王道をゆく、安心感たっぷりの進化を見せた新型カイエン【鈴木ケンイチのダンガン一閃!】
更新日:2024.09.09
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ポルシェとはいわず、いまや世界のスポーティSUVの代表格となるカイエン。その最新モデルを試乗した。昨年の夏に欧州で発表され、日本にも今年になってようやくデリバリーが始まった、第3世代のカイエンだ。
文・鈴木ケンイチ 写真・S.Kamimura
文・鈴木ケンイチ 写真・S.Kamimura
運転席に収まると感じる、ドラマティックな進化
新世代モデルを目の前にしても、正直、あまり新しさは感じない。全長を63mm伸ばし、全高を9mm下げた、フロントのエアインテークを大きくしたと言われても、その印象は旧来のカイエンそのもの。よく見ればヘッドライトがLEDになっているし、タイヤも前後サイズが異形になっている。
フロントが幅255サイズの19インチなら、リヤは275サイズだ。911などのスポーツカーには、よくあることだが、SUVとしては異例のタイヤサイズと言える。しかし、新型モデルにおけるルックス面の変化は最小限だと言っていいだろう。
一方、運転席に収まると、新世代ならではの進化が実感できる。HMI系が新しくなり、ひと足先に世代を新しくしたパナメーラやマカンと同様の意匠になっているのだ。自動ブレーキなどのADAS系も最新のものとなっていた。つまり、今どきのクルマに求められる、運転支援やコネクテッド系、エンターテインメント系といった部分は、ドラスティックに進化していたのだ。
フロントが幅255サイズの19インチなら、リヤは275サイズだ。911などのスポーツカーには、よくあることだが、SUVとしては異例のタイヤサイズと言える。しかし、新型モデルにおけるルックス面の変化は最小限だと言っていいだろう。
一方、運転席に収まると、新世代ならではの進化が実感できる。HMI系が新しくなり、ひと足先に世代を新しくしたパナメーラやマカンと同様の意匠になっているのだ。自動ブレーキなどのADAS系も最新のものとなっていた。つまり、今どきのクルマに求められる、運転支援やコネクテッド系、エンターテインメント系といった部分は、ドラスティックに進化していたのだ。
ポルシェならではの自信ある走り
一通り、内外装をチェックした後は走りのチェックだ。新世代のカイエンは、エンジンもシャシーも新しくなっている。通常のカイエンには、最高出力340馬力/最大トルク450Nmの3リッターV6ターボ・エンジンが搭載される。
高性能なカイエンSには、最高出力440馬力/最大トルク550Nmもの2.9リッターV6ツインターボ・エンジン。トランスミッションには8速ATが組み合わせる。また、前後異形ホイールを履く新世代シャシーには、エレクトリック・リア・アクスル・ステアリングが採用され、安定性と俊敏性、取り回しの良さを高次元でバランスさせるという。
試乗車は、スタンダードなカイエンであったが、そのパワーは必要十分以上であった。飛ばそうと思えば、ポルシェの名に恥じない溌剌とした加速感を味わえる。しかし、嬉しいのは、アクセルが過敏ではなく、ゆったり走ることも可能だということだ。ジェントルにもアグレッシブにも、ハンドルを握る人間の気持ちひとつで新型カイエンは、その動きを変化させるのだ。
走り全体の印象はソリッドで、スポーティと呼べるものだが、クルマが出しゃばらない。スポーティさを演出するあまり、どこかに力みや無理が見えたりしないのだ。ドライバーの気持ちを急かすことも、逆に興ざめさせることもない。スポーツカー・ブランドの雄であるポルシェならではの“風格”、または“自信”とも言えるだろう。
新技術や新アイテムを使いつつも、安心感たっぷりの意のままの走り。その走り味は、ある意味、コンサバなスポーティ・テイストであった。このフィーリングは、911やパナメーラ、マカンなどと通じるものだろう。
