クロカン4WD、賢い中古車の選びのコツ

トヨタ ランドクルーザー

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巷ではキャンプブームとなっていますが、これにあわせるように人気上昇中なのがクロスカントリー4WD(オフロード4WD)、いわゆる4駆(ヨンク)です。この4駆は、流行のSUVとどのように違って、どんな魅力があるのでしょう?賢い中古車選びのコツとともに、解説しましょう。

文・山崎友貴
Chapter
四駆は頑丈だが構造もスペシャル
非常に長持ちする四駆だが、メンテのポイントも多い
なにかと”見せたがらない”車両は疑ってかかれ
オフロード走行の有無よりメンテの有無

四駆は頑丈だが構造もスペシャル

自動車市場で世界的なブームになっているSUV。一見するとクロスカントリー4WDとSUVはよく似ており、一般的なドライバーには同じカテゴリーのクルマにみえるかもしれません。しかし、この2台は性格も構造もかなり違っているのです。

まずSUVは、普通の乗用車と同じくモノコックボディ構造を使っており、深雪やちょっとした砂利道が走れるように最低地上高が上がっています。走行シーンのメインはあくまでも舗装路。日常で快適なことに、主眼が置かれて作られています。

先進国の場合、道路インフラが非常に良く、クルマで未舗装路を走るということは非常に希です。ところが発展途上国はそうではありません。地方に行けば、ほぼ未舗装の道が続き、大雨や雨季には道がドロドロになり、オフロードと変わらなくなってしまいます。
そんな地域を走るためにあるのが、クロスカントリー4WDです。車体が激しい衝撃を受けるような岩や凹凸などの荒れ地を走っても、大きなダメージを受けないよう、ラダーフレームを持ち、エンジンのパワーを最大限に活かせるように副変速機(サブトランスファー)を備えています。

また、サスペンションも頑丈なリジッドアクスル式を採用。この足回りは、頑丈さのみならず、左右輪が1本の軸でつながっているので、テコの原理で1輪が持ち上がればもう1輪は地面に押しつけられるという効果があります。これにより、ドロドロの滑りやすい路面でも、タイヤの前に進む力を十二分発揮することが可能なわけです。

もちろん日本ではクロスカントリー4WDの“本気性能”が必要な場所は希ですが、その本物感が受けてか、ひさしぶりにブームが到来しています。街では80、90年代のランドクルーザーなどが多く走るようになり、また新車ではジムニーが大ヒットとなりました。今後もこのカテゴリーの中古車需要がますます好調になっていくのではないでしょうか。

ただ前述したように、クロスカントリー4WDは構造が独特。状態の悪い車両を、知らずに買ってしまうと、後から修理代で大変なことになることもあります。では、中古車購入時に、どんなことに気をつければいいのでしょうか。

非常に長持ちする四駆だが、メンテのポイントも多い

日本では3〜5年くらいでクルマを買い替えることは珍しくありませんが、発展途上国ではクルマは非常に高価なもの。10〜20年使い続けるということはざらです。クロスカントリー4WDはそのために、非常に耐用年数が長くなっているのです。

ラダーフレームから下のシャシーと、アッパーボディが分離でき、シャシーが生きていればボディは多少ヘコもうが歪もうが関係なく走れます。そのため、錆びて穴が開いたクロスカントリー4WDに乗り続けているユーザーは、海外では珍しくないのです。

日本で販売されている中古のクロスカントリー4WDでも、アッパーボディはまるで新車のような車両がたくさんあります。ですが、この見た目の綺麗さに惑わされてはいけません。クロスカントリー4WDの命はエンジン、ラダーフレーム、駆動系、足回りと言っても過言ではないのです。

昔からクロスカントリー4WDのメインテナンスポイントは、「水・油・ゴム」と言われています。水は冷却水が循環するパーツ、油はオイルやグリース、ゴムは樹脂やゴム製のブッシュ類です。これらのメンテナンス、交換が定期的にできていない車両は走行中にトラブルを起こす可能性が高いと言われています。

しかし、自動車のメカニズムに精通している人ならいざ知らず、一般の人が中古車を見てそのコンディションを判断するのは至難の業です。では、どうしたらトラブルを抱えている車両を避けることができるのでしょうか。

