操縦安定性と乗り心地を高次元で両立!シビック タイプRのサスペンションの秘密

ホンダ シビック タイプR 2017

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シビック タイプRを”世界最速のFF量産車”とたらしめているのは、その心臓部に収まる「VTEC TURBO」エンジンですが、じつはボディ構造やシャシー性能についても、先進技術が採用されています。なかでも注目は、操縦安定性と乗り心地を高次元で両立させるサスペンション。今回は、シビック タイプRに採用されたサスペンションの秘密に迫りましょう。

文・吉川賢一
Chapter
シビック タイプRに採用されているサスペンション技術
デュアルアクシス ストラット フロントサスペンション
マルチリンク リアサスペンション
アダプティブ ダンパーシステムとは?

シビック タイプRに採用されているサスペンション技術

デュアルアクシス・ストラット・サスペンション
マルチリンク・サスペンション
シビック タイプRには、最高出力235kW(320ps)というハイパワーを使い切るため、サスペンションにはフロントに「デュアルアクシス ストラット」、リアに「マルチリンク」。ダンパーには、電子制御の「アダプティブ ダンパーシステム」が採用されています。

デュアルアクシス ストラット フロントサスペンション

シビックタイプRのようなハイパワーFF車では、左右前輪の駆動力差によって、トルクステアが発生しやすくなります。

トルクステアとは、急発進や旋回中にアクセルを踏み込んだ時に、右と左のわずかな駆動力差によって、タイヤが勝手に向きを変えてしまい、クルマが左右に振られてしまうという危険な挙動です。このトルクステアを低減するため、タイプRは先代から独自の方式を採用しています。

「デュアルアクシス ストラット」と名付けられたタイプR専用のフロントサス形式は、マクファーソンストラット式では一体だった転舵軸(ナックル)を、ストラット軸と独立させ、ホイールセンターに近づけています。

これにより、センターオフセット量を短縮し、トルクステアを低減しています。ちなみに新型のセンターオフセット量は、先代よりも7%縮小。トルクステアをさらに低減させているそうです。

また、キャンバー角(タイヤの倒れ角度)の変化量を適切に設定できるため、タイヤの接地性能が改善、旋回性能を向上させることが可能となっています。

マルチリンク リアサスペンション

リアサスペンションは、従来のトーションビームから、「マルチリンク」に変更しています。

マルチリンクは、一般的に3本以上のリンクあるいはアームで構成されるサスペンション形式で、設定の自由度が高く、操縦安定性と乗り心地が高いレベルで両立できます。特に、タイヤの向き、ホイールアライメントを制御しやすいという特徴があります。

シビック タイプRのマルチリンクは、すべてのアームを、高剛性のサブフレームを介して、ボディと結合させています。サスペンションの動きに応じて、トー角を制御し、これにより優れた旋回性を実現しているのです。

アダプティブ ダンパーシステムとは?

シビック タイプRのダンパーには、振動減衰の効果をリアルタイムで連続制御できる「アダプティブ ダンパーシステム」が採用されています。

ドライバーのハンドル操作情報とアクセル開度、ブレーキ圧力、加速度センサー、サスペンションのストロークセンサーなどから得られる車両挙動情報をもとに、各輪のダンパー減衰力を最適化することで、ハンドルを切った直後のロール挙動や、ギャップ等に乗りあげた時のフワつきを抑え、すぐに次のコーナーに向けての素早い加速をすることができます。
ダンパー減衰力の可変レンジを変更できるアダプティブ ダンパーは、「コンフォート」、「スポーツ」、「+R」の3つのモード備え、日常の市街地走行から、サーキット走行まで、広いレンジの運転条件をカバーすることができるシステムです。

シビック タイプRのサスペンションは、VTEC TURBOのハイパワーをしっかり受け止める頑強さに加え、日常の市街地走行から、サーキット走行まで安定した走りを保証するという、高いレベルの足回りに仕上がっています。

サーキットでのタイムがクルマを評価するすべてではありませんが、ドライバーが全開・全力でサーキットをアタックできるだけの信頼性を持ち合わせていること。これは、タイプRの素晴らしさの一つと言えるでしょう。

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