クルマ作りがこだわり続けたヒストリーガレージの10年 vol.4 百年の流れをつくる

アヘッド ガレージ

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クラシックカーや本、ミニカーという静的なイメージの2階に対し、1階はモータースポーツ色で彩られている。レーシングマシンが展示された中庭は開放的な印象だ。

text:村上智子 photo:渕本智信 [aheadアーカイブス vol.119 2012年10月号]
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vol.4 百年の流れをつくる

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実は1階部分は、開業から3年後改装し直されている。というのも、当時は世界観がまとまっておらず「クルマ好きにとって居心地良い空間」とは言えなかったためだ。

そこで取り入れたのが、2階のミニカー&ブックショップでも採用したストーリー設定である。提案者である北斗インターナショナルの矢藤利夫社長は、「1階の中庭にトヨタの市販車試乗コースの折り返し地点があること、展示車両を修理するレストアピットがあること」から発想を広げた。

―およそ100年前、この場所はヨーロッパのロードレースの折り返し地点だった。折り返す前に、クルマはピットへ、ドライバーは観客席から喝采を浴びながら、コーヒーを片手に一休みしていたものだ。そんなこの場所も、今では少しずつ姿を変えながら、クルマ愛好家のたまり場として受け継がれている…。

2階のショップと同じく、ストーリーにどこまで拘れるかで空間の〝気〟が決まる。だから内装ひとつとっても、おろそかにしない。かつてあっただろうガードフェンスの名残りや、後に作られたであろうコースと建物を隔てるガラス戸など、廃れる物、新たに造られる物をあえて混在させ、100年という時の積み重ねを表現していった。

また、「保存の観点から屋内で展示すること」と指示されていたレーシングマシンを、マシンは外にあってこそ生きるんだ、と直談判。責任を持って管理することを条件に、中庭での展示を許可してもらった。

知恵と想像力と行動力でつくり上げていった1階は、ミニカーや実車によるGPアーカイブ、ドライバーのポートレイトで飾るGPメモリアルラウンジ、元F1ドライバーがデザインしたカフェなど、見どころが多い。次回からは、各エリアに焦点を当て紹介していく。

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