なにかと”見せたがらない”車両は疑ってかかれ

今回、何店舗かの国産および輸入のクロスカントリー4WD専門の販売店に、失敗しない中古車選びを聞いてみました。どの店舗も共通して教えてくれたのは「整備記録簿がしっかりとしている車両を選ぶ」ということ。

メンテナンスの記録が不明瞭な車両は、クロスカントリー4WDに限らず、コンディションが担保されていません。どこで、どんなメンテンスをしてきたのかが明瞭な車両は、当然ながらメカトラブルのリスクが少ないということです。

特に「油」のメンテは、クロスカントリー4WDにとって重要です。エンジンオイルしかり、デフオイル、ハブやフロントナックルなど可動部分のグリスアップなどなど。駆動系や足回りに独特のメカニズムを持つため、油脂類の定期的な手入れはマストなのです。

また年式の古いモデルは「水」まわりも大切です。ラジエターや冷却パイプなどに目が行き届いていないと、エンジンに大きなダメージを受けていることもあります。足回りやボディマウントのブッシュなども定期的に交換、メンテをしておきたい部分です。
ちなみにプロの眼から見て、メーカー系およびインポーター系の販売店、クロスカントリー4WD専門店で売られている車は、安心度が高いそうです。トラブルになりそうな箇所はしっかりとメンテナンスされており、部品も純正が使われていることが多いというのがその理由。

4駆を専門としていない中古車店は、見た目だけ綺麗にして、整備はほとんどしないということも珍しくないのだとか。もしお気に入りの車両を見つけたときは、できれば下記のことを確認した方が良いでしょう。

まず整備記録簿を見て、定期的なメインテナンスが実施されているかを見ましょう。

次に、できれば試乗させてもらいましょう。ナンバーがなく試乗できない場合は、敷地内で少し動かせてもらい、各部から異音が出ないから確認したいところです。

店によっては「これから整備するから」と言われる場合も多いのですが、その場合は整備内容を良く聞き、できれば整備状況や交換したパーツを写真に撮ってもらいます。僕が実際に聞いた例ですが、整備をきちんとせずに壊れたサスペンションにシャシーブラックで塗装してゴマかしていたという悪質な業者もいまだにいるようです。

やたらと状態を隠したがり、「きちんと整備して渡すから」と言い訳をする販売店は、はじめから避けておいたほうがリスクを回避できます。
また、カスタムされた車両よりも、ノーマルに近い状態の車両を選んだほうが無難です。見た目の格好の良さや購入予算を考えて、ドレスアップやチューニングをしている車両を欲しくなる気持ちは分かります。特にクロスカントリー4WDの場合、リフトアップしているほうが格段に良く見える場合があります。

しかし、こうした車両はパーツが新しければ問題はありませんが、いつ装着したのか分からない場合もあります。また劣化したときに、そのパーツが再入手できないというケースもあり、結果的に高く付くことが多いそうです。

できればノーマル状態で手に入れて、後から自分の好きなパーツを装着するほうが良いというのが、プロからのアドバイスでした。

オフロード走行の有無よりメンテの有無

車両によっては、本格的なオフロード走行をしているのも、クロスカントリー4WDの中古車の特徴です。こうした車両は下回りを岩などにヒットしていたり、深い泥水の中に入って駆動系が浸かっていたりする場合があります。しかし、ぶつけてフレームや足回りなどを損傷している場合は別ですが、オフロードを走っている車両がダメというわけではありません。

オフロードを走っていても、前オーナーがしっかりと定期的なメンテナンスを実施し、部品交換も行っている車両であれば、それほど大きな問題ではないと言えます。ただし、車両の下回りやエンジンルームを見たときに、泥汚れなどが残っている場合は別です。

しっかりと洗浄がされていない車両は、メンテナンスも施されていない可能性があります。なぜならメンテナンスはしっかりと汚れを落とさないとできないこともありますし、整備が済めば必然的に綺麗になるからです。あまり汚れている車両は避けたほうが賢明かもしれません。

クロスカントリー4WDは、手をかけさえすれば、長い期間乗ることができます。実際、70年代の4駆がいまも元気に走っているのは珍しいことはではありません。ただ、いつも快調に乗るには、メンテンスとそのコストが普通の車よりも高めだということも知っておきましょう。

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