NAエンジンでも速い!歴代軽自動車3選

ホンダ ビート

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みなさんご存知のように、軽自動車のエンジン排気量の上限は660cc。最高出力は、メーカーの自主規制によって、各車64psに抑えられています。そのほとんどは、ターボ過給をしたエンジンですが、自然吸気エンジンでも速い軽自動車は存在するのです。今回はそんな「NAエンジンでも速い軽自動車」を取り上げていきます。

文・立花義人
Chapter
パワーウェイトレシオとは?
①ホンダ ビート
②ダイハツ エッセ
③ホンダ トゥデイ(2代目)Xi/RS

パワーウェイトレシオとは?

クルマのスペックの指標のひとつとして、しばしば取り上げられる数値がパワーウェイトレシオです。これは”車重に対する馬力の大きさの割合”のことで、たとえば車重1,000kgのクルマの最高出力が100ps(馬力)なら、パワーウェイトレシオは10kg/psとなります。

この数字が小さいほど、車両は加速性能に優れているという傾向にあると判断できます。つまり馬力が少なくても車重が軽ければ、それなりに”速さ”を持っているというわけです。

実際には、ギア比やタイヤサイズなども絡んでくるので、一概に数字が小さいほうが”速い”と言うことはできませんが、それでも加速性能に関する指針としては、昔から重要な役割をはたしてきました。

今回は、パワーウェイトレシオに加えて、「軽快感を味わえるNAエンジンの軽自動車」という観点で、3台をピックアップしてみました。

①ホンダ ビート

1991年5月に発表されたホンダ ビートは、ミドシップエンジンで後輪駆動、フルオープンモノコックボディを採用し、軽自動車初の4輪ディスクブレーキを装備するなど、本格的なオープンスポーツとして人気でした。

エンジンは、3連スロットルと2つの燃料噴射制御マップ切替方式を組み合わせたハイレスポンス・エンジンコントロールシステム「MTREC」で、NAで64psを発生します。

一方、車重は760kgで、パワーウェイトレシオは11.88kg/ps。ミッションは5速MTのみ、パワーステアリングは装備されないという、なんともストイックなクルマですが、ビートの魅力は運転をする楽しさにあります。

旧軽自動車規格による狭い運転席に苦労して乗り込むと、まず驚くのがそのドライビングポジションの低さでしょう。そして後ろから派手に聞こえてくるエンジンサウンドは嫌が応にもドライバーの気分を盛り上げ、アクセルを踏み込むと8,500rpmのレッドゾーンまで気持ちよく回ります。

その楽しさから、発売後30年近くが経過したいまでも根強いファンは多くいます。ちなみにビートの後継モデルとも言える「S660」はターボエンジン。NAエンジンのビートは、そういった意味でも貴重な存在といえるでしょう。

②ダイハツ エッセ

ミラをベースにした5ドア軽自動車で、2005年12月に発売されました。シンプルな内装と装備による安価な価格設定、新開発エンジンと軽量ボディによる高い燃費性能、加えてかわいらしいヨーロピアンなエクステリアが特徴で、雑貨感の強い気軽に乗れる軽として人気がありました。

しかしエッセの魅力は、親しみやすさや価格だけではありませんでした。ダイハツはエッセのユーザー層を高齢者の移動や営業車として想定していましたが、一部のユーザーは、エッセがスポーツカー資質を持っていることに注目します。

ダイハツが新開発したKF-VE直列3気筒エンジンは、NAながら58psを発生。さらに、アルミ製ブロックと樹脂製パーツを多用して、エンジン単体の重量を軽量化していました。また新規格の軽自動車としてはかなり軽量な700kgという車両重量で、パワーウェイトレシオは12.06kg/psとなかなかの数字を達成しています。

ミッションは5速MTが選べ、軽量かつハイパワー、そしてMTという軽スポーツカーとして充分なスペックが備わっていたのです。

前述のようにエッセは、もともとがスポーツモデルとして開発されたわけではありませんでした。ところが、その走りの楽しさゆえにメーカーからチューニングパーツが販売されたり、社外パーツが出回ったりと、NA軽スポーツとして高く評価される面白い1台なのです。

③ホンダ トゥデイ(2代目)Xi/RS

※画像はトゥディ Ji 1994年モデル

1993年にフルモデルチェンジで2代目となったホンダ トゥデイにスポーツグレードが追加(前期型はXi、後期型はRS)されます。それらには、ビートに搭載されていたMTRECエンジンを58psにデチューンし、3本スポークステアリングとタコメーターが装備されました。

しかしボディは、ビートより80kgも軽い680kg。パワーウェイトレシオは11.72kg/psと、ビートを上回る数字を出し、その軽快さは多くの軽スポーツファンを魅了しました。

ターボ付き軽自動車に比べると、加速での鋭さは譲りますが、8,000rpmまで回るエンジンを使い切る楽しさがあり、軽自動車の草レースではいまだに現役で活躍しています。


ターボエンジンの技術が飛躍的に向上し、NAエンジンのスポーツモデルは少なくなりました。しかし軽さを武器に、あえてNAを選択するというのも、面白いのかもしれませんね。

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文・立花義人
フリーライター。5歳の頃に自動車図鑑で見たアルファロメオのデザインに衝撃を受け、以降クルマに魅了される。様々なクルマの個性を知りたいと考え、免許取得後国産・輸入車問わず20台以上を乗り継ぐ。車検整備を取り扱う企業に勤務していた際、メンテナンスや整備に関する技術や知識を学ぶ。趣味はドライブ、食べ歩き。現在の愛車はパサート・ヴァリアント。
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