ABS車におけるポンピングブレーキの必要性と安全なブレーキング方法

ブレーキペダル

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運転免許の教習で「ポンピングブレーキ」を習った記憶はありませんか?

しかし現代の車はほとんどABS(アンチロックブレーキシステム)を搭載しており、「ABS装着車ではポンピングブレーキは必要ないのでは?」と疑問に思う方もいるでしょう。実際、この問題は意見が分かれており、「むしろ危険」と指摘する専門家もいます。


本記事ではABSとポンピングブレーキの関係について、ABSの目的や仕組み、ポンピングブレーキの歴史的背景と正しいブレーキの踏み方を初心者にもわかりやすく解説します。雨天や雪道など状況別の安全なブレーキテクニックも紹介しますので、ABS搭載車でもより安全に運転するための知識を身につけましょう。

CARPRIME編集部

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Chapter
ポンピングブレーキとは?機能・効果を初心者向けに解説
ABS(アンチロックブレーキシステム)とは?仕組みと安全効果
ABSなし/ありで異なるブレーキ操作のポイント
ABS車にポンピングブレーキは必要?最適な急制動の方法
ポンピングブレーキの誤解と注意点を徹底解説
路面別ブレーキ術:雨・雪・氷で安全に止まるポイント
雨天の濡れた路面で安全に減速するコツ
雪道・アイスバーンで制動距離を縮めるテクニック
まとめ|ABSと正しいブレーキングで安全運転を

ポンピングブレーキとは?機能・効果を初心者向けに解説

ポンピングブレーキとは、ブレーキ時にタイヤのロック(滑り)を防ぎ、ロックを解除して制動距離を縮め車のコントロールを保つためのテクニックです。
ABSがなかった時代には重要視された運転技術でした。雨天や雪道などでは、ブレーキを強く踏むとタイヤがすぐロックして滑走しがちです。そこでペダルを一気に踏まず、断続的に踏み込めばタイヤのロックをある程度避けられます。

また、ブレーキを小刻みに踏むとブレーキランプが点滅し、後続車に減速を知らせる効果もあります。このような予備制動としての使い方は教習所で指導されることもあります。しかし実際にポンピングブレーキを使うドライバーは少なく、ABSに任せた方が安全・確実と考える人がほとんどです。

ABS(アンチロックブレーキシステム)とは?仕組みと安全効果

ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)は、タイヤのロックをセンサーが検知するとブレーキ液圧を自動調整してロックを防ぐ安全装置です。
簡単に言えば、人間が行うポンピングブレーキと同じ操作を電子制御で高速に実行してくれる装置で、現在の新車には標準搭載されています。ABS作動時は急ブレーキでも車輪がロックしないため、ハンドル操作で危険を回避でき、車体の安定性も確保されます。

ただしABSは万能ではなく、路面状況によって制動距離を劇的に短縮してくれるわけではありません。ABSの目的はあくまで急ブレーキ時の車両のコントロール維持(滑りを防ぎつつハンドルを利かせること)であり、物理的限界を超えて車を止める魔法ではない点に留意しましょう。

ABSなし/ありで異なるブレーキ操作のポイント

ABSの有無によって緊急時のブレーキ操作は大きく異なります。ABS非搭載車では急ブレーキ時、ドライバーが自分でタイヤロックを防ぐ必要があります。踏みっぱなしにせず、ペダルを何度か緩めたり踏み直したりして制動力を調整しなければなりません。
一方、ABS搭載車ではブレーキペダルを強く踏み込んでそのまま踏み続けるのが正解です。ABSが自動で最適な制動力を確保してくれるため、ドライバーが無理にポンピングする必要はありません。

万一ABS警告灯が点灯する故障時や、ABS非搭載の旧車では、自分でポンピング操作を行いタイヤロックを避けるしかありません。ABS非搭載車ではポンピングブレーキが不可欠ですが、ABS搭載車ではブレーキを踏み続けてシステムに任せる方が安全・確実です。

