ランドクルーザーとジムニー、似て非なる2台の本格4WD

スズキ ジムニー ランドベンチャー

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日本を代表するクロスカントリー4WDと言えば、ランドクルーザーとジムニーです。2台には共通点がありますが、同時にまったく異なるキャラクターを持っています。今回は、この2台の魅力に迫ります。
Chapter
なぜ「本格4WD」と言われるのか
ランドクルーザーの活躍の場は地球!
実は世界最強の4WDはジムニー

なぜ「本格4WD」と言われるのか

世界各国で活躍しているランドクルーザーとジムニーですが、ランドクルーザーにはランドクルーザー200系とランドクルーザー・プラド、ジムニーにはジムニー660とジムニー・シエラがそれぞれあります。これらの共通点は、ラダーフレーム構造で、リジッドアクスル式サスペンション(ランドクルーザーのフロントサスはダブルウィッシュボーン式)、そしてサブトランスファー(副変速機)を持っているということです。

まずラダーフレーム構造についてお話しましょう。昨今のSUVは、セダンやクーペなど一般的な乗用車と同じ「モノコックボディ構造」を採用しています。鋼板を折り曲げて造ったボディは、製造工程が少なく、軽量、低コストがメリットです。ところが、モノコックボディのクルマは、オフロードなどで激しい衝撃を受けると、ボディが歪んでしまう恐れがあります。

さらにサスペンションも前後とも独立懸架式のものを使っていることが多く、これらのサスペンションも路面からの激しい衝撃に対して、十分なキャパシティを持っているとは言えません。場合によってはボディ同様に、サスペンションが歪んでしまう可能性があります。そうなると車両は走行できなくなってしまうのです。

ランドクルーザーやジムニーは世界の僻地で活躍しているクルマで、道なき道を進み、確実に帰ってこなければなりません。それには、オフロードにも負けない堅牢性を持っていなければなりません。そこで採用されているのが、ラダーフレーム構造とリジッドアクスル式サスペンションなのです。

ラダーフレーム構造やリジッドアクスル式サスペンションはトラックなどにも使われていますが、鋼でできたハシゴ形のフレームを骨格として持ち、これにサスペンション、エンジンが取り付けられ、さらに鋼板で造られたアッパーボディが載せられています。つまりシャシー部分とボディが別々なのです。ラダーフレームは路面からの衝撃を吸収するだけでなく、乗員や荷物などの荷重にも耐えるように考慮されています。

リジッドアクスル式サスペンションは、左右輪をつなぐ鉄の頑丈な軸ケース、いわゆる「アクスル(ホーシング)」を持っているのが特徴です。このアクスルの中にドライブシャフトやデフが入っており、ちょっと障害物にぶつかったくらいでは、曲がったりすることはありません。岩などが転がる道を走るクロスカントリー4WDにはうってつけというわけです。特に荷物などの荷重がかかるリアサスにはマストとなります。

最後にサブトランスファー。ランドクルーザーは常時四輪駆動(フルタイム4WD)、ジムニーは選択式の四輪駆動(パートタイム4WD)ですが、副変速機によって4WD LOWという通常よりも低いギア比を選ぶことができます。ドロドロの道や深雪、急な坂道などでは、同じエンジンのパワーをより大きな力に変えないと走破できません。こういったハードなオフロードでより低いギアを使うことで、走破することが可能になるのです。

ランドクルーザーやジムニーは、舗装路を快適に走ることもさることながら、こうしたハードなオフロードを走ることが前提に設計されています。それゆえに「本格4WD」と謳われているのです。

ランドクルーザーの活躍の場は地球!

今や他にライバルがいないと言われる、ランドクルーザー。その名の通り、世界の荒野を駆け抜けるマルチパーパスなクルマです。現在、ランドクルーザーは世界100か国以上の国に輸出され、地球上のあらゆる地域を走っているのです。

ランドクルーザーの祖先である「トヨタ・ジープBJ型」は、軍用車として生まれました。当時創設されたばかりの警察予備隊(現在の自衛隊)向けのクルマとして開発されました。残念ながら制式採用にはなりませんでしたが、民生用として舵を切り、ランドクルーザーという車名が与えられて現在に至っています。

ランドクルーザーは名車揃いですが、中でも40系(1960〜1984年生産)は、トヨタ自動車が北米市場で初めて成功を収めたモデル。カローラを世界戦略車として考えていた同社ですが、小さくて非力なカローラは売れず、頑丈で激しい悪路も難なくこなすランドクルーザーが評価されたというわけです。

