エアバッグがない旧車、そのまま乗っても平気なの?

SRSエアバッグ

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今や当たり前の装備になったエアバッグですが、日本の車では1987年のホンダ レジェンドに装着されたのが初めてで、長いクルマの歴史から考えると最近の話です。近年は、運転席や助手席はもちろん、サイド・ニー・後席に至るまで、一台のクルマへの装着個数が増えていっています。では、そもそもエアバッグ装着がなかった時代のクルマに、現在もそのまま乗っていても問題ないのでしょうか?

文・赤井福
Chapter
エアバッグは義務じゃない?
エアバッグは取り外してもいいもの?
エアバックの有無で自動車保険はどうなる?

エアバッグは義務じゃない?

欧米諸国ではすでに義務化されているエアバッグの装着ですが、日本では装着を義務付ける法律はありません。

現在主流になっているのは、SRSエアバッグという機構です。SRSとは「補助拘束装置」という意味であり、保安基準には、「座席ベルト及び拘束装置を補助するために装備された装置」という記載がされています。

シートベルトの装着は義務化されていますが、エアバッグについては補助装置という位置づけがあり、義務化までには踏み切れないのでしょう。

エアバッグは取り外してもいいもの?

装着義務化をされていないエアバッグは、極論、無くしてしまってもいいものなのでしょうか。

答えは車両保安基準に記載されています。こちらを読み解くと、エアバッグそのものの装着は義務化されていませんが、取り外すことにより警告灯が点灯する状態では保安基準には適合しません。

つまり、取り外すことは可能ですが、その状態を車両が異常と感知する状態では、走行してはいけないということになります。

例えば、ダッシュボードに物を置きたいからと、助手席のエアバッグを取り外して、配線処理をしっかりと行わず機能を残したまま走行することは許されません。

しかし、そもそもエアバッグの機能自体がない車では、車両の作りとして異常な状態ではないので、保安基準上問題ありません。

また、純正シートに装着されているサイドエアバッグには、機能をキャンセルするキャンセラーがあり、キャンセラーを装着することで、レカロシートなどのバケットシートに交換した場合であっても警告灯は点かないので、こちらも問題なしとなります。

エアバックの有無で自動車保険はどうなる?

10年ほど前までは、自動車保険の割引項目に「エアバック割引」というものがありました。現在では、ほとんどの保険会社がエアバッグ割引を廃止しています。

10年前までは、エアバッグ装着車=事故死亡率の低い安全なクルマという図式が成り立ち、エアバッグ付きのクルマに乗ることで10%程度の割引を受けられていました。

しかし、現在は標準装備が当たり前になってしまったエアバッグに対し、割引項目としては存在していません。新車への装着率が100%に近くなり、優遇する意味合いがなくなったためです。

そのため元からエアバッグがついていないクルマでも、エアバッグがついているクルマでも算出保険料に違いはありません。車種ごとに保険料率は細かく設定されていますが、エアバッグの有無を加味してはいませんので、エアバッグなしのクルマでも、しっかりと任意保険をかけられます。

法律上義務化はされていませんので、保安基準に適合するか否かで、乗れるかどうかは判断されてしまいます。日本の法律では、シートベルトも義務化とはいえ、旧車によくある「そもそも付いていないクルマ」に関しては、シートベルトなしでの走行も合法となります。

しかしながら、ここまで各メーカーが力を入れているエアバッグには、確かな安全性の向上が裏付けされています。たとえ合法であっても、エアバッグ、シートベルトは安全のために装備しておきましょう。

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文・赤井福
大学卒業後、金融業に従事。その後、6年間レクサスの営業マンとして自動車販売の現場に従事する。若者のクルマ離れを危惧し、ライターとしてクルマの楽しさを伝え、ネット上での情報発信を行っている。
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