スーパーカーを超える"ハイパーカー"とは、どんなクルマ?

ブガッティ シロン

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近年、自動車関連のテクノロジーが目まぐるしい進歩を遂げ、20世紀に描かれたSFが現実のものとなっています。そんななか、スーパーカーメーカーはテクノロジーの粋を集めた超高性能モデルで、しのぎを削っています。「ハイパーカー」とは、そんな超高性能モデルのことですが、一体どんなクルマなのでしょうか。

文・大塩健史
Chapter
ハイパーカー誕生の背景
ハイパーカーの定義とは
代表的なハイパーカー

ハイパーカー誕生の背景

ハイパーカーという呼称が誕生した背景には、あるクルマの存在が欠かせません。それは、2005年にブガッティ オートモビルズ(以下ブガッティ)から登場した「ヴェイロン」です。

スペック、価格ともに当時のスーパーカーの水準を超越し、大きな注目を集めました。億越えの超高価格であっても、納得させられるだけのスペックがあれば、市場ニーズがあることを証明したヴェイロンの存在は、その後の礎を築きます。

そして2008年にパガーニのゾンダF クラブスポーツが、ニュルブルクリンクで7分27秒82という驚異的な市販車最速記録を樹立した頃から、次第にハイパーカーという呼称が登場し始めます。

このようにハイパーカーは、スーパーカーから派生した言葉であり、それまでのスーパーカーを圧倒的に上回る性能を持つものが、"ハイパーカー"と呼ばれていることがわかります。

ハイパーカーの定義とは

ハイパーカーは概念的な呼称であるため、じつのところ明確な定義がされているわけではありません。それはスーパーカーに定義が存在していないのと同様に、線引きすることができないからです。

ただし、ハイパーカーと呼ばれる車両は、おおむね皆似た特徴を持っています。400km/h程度の最高速、独創的なフォルム、億近い超高価格。そしてなによりも、クルマの未来を感じさせるような最先端のテクノロジーが搭載されていることです。

なぜなら、ハイパーカーは、存在そのものがメーカー同士の威信をかけた技術力争いを行ううえで、もっともわかりやすい指標となっているからです。そういった意味では、モーターショーにおけるコンセプトカーにも近い存在でしょう。

代表的なハイパーカー

ブガッティ シロン

実際に、ハイパーカーと呼ばれている代表的なモデルをいくつか紹介しましょう。

まずはハイパーカーの礎を築いたブガッティの「シロン」です。2016年から販売が開始されたシロンの、8.0L W16クワッドターボエンジンは、ヴェイロンの1,001psを上回る1,500psという途方もない最高出力を誇り、公称の最高速度は420㎞/hです。

ヴェイロンで一世を風靡したブガッティが、大幅に進化したクルマを世に出し、世界を驚かせました。

フェラーリ ラ・フェラーリ

イタリアのフェラーリは、自社の名前を冠するハイパーカー「ラ・フェラーリ」を2013年に登場させます。フェラーリ初のハイブリッドカーであり、F1で培われたエネルギー回生システムをフィードバックしたHY-KERSが搭載されています。

6.3LのV12エンジンと、2基のモーターによるハイブリッドシステムの最高出力は963ps。0-100km/h加速はわずか2.4秒と、シロンをも上回るパフォーマンスです。F1テクノロジーを搭載するラ・フェラーリは、未来を感じさせるハイパーカーとして外せない存在でしょう。

ポルシェ 918 スパイダー

ポルシェのハイパーカー「918 スパイダー」もハイブリッドカーです。3基のモーターが搭載された918の最高出力887psは、前述の2台と比べると控えめな印象を受けますが、デビューはラ・フェラーリよりも2年早い2011年で、当時としては驚異的な性能でした。

ニュルブルクリンクで6分57秒のラップタイムを記録するなど、その性能は折り紙付き。また、ハイパーカーとしては異例なほど多い918台という生産台数ですが、見事に完売。メーカーとしての強さ、そしてハイパーカーの魅力の高さを世界に証明して見せました。


どこまでをハイパーカーとして扱うのかは、さまざまな意見があるため難しい話です。しかし、ハイパーカーという新しいカテゴリーが登場したことで、夢のクルマが現実のかたちになっていくのはとても興味深いことです。

日本でもトヨタが「GRスーパースポーツ」の開発に乗り出すなど、新しいクルマ社会の到来が感じられます。誰もが憧れるクルマが登場することで、クルマ離れの社会に一石が投じられると良いですね。

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