現在、ランドクルーザーはフラッグシップの200系(モデル名:ランドクルーザー)、弟分のランドクルーザー・プラド(150系)、そして海外のみで販売されている70系があります。エンジンはガソリン、ディーゼルでいくつかの排気量が用意されていますが、石油産油国ではガソリン車、それ以外ではディーゼル車が市場のメインとなっています。

また中東やロシア、中国など国土が広く富裕層がいる国ではランドクルーザー200系が人気で、道路状況が悪い国ではプラドのシェアが高いようです。ちなみにレクサスブランドで販売されているLX570は、北米・中国市場を考えて造れたクルマで、数多くのメカニズムを200系と共用している兄弟車です。

ランドクルーザーの魅力は、その快適性に加えて、誰でも簡単にオフロード走行ができるメカニズムです。「マルチテレインコントロール」と呼ばれる電子制御システムは(一部グレードに採用)、アクセルやブレーキなどと連動。走行状態や路面状況をセンサーで把握して、自動的にクルマが前に進むようにコントロールしてくれるのです。

ドライバーは、ステアリングホイールを動かすだけで、オフロード特有の難しいテクニックはいりません。「どんな場所でも安全に帰ってくる」という、開発者の狙いが具現化されているのが、このシステムなのです。

頑丈で長持ち、部品も世界中で手に入るというのが、ランドクルーザーの魅力です。日本ではSUVのひとつとして考えられているランドクルーザーですが、世界には「ランドクルーザーでなければ走れない」という場所がたくさんあるのです。

実は世界最強の4WDはジムニー

4WDやSUVの市場で、ミニマムなモデルと言えば「ジムニー」です。軽自動車規格という、日本独自のボディサイズから生まれたジムニーに匹敵するクルマは、当然ながら世界には存在しません。

日本の山中で林道を走ってことがある人なら分かりますが、とにかく日本の林業用道路というのは軽自動車がギリギリ1台通れる道幅しかありません。林業では軽トラックが多いのですが、人を4人乗せて走るとなると軽トラックでは無理です。そんな時に重宝するのがジムニーというわけです。また道幅の狭い山間部の集落内などでも、ジムニーは最強のコミューターです。

ジムニーは日本のみならず、北米や東南アジアなどで人気ですが、その秘密はコンパクトなボディと優れた悪路走破性。特に悪路走破性は、世界トップと言われているのです。世界にはランドクルーザーをはじめ、メルセデス・ベンツのGクラスや、レンジローバーなどがあるのに、なぜでしょうか。

それは軽自動車サイズゆえの軽さです。例えば砂漠を走る場合、重いクルマは自重でどんどん砂に埋まってしまいます。タイヤが進むための摩擦力(トラクション)を相当高めないと、自分の重さを超えて前進することができません。ところが自重が軽ければ、理論上は砂に沈むことはありません。前進するためのタイヤの摩擦力、パワーも少なく済みます。

これは道がツルツル、ドロドロの急な登り坂でも言えます。車重が軽いということは、オフロードでは最高のメリットなのです。加えて、ボディがコンパクトですから、持ち幅の狭い未舗装路などでも取り回しがラクです。障害物にぶつかるということは、まずありません。

こうしたジムニーの卓越したオフロード性能ゆえに、日本でも海外でもオフロードレースやトライアル競技、トレイルドライブに使う愛好家が多いのです。もちろん、実用車としても大活躍です。日本では軽自動車版のジムニー660と1.3ℓ版のジムニー・シエラのみですが、海外ではオープントップも用意されています。

残念ながら現行型のJB23/43型は、この2月で生産が終了しますが、新型が春から夏にかけて登場する模様です。新型は先代モデルを彷彿させるスクエアなフォルムで、いかにもなクロスカントリー4WDのスタイルです。詳細は不明ですが、従来通りのパートタイム4WD式で、ランドクルーザーのような電子制御を持っていないと言われています。

これは一見するとデメリットのように思えますが、アナログであればあるほど故障する可能性も低く、価格も安く抑えられます。オフロードテクニックは必要になりますが、人車一体のドライビングが面白いのがジムニーなのです。

今回は日本を代表する4WD、ランドクルーザーとジムニーをご紹介しましたが、ゆったり快適に移動したいならランドクルーザー、ライフスタイルの一部として乗りたいならジムニーがオススメです。対局にある2台で、価格もまるで異なりますが、ボディに秘めたハードな性能という点では、両車とも同じと言えるかもしれません。
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