オンナにとってクルマとは Vol.51 されど接客業

オンナにとってクルマとは

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何度行っても、自動車業界に長く身を置いていても、町の整備工場ほど居心地の悪いところはない。先日、某業界誌の企画で「こんな整備工場はイヤだ!」というテーマの座談会に参加したところ、メンバーの女性全員の意見がそう一致した。

text : まるも亜希子 [aheadアーカイブス vol.145 2014年12月号]
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Vol.51 されど接客業

Vol.51 されど接客業

なぜ居心地が悪いのだろうとその理由を出し合ってみると、そもそもお店を尋ねて行った最初の印象から悪い。受付やフロントのような場所が見当たらず、誰かに声をかけようにもみんな忙しそうで、こちらを見てもくれない。

ようやく「スミマセン」と呼び止めると、あからさまに面倒臭そうに生返事をされる。用件を伝えても、後回しにされたりいつまでも放っておかれたりする。きっと女性たちは、整備工場以外でこんな対応をされる場所を知らないのではないだろうか。

それから、金額の相場があってないようなもの、というのも居心地が悪い原因だ。見積もりを出されても、それが正しいのかどうかがわからない。こっちが女性だとわかると上から目線の態度だったり、どうせ言っても無駄だとばかりに説明を省いたりする整備工場も多いらしい。

かといって、作業の様子をずっと見張っているわけにいかないし、見ていたとしてもよくわからないことが多すぎて、「なんかごまかされているんじゃないか」と疑心暗鬼になる。予定外の部品まで勝手に直されて請求されるケースもあるようで、不信感は募るばかりだ。

さらに、お店の対応は悪くなくても、待ち合い室のテーブルやイスが汚れていたり、タバコ臭かったり、トイレが汚いというのも女性にとっては減点対象。これは整備工場に限らず、ガソリンスタンドでも同じだ。私自身、こういう場所は次回から避けるようになっている。

こうして話をしていて痛感するのは、いくら技術力が問われる整備工場といっても、やっぱり接客業なのだなということ。男性ならば、無愛想でも何でも技術さえ確かならば認める寛容さがあるのかもしれない。でも女性はまず挨拶、正確な説明、清潔な店舗。これがベースにある上での技術力を求めているわけで、要求としてはとても厳しい。

でも、困った時に信頼して愛車を預けられる場所を、いちばん必要としているのも女性だ。整備業界は今、少しずつ変わろうとしている。普段からちょっとしたことでも頼れるような整備工場が、もっともっと増えて欲しいと思う。

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text : まるも亜希子/Akiko Marumo
エンスー系自動車雑誌『Tipo』の編集者を経て、カーライフジャーナリストとして独立。ファミリーや女性に対するクルマの魅力解説には定評があり、雑誌やWeb、トークショーなど幅広い分野で活躍中。国際ラリーや国内耐久レースなどモータースポーツにも参戦している。
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