ジャパンキャンピングカーショー2018に見るトレンドとは?

【東京キャンピングカーショー2018】会場

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今年も華々しく開催中の「ジャパンキャンピングカーショー2018」。

会場には軽キャンパーから大型トレーラーまで、多様なキャンピングカーが百花繚乱。

このショーからキャンパーのトレンドを探ってみました。

文/写真・山崎 友貴

山崎 友貴|やまざき ともたか

四輪駆動車専門誌、RV誌編集部を経て、フリーエディターに。RVやキャンピングカー、アウトドア誌などで執筆中。趣味は登山、クライミング、山城探訪。小さいクルマが大好物。

山崎 友貴
Chapter
個性を強めているバンコン
自動車メーカーが本気を出し始めた
日本にも本格キャンパー時代が到来か

個性を強めているバンコン

道路や駐車場の事情、さらには車中泊が可能な場所など、様々な制限がある日本。オートキャンパーにはなかなか肩身が狭いと言えますが、日常も使えて、快適な車中泊ができるということで人気なのが、ハイエースやNV350キャラバンをベースに「バンコンバージョン」というキャンピングカーです。

バンコンバージョン(通称バンコン)は、外観はノーマルのままで、車内にキャンピング装備をインストールした簡易タイプのキャンパーのこと。広い駐車場などを要さないため、都市部のユーザーを中心に人気があるカテゴリーです。日本ではもう大分前から、このバンコン市場が活況を呈していますが、昨年7月に大幅な法律改正が実施されたため、各ビルダーも方向性を変えざるを得なくなりました。

というのも、法律改正により8ナンバー以外の横向きシートの装着が不可となってしまったのです。車内にベッドを展開するキャンピングカーにおいて、横向きシートは欠かせないものです。
今回のショーでは前向きにシートを付けてベッドにできるというモデルも見受けられましたが、8ナンバーでより快適性を追求したバンコンが増えたように見受けられました。同時に、車内のレイアウトが各社個性的になり、限られた空間をいかに有効的に活用するかが考えられています。

本来、限られた空間やサイズを活かす製品造りは日本人のお家芸ですので、その意味でもハイエースやキャラバンのバンコンは、ますます面白くなってきたと言えます。

キャンプにおいて、昨今「グランピング(グラマラス+キャンピング)」というムーヴメントがあるように、キャンピングカーにもそれが反映されているモデルが多くなっています。キャンプだから多少の不便は我慢…という思考はすでに古く、家庭と同じ快適さで車中泊を楽しむという思考を各ビルダーはこぞって具現化。当分、このムーブメントは続きそうです。

自動車メーカーが本気を出し始めた

自動車の世界でトレンドを作るのは、大抵はアフターパーツマーケットです。ドレスアップやチューニングがそうであったように、キャンピングカーのムーブメントも各キャンピングカービルダーが長年培ってきました。自動車メーカーはこれまで、ベースになるクルマが売れればいいというスタンスでしたが、ここ数年は活況を呈しているキャンピングカー市場に注目してきました。

ただ、いくら成長市場とは言えども、自動車メーカーが自社の生産ラインを使ってキャンピングカーを製造するのは現実的に難しいものがあります。キャンピングカーの装備は「家具的」な色合いが強く、製造やインストールに独特のノウハウが必要だからです。

そこで、自動車メーカーの一部門(オプション部門や架装部門など)がキャンピングカービルダーと協力して、自社ブランドのキャンパーをリリースするという動向が多くなってきました。

今年のショーでは、日産自動車とトヨタ自動車がオリジナルのキャンパーを出展しています。まず日産自動車。バンコンの老舗「オグショー」とタッグを組み、NV200バネットベースの車中泊仕様「マルチベッドワゴン」を発売しました。NV200バネット・ワゴンにベッドキットを採用した簡易キャンパーですが、レジャーの前泊でちょっと車内で眠りたいという向きには、本格キャンパーよりも使いやすいかもしれません。

