メルセデスGクラスはセレブ向けのファッションアイテムではない!

メルセデス Gクラス 2018

※この記事には広告が含まれます

メルセデス・ベンツのGクラスと言えば、セレブリティのSUVという世界共通のイメージが付いてしまっています。ですが、本当のGクラスは質実剛健のワークホースでした。今回は、その真の姿を探求してみたいと思います。
Chapter
持って生まれた軍用車としての資質
空挺作戦もこなすタフな造り
ボディ形状も伊達に四角くない

持って生まれた軍用車としての資質

Gクラスと言えば、つい先日最新モデルも発表となり、ますます豪華路線を深めています。たしかに快適に乗られることは歓迎すべきlことですが、Gクラスの人気の根底にあるものは、タフな道具への渇望というユーザー心理があるのではないでしょうか。

すべてのSUVが乗用車化を深め、もはやセダンやクーペとの差は車高やデザインでしかないこの時代。四半世紀以上も基本的なフォルムを変えず、スクエアで四輪駆動車然とした同車だからこそ、その人気は途切れることがないのだと思います。

Gクラスの前身は「ゲレンデヴァーゲン」という軍用車上がりの四輪駆動車です。ゲレンデヴァーゲンとは「野外自動車」といった直訳であり、意訳すれば「原野を自在に走れるクルマ」といったところでしょうか。オーストリアの武器・自動車メーカーであるシュタイアー・プフ社に製造協力を依頼し、当初から軍用車として使われることが前提に生まれてきました。

西ドイツ軍(当時)だけでなく、NATO軍の制式車両として採用されたことから、ゲレンデヴァーゲンは一気に評価が上がり、結果的に民生用としても販売されることになりました。

空挺作戦もこなすタフな造り

ゲレンヴァーゲン(Gクラス)は、ラダーフレーム構造というボディ方式を採用しています。昨今の一般的な自動車は、ほとんどがモノコックボディ構造です。鋼板を折り曲げて、ティッシュボックスのように面と面が支え合うことによって強度を保たせる方式のことです。

一方のラダーフレーム構造は、頑丈な鋼鉄製のはしご形フレームにサスペンションや駆動系、エンジンを取り付けて、さらに上に別に作ったボディを載せるというものです。ラダーフレームが路面からの激しい衝撃を吸収するだけでなく、上からの過重にも耐えるようにできています。

サスペンションはリジッドアクスル式というタイプを採用しています。一般的な乗用車は昨今、ストラット式やダブルウイッシュボーン式などの四輪独立懸架式が採用されています。これは4つのタイヤが別々に動き、優れた路面接地性を発揮するというものです。コンパクトかつ軽量に造れるのがメリットです。

一方のリジッドアクスル式は、左右輪がホーシングという頑丈な鉄の軸でつながっています。ラダーフレーム同様、このホーシングが路面からの衝撃を吸収し、また上からの過重にも耐えるという特徴を持っています。ジープやランドクルーザーなどヘビーデューティな4WDは、ほとんどがリジッドアクスル式を採用しています。

ゲレンデヴァーゲンは空挺作戦などでヘリコプターから落下させても、壊れることなく走行できるように造られているのです。またラダーフレーム式ですので、多少ボディが壊れても、フレームから下が正常であれば走れる…というのも、軍用4WDが持っている資質のひとつです。

Gクラスは安全装備なども付いていますが、他のメルセデス・ベンツ車に比べるとシンプルなメカニズムであることも特徴です。4WDシステムもシンプルなパートタイム4WD式で、壊れにくく、トラブルの時でも直しやすいというのが、軍用車スペックなところです。

ボディ形状も伊達に四角くない

ボディ形状がスクエアなのも、きちんと意味があります。軍用車だから生産しやすいようにという側面もありますが、オフロードを走っている時に車両感覚がつかみやすいようにという配慮からです。

オフロードでは、樹木や岩など様々な障害物があります。これら障害物をすり抜ける時に、必ずしも目視ができるわけではありません。死角は自分の感覚に頼らざるを得ないのです。この時、ボディが複雑に膨らんでいたりしたら、直感的に運転するのは難しいはず。

ところが、羊羹のように真四角だったら、「なんとなくここが四隅だよな」と想像がたやすいはずです。それ故にゲレンデヴァーゲンのボディは真四角なのです。

これらの軍用車としての資質は、そのままGクラスに受け継がれ、日常生活でも使いやすいように内装などが変えられました。また、エンジンの拡大化に合わせてタイヤサイズもアップし、大型のオーバーフェンダーが取り付けられて、現在のような姿になったのです。このGクラスに漂っている「荒々しさ」が、多くの人を魅了してやまないのでしょう。

ゲレンデヴァーゲンの質実剛健さは、新型Gクラスにも受け継がれました。昨今「肥大化」していた印象が強かったGクラスですが、全体的なフォルムはゲレンデヴァーゲン時代に戻った印象を受けます。中身はすべて新造ですが、いい意味で昔に戻ったのではないでしょうか。

各部の電子制御化も進み、特にオフロード性能では誰でも難しい難所をクリアできるようになっています。メカニズムなど詳細についてはまた機会を改めますが、新型は間違いなくオールドGクラスファンを納得させる、ゲレンデヴァーゲンのDNAを受け継いでいるようです。

【お得情報あり】CarMe & CARPRIMEのLINEに登録する

商品詳細