新車購入時244万円...日産 シルビア (S15)は、ドリフトもグリップも楽しめる、クルマ好きには最高の相棒だった

日産シルビアは、生産が終了してから15年以上経った現在でも人気が高いスポーティカー。そんな日産 シルビア (S15)を新車で購入し、6年を共にしたオーナーの思い出話をしよう。

文/写真・工藤 貴宏

Chapter
人生で初めて買った新車
ターボ車だったから簡単にパワーUPを果たして実測値290馬力超え。チューニングが楽しいクルマだった
サーキットでドリフトを勉強するのに最高だった
時代と共に消えてしまったけど、復活を強く願うぞ、シルビア。
日産 シルビア S15 工藤貴宏

人生で初めて買った新車

43年も生きているといろんなことがあるけれど「初」と付くものはやはり記憶に残るし、どれだけ時間が経っても感慨深い。はじめて出かけた海外、はじめての一人暮らしで住んだ場所、はじめて運転したクルマ、そして初めて付き合った彼女。それらは、これからも僕の記憶の中に強く残り続けることだろう。

日産 シルビア S15 工藤貴宏

もちろん「はじめて買った新車」もそうだ。ボクが人生においてはじめて買った新車は、今はなき日産シルビア。「S15」と呼ばれる、シルビアの最後の世代だ。それまでS13シルビアに乗っていた僕からすれば、乗り換えとしてS15シルビアを選ぶのは当然の流れだった。1240kgの軽量な車体にハイパワーなターボエンジンを積んだ後輪駆動で、マニュアルトランスミッションも選べるスポーツカー。当時でも、シルビア以外にはそんなクルマは見当たらなくなっていた。

日産 シルビア S15 工藤貴宏

選んだグレードは「スペックR“ bパッケージ”」。「スペックR」というのはターボエンジン搭載車で、そのなかでも“bパッケージ”はシート表皮などインテリアにブルーをコーディネートしたモデル。もちろんトランスミッションは6速MTだ。250PSのターボエンジンを積んだスポーツカーが消費税別とはいえ244万円で買えたなんて、今にして思えばクルマ好きにとってなんといい時代だったのだろう。

ターボ車だったから簡単にパワーUPを果たして実測値290馬力超え。チューニングが楽しいクルマだった

日産 シルビア S15 工藤貴宏

それにしてもS15のエクステリアデザインのなんと美しかったことか。適度にシャープで、それでいて抑揚がしっかりあってダイナミック。ちょっとイタリア車のようなテイストだったけど、それはそれで悪くない。やっぱりクルマはカッコよくないと好きになれないと思う。

日産 シルビア S15 工藤貴宏

そして、S13シルビアから乗り換えて感じたのは、なんといってもボディのしっかり感だ。はっきりいってS13のボディはかなりヤワく、ドリフトして遊んでいるとどんどん車体が劣化し剛性が落ちていくのを実感した。最後には、コーナリング中に路面の凸凹の影響を受けて変化する車体の歪みでハンドリングがふらつくほど。まだまだ、日本車の車体がしっかりしていなかった時代の話である。

日産 シルビア S15 工藤貴宏

そして、S13シルビアから乗り換えて感じたのは、なんといってもボディのしっかり感だ。はっきりいってS13のボディはかなりヤワく、ドリフトして遊んでいるとどんどん車体が劣化し剛性が落ちていくのを実感した。最後には、コーナリング中に路面の凸凹の影響を受けて変化する車体の歪みでハンドリングがふらつくほど。まだまだ、日本車の車体がしっかりしていなかった時代の話である。

日産 シルビア S15 工藤貴宏

それに比べると、S15のボディはペットボトルをスチール缶に持ち替えたかのように頑丈で、サスペンションの進化もあってハンドリングもシャープだった。そんな車体にハイパワーなエンジンを搭載しているのだから、走りが楽しくないわけがない。S15の開発にあたってはドリフト走行もしっかり考えられていたこともあり、ノーマルでもドリフトがしやすく、かつコントローラブルだった。

日産 シルビア S15 工藤貴宏

しばらくすると車高を下げてカッコよくしたくなり、車高調整式のサスペンションへと交換。そしてマフラーやエアクリーナー、それからエンジン制御コンピューターのチューニングもおこなった。その結果、出力的にはシャシーダイナモでのパワー計測で294psをマーク。軽量ボディと相まって、発進加速はとんでもなく速かった。

サーキットでドリフトを勉強するのに最高だった

日産 シルビア S15 工藤貴宏

楽しんだのは、なんといってもドリフトだ。ボクの運転の腕前はたいしたことはなかったけれど、それでもサーキットでのドリフトを最高に楽しむことができた。

日産 シルビア S15 工藤貴宏

デフはノーマルのまま。だけど、標準でヘリカル式LSDが入っていた。峠道など高低差のある場所ではイン側のタイヤが浮いて空転したり、駐車場への入り口の道路との段差などで片輪が浮くと空転して4WD車でいう対角線スタックのような状態になってしまうこともあったものの、サーキットなど高低差のない場所ではしっかり働いてくれた。そういう意味では、ドリフトするにあたってチューニング費用の掛からないクルマだったといえる。

そもそもエンジンもトランスミッションも丈夫で、手荒に使っても壊れなかったのもよかった。

時代と共に消えてしまったけど、復活を強く願うぞ、シルビア。

日産 シルビア S15 工藤貴宏

シルビアはリヤシートもあるし、トランクもそれなりに広いので日常も実用的だった。燃費もロングドライブをすればリッター10km/Lを凌ぐハイパワーエンジンとは思えない良好さ。本当に気に入って乗っていた。残念なのは、時代の変化とともに不人気車となって、その後継モデルが登場しなかったことだろう。日産はその後、シルビア級のFRスポーツカーの復活計画がなんども浮上(したようだ)。あるタイミングでは開発も進んでいたというが、2008年のリーマンショックで市場環境と自動車メーカーの考え方が大きく方向転換しすべてが消滅してしまった。

トヨタ 86 2017

シルビアを手放して10年以上が経ったいまでもときどき思うのは、その後継モデルが日の目を見ることがあったらぜひ所有してみたいと思っていること。いつでも買う準備はできている。

マストと思えるのは、後輪駆動で、MTで、そしてターボ付きのハイパワーエンジンを搭載していること。トヨタ86やSUBARU BRZも悪くないのだが、ハイパワーなターボエンジンを積んでいないのだけが不満で購入に踏み切れなかった。昨今のクルマでいえば新型スープラの4気筒モデルはシルビアに近く、MT(個人的には追加されると踏んでいる)が出ればかなり魅力的。問題は、シルビアに比べると価格が高すぎること……かな。比べられないほど性能がいいのは理解しているけれど。

工藤 貴宏|くどう たかひろ

1976年生まれの自動車ライター。クルマ好きが高じて大学在学中から自動車雑誌編集部でアルバイトを開始。卒業後に自動車専門誌編集部や編集プロダクションを経て、フリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジン搭載のマツダCX-5。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

工藤 貴宏|くどう たかひろ