高性能なカイエンSには、最高出力440馬力/最大トルク550Nmもの2.9リッターV6ツインターボ・エンジン。トランスミッションには8速ATが組み合わせる。また、前後異形ホイールを履く新世代シャシーには、エレクトリック・リア・アクスル・ステアリングが採用され、安定性と俊敏性、取り回しの良さを高次元でバランスさせるという。
試乗車は、スタンダードなカイエンであったが、そのパワーは必要十分以上であった。飛ばそうと思えば、ポルシェの名に恥じない溌剌とした加速感を味わえる。しかし、嬉しいのは、アクセルが過敏ではなく、ゆったり走ることも可能だということだ。ジェントルにもアグレッシブにも、ハンドルを握る人間の気持ちひとつで新型カイエンは、その動きを変化させるのだ。
走り全体の印象はソリッドで、スポーティと呼べるものだが、クルマが出しゃばらない。スポーティさを演出するあまり、どこかに力みや無理が見えたりしないのだ。ドライバーの気持ちを急かすことも、逆に興ざめさせることもない。スポーツカー・ブランドの雄であるポルシェならではの“風格”、または“自信”とも言えるだろう。
新技術や新アイテムを使いつつも、安心感たっぷりの意のままの走り。その走り味は、ある意味、コンサバなスポーティ・テイストであった。このフィーリングは、911やパナメーラ、マカンなどと通じるものだろう。
新型カイエン、安心感のある世代交代
走り終わって、新世代のカイエンを総括してみれば、デザインや走り、実用性といった旧来の良い部分は従来の延長線上にブラッシュアップ。運転支援やエンタメ系は、時代に即応するために大幅にリファインというものであった。良いところを残し、悪いところは変えるという、ファンにとっては安心感のある世代交代であったのだ。
考えてもみれば、欧州ブランドは、こうした人気モデルのフルモデルチェンジが上手だ。デザインは同じままのように思えて、実はよく見ればディティールを大きく変化させ、新鮮さを維持させる。走り味など、そのクルマならではの魅力もしっかりと継承しつつ、技術の進化にあわせて、変化すべきところは大ナタを振るう。
そうしたモデルチェンジを行うことで、人気モデルが、次の世代も人気を維持することはできる。ところが、日本ブランドでは、意外と、これが苦手だ。新しさを求めて、旧世代の良い部分までスポイルしてしまうことが多い。
そういう意味では、第3世代のカイエンの進化は欧州ブランドならではのもの。この世代も世界中で人気を集めるのは、間違いないだろう。
考えてもみれば、欧州ブランドは、こうした人気モデルのフルモデルチェンジが上手だ。デザインは同じままのように思えて、実はよく見ればディティールを大きく変化させ、新鮮さを維持させる。走り味など、そのクルマならではの魅力もしっかりと継承しつつ、技術の進化にあわせて、変化すべきところは大ナタを振るう。
そうしたモデルチェンジを行うことで、人気モデルが、次の世代も人気を維持することはできる。ところが、日本ブランドでは、意外と、これが苦手だ。新しさを求めて、旧世代の良い部分までスポイルしてしまうことが多い。
そういう意味では、第3世代のカイエンの進化は欧州ブランドならではのもの。この世代も世界中で人気を集めるのは、間違いないだろう。
【ポルシェ カイエン ターボ】ポルシェカイエンの外装、内装、荷室など徹底解説!!【解説編】
ポルシェカイエンは、2002年に初代が誕生しました。このカイエンはポルシェの業績不振から救った救世主として知られています。 今回ご紹介するポルシェカイエンは、カイエンターボというカイエンのグレードの中でも上から2番目のグレードになります。3代目へと進化した、カイエンはMLBエボというアーキテクチャを使用し、アウディQ8、ランボルギーニウルス、ベントレーベンテイガなどにも使用されています。果たしてどんなSUVになっているのか? CARPRIMEナビゲーター、河西啓介が解説します。
鈴木ケンイチ|すずきけんいち
モータージャーナリスト。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)