何よりも日産系ディーラーで注文できるというワンストップが魅力。修理も車検もメンテも、ディーラーで済むというのはユーザーにとっては利便性が高いのではないでしょうか。もちろん、日産がカタログモデルにしただけあって、品質は申し分ありません。
ちなみに日産は、ビルダー向けにEV「リーフ」のリチウムイオンバッテリーを転用したサブバッテリーシステムも発売を開始します。

キャンピングカーにとって停車中の電力供給は常に頭の痛い問題ですが、このシステムを積めば、2泊3日は余裕で外部エアコンや電子レンジ、TVなどの電化製品を使い続けることができます。すでに多くのビルダーが注目している、新世代のサブバッテリーシステムです。


トヨタ自動車は自社のカスタムブランドである「モデリスタ」から、ハイエースをベースにした「リラックスベース」をリリースしています。レトロバンを彷彿させるエクステリアに加えて、車両後部にフルフラットベッドをインストールしていることが特徴。

このモデルもNV200バネット・マルチベッドワゴン同様、レジャー時の拠点としてのキャラクターが強いクルマです。さらに、全国のトヨタ自動車系ディーラーで購入できるのも、やはり日産のモデルと同じです。

この他にも、トヨタはモデリスタブランドでノア&ボクシーベースの車中泊仕様を参考出品しており、今後自動車メーカーがこの市場に本格参入にしてくることは必至。

さらにまたメルセデスベンツ日本は、Vクラスをベースにした車中泊仕様車「V220 dマルコポーロ・ホライゾン」を発表。フルフラットになる専用シートに加えて、ウエストファリア製のポップアップテントを備えている高級簡易キャンパーです。

魅力的なキャンパーが、近くにディーラーで買えるのは、私たちユーザーにしてみれば魅力的ですね。

日本にも本格キャンパー時代が到来か

日本でキャンピングカーが注目され始めたのは、東日本大震災がきっかけ。レジャーだけでなく、いざという時のためのパーソナルなスペースになるキャンピングカーは、災害対策用品として脚光を浴びました。

そのエントリーモデルだったのが、軽自動車をベースにしたキャンピングカー。安価で手軽なのがウケて、現在も多数のモデルがリリースされています。また、前述のバンコンも普段使いできることから、年々登録台数が増えています。

こうしたエントリーモデル的なキャンパーで車中泊の醍醐味を知ったユーザーが、次のステップとして進むのが本格装備を持ったキャンピングカーです。キャブコン、フルコン、バスコンといったカテゴリーで、簡易キャンパーでは飽き足らないユーザーはよりゴージャスなモデルを標榜します。特にグランピングブームの今、本格キャンパーは着実に登録台数を増やしています。

オートキャンプ人口の中で多いのが、リタイヤ世代です。終活の始まった夫婦が、キャンピングカーで自分のペースで旅を楽しんでいるのです。そうした夫婦は経済的にも余裕があるため、狭くて我慢を強いられる簡易キャンパーではなく、大型のキャンパーを好む傾向があります。

ベッドをいちいち展開するのが面倒なので、でリビングスペース(ダイネット)は独立型、トイレや調理器具も備えているモデルを下見しているシルバーエイジが、ショーでも多く見受けられました。

その影響もあってか、会場には年々大型キャンパーの展示が増えています。人気なのはゴージャスな輸入モデル。特に欧州のキャンパーは、本場の思考で製造されているため、装備も熟成されてこなれたものが多いのです。日本人のライフスタイルとは違うため、国内では限られた人しか所有できませんが、本格的なオートキャンプ場も増加しているため、今後注目度が高いカテゴリーであることは間違いありません。
今回は、東京キャンピングカーショー2018を通して、大まかなムーヴメントをお話しましたが、加えるなら2018年のキーワードはNV200バネット、ハイゼット・カーゴ。これらをベースにしたキャンピングカーが、今年は続々とリリースされると思われます。

家ほど大げさではありませんが、やはり失敗したくないキャンピングカー選び。皆さんも、全国で開催されるキャンピングカーショーで、実車を見てみてはいかがでしょうか。

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