ABS車にポンピングブレーキは必要?最適な急制動の方法

結論から言えば、ABS搭載車で意図的にポンピングブレーキを行う必要はほとんどありません。ABSが急ブレーキ時に自動で断続制御してタイヤのロックを防ぐため、ドライバーがペダルを何度も踏み直す操作は逆効果になり得ます(途中で緩めると制動力が落ちて停止距離が伸びてしまいます)。

ある教習所の指導員も「ポンピングブレーキは必要ないどころか危険です」と述べ、ABS装着車では絶対に行わないよう指導しているそうです。繰り返しブレーキから足を離す癖がつくと、低速時にアクセルとブレーキの踏み間違いを誘発しかねないため危険だとの指摘もあります。

ABSが「効かない」と感じるような極端に滑りやすい路面では、エンジンブレーキ併用やポンピング操作でタイヤにわずかなグリップを取り戻せる可能性もあります。とはいえ、そうした極限状況では早めに減速することが何より重要です。ABSに頼めば絶対に止まれるというものではないため、普段から車間距離を十分とり無理な運転は控えましょう。

ポンピングブレーキの誤解と注意点を徹底解説

誤解1|点滅ブレーキ合図のための操作?

確かにブレーキを断続的に踏むとランプの点滅で後続車に減速を知らせることができます。しかし本来ポンピングブレーキはタイヤロックを防ぎ、制動距離を短くするためのテクニックであり、合図専用のものではありません。高速道路で渋滞末尾に遭遇した際など、ハザードランプと併用して減速意思を後車に伝える例もありますが、そればかりに頼るのは危険です。


誤解2|ABS車でもポンピングの方が速く止まれる?

いいえ、ABS装着車ではブレーキは強く踏み込んで踏み続けるのが最も効果的です。人間が途中でペダルを戻すとその間ブレーキ力が抜けてしまうため、ABS車でポンピングを行うと停止距離が延びてしまうのが一般的です。
ABSは非常に高性能なため、たとえプロのドライバーであっても、ABS以上に短く安定して止まることは極めて困難です。従って、一般ドライバーはABSに任せてパニックにならずしっかり踏み続けることが肝心です。

路面別ブレーキ術:雨・雪・氷で安全に止まるポイント

雨天の濡れた路面で安全に減速するコツ

濡れた路面ではタイヤの摩擦が低下し、制動距離が長くなります。普段よりスピードを落とし、十分な車間距離を取って走行しましょう。

万が一急ブレーキが必要になった場合、ABS搭載車ならペダルの振動に驚かずそのまま踏み続けてください。ABS非搭載車でも、タイヤをロックさせない範囲で断続的にブレーキを踏みましょう。雨天時は晴天時以上に停止までの距離が伸びるため、早め早めの減速を意識することが安全運転につながります。

雪道・アイスバーンで制動距離を縮めるテクニック

雪道や凍結路では極端に摩擦が小さく、慎重な運転が必要です。少しブレーキを踏んだだけでもABSが作動し、普段より停止距離が長くなります。スタッドレスタイヤの装着はもちろん、いつも以上に徐行して車間距離を十分取りましょう。

できるだけ短い距離で止まるには、早めに低いギアへシフトダウンしてエンジンブレーキを併用し、車を安定させてからフットブレーキを使うと効果的です。ABS作動中にペダルが振動しても踏力を緩めず、ハンドル操作で障害物を回避しましょう。

まとめ|ABSと正しいブレーキングで安全運転を

ABSの普及した現代では、通常の運転でポンピングブレーキに頼る場面はほぼなくなりました。

ただブレーキを丁寧にコントロールする技術は身につけておいて損はありません。余裕を持って早めに減速を始める癖をつければ急ブレーキに頼らずに済み、同乗者にとっても快適で車への負担も軽くなります。先進の安全装置に頼りきりにせず、ドライバー自身の運転技術も磨いていくことが重要です。

常に前方への注意と十分な車間距離の確保を心がけ、いざという時に備えてゆとりある安全運転を実践しましょう。

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