲーションプラスは並列処理を行っているようでオン/オフラインいずれか最適なルートを提案するように感じた。

“高材疾足”という言葉が似合いそう

基本性能の高いカイエンのPCMだが、これをさらにレベルアップさせるのが「Porsche Connect」と呼ばれるサービスだ。これは専用のサイトにアクセスすることで多彩なサービスを入手、利用できるものだ。

前述したオンライン交通情報を含め、Google Earthやニュース/天気予報/駐車場情報など多彩なサービスは「Navigation & Infotainment Services」に含まれているが、36ヶ月無料で使うことができる。その後は有償となるが、得られる恩恵から考えても価値のあるサービスであることは間違いない。

さらにスマホに「ポルシェ コネクト アプリ」をインストールすることで車両との連携が可能。具体的には車両情報をスマホ側で確認できたり、ナビゲーションの目的地設定をスマホ側で行い事前に転送しておくことでスマートにドライブを始められるなど、前述したLTEを搭載していることで多彩なサービスを享受することができる。

またAppleのインフォテインメントシステムである「CarPlay」にも対応しているが、これだけシステムが充実しているのであれば積極的に接続させる必要もないと感じるほど完成度は高いと感じた。

結論としては「クルマも早いがインフォテインメントの進化もさすがに早い!」である。“高材疾足”という四字熟語があるが、これは「知勇を兼ね備え、優れた才能や能力をもった者」の例えを言う。ポルシェにおいても最新のインフォテインメントシステムを持つカイエンの印象はまさにここに尽きるのである。

【ポルシェ カイエン ターボ】ポルシェカイエンの外装、内装、荷室など徹底解説!!【解説編】

ポルシェカイエンは、2002年に初代が誕生しました。このカイエンはポルシェの業績不振から救った救世主として知られています。 今回ご紹介するポルシェカイエンは、カイエンターボというカイエンのグレードの中でも上から2番目のグレードになります。3代目へと進化した、カイエンはMLBエボというアーキテクチャを使用し、アウディQ8、ランボルギーニウルス、ベントレーベンテイガなどにも使用されています。果たしてどんなSUVになっているのか? CARPRIMEナビゲーター、河西啓介が解説します。

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