なぜ、自動車のハンドルは丸いのか?

ベンツ パテント モトールヴァーゲン(1986)

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普段、日常的に目にしていると不思議と思わないものがあります。自動車のハンドルもそのひとつ。なぜ自動車のハンドルは、円形なのでしょうか?自動車のハンドルは、最初から円形だったのでしょうか?人類はどんなトライ&エラーを繰り返して、現在のような形状に行き着いたのでしょう?今回はハンドルの不思議を解明します。
Chapter
自動車のハンドル、最初は円形ではなかった!
ついに丸形ハンドルの発明!
現代、丸くないハンドルはないのか?
丸形ハンドルにもいろいろあります

自動車のハンドル、最初は円形ではなかった!

自動車のハンドルは丸いもの。これはもはや世界の常識です。乗用車、バス、トラックやダンプカーに至るまで、自動車のハンドルは丸いのです。ではいつ頃から、自動車のハンドルは円形が採用されているのでしょう?

内燃機関を搭載した現在の自動車のご先祖様は、1769年にフランスで開発された蒸気自動車です。大砲運搬のために製造された大型車両で、最高時速は10km/hほど。ハンドルは、棒状です。ちなみにこの大砲運搬車は、世界初の自動車事故も記録しています。重量物を積載して市街地を走るには、棒状のハンドルでは意のままに車両をコントロールできなかったようです。

1899年、フランスでジャメ・コンタント号という電気自動車が開発され、時速105.9km/hをマークしました。この車両のハンドルはというと、まだ丸形ではありません。棒で組んだ二等辺三角形のような物体がステアリングロッドに接続してあります。搭乗者は行きたい方向とは逆の方向へハンドルを切って操作していました。

ここまで紹介した棒状や三角形のハンドルは舵を切る役目しか果たせず、切り返しや操作性に難があることが分かります。

ついに丸形ハンドルの発明!

円形ハンドルの原型は、1886年に誕生したダイムラー製の4輪車で見ることができます。

そして約10年後、現在と同様のハンドルが発明されます。従来からの舵を切る機能に加え、切り返して車体の姿勢を大きく変えたり、行きたい方向にハンドルを回すなど、より直観的なインターフェイスとなったのです。1900年頃に製造されたとされる幌付きの四輪自動車の写真には、はっきりと丸形のハンドルが写っています。

日本国内では、1907年に有栖川宮威仁親王殿下が特注で作らせた自動車に、丸形ハンドルが採用されています。日本ではオート三輪で一部、オートバイのようなハンドルを採用した自動車もありましたが、基本的には丸形ハンドルの車両が大勢を占めています。

現代、丸くないハンドルはないのか?

棒状や三角形状のものが当初採用され、その後それらの欠点を克服するため円形のハンドルが発明されました。では現在、円形でないハンドルはないのでしょうか?実は、あります。それが一部のレーシングカーのハンドルです。

とはいえ、円形基調であることに変わりはなく、角丸の長方形のような形状をしています。丸形と比較すると、切り返しが苦手なように思えます。それもそのはず、フォーミュラーカーが走る場所はサーキット。レースの最中に、ハンドルの握る箇所を変える場面などはありません。さらに、スタリングの切れ角も少ないため両手で持つ位置だけは丸く、それ以外の部分は直線もしくは省かれています。

もちろんレーシングカーといえど、丸形のハンドルを使用している車両もあります。レーシングカーの展示があれば、ハンドルに注目してみるのも面白いですね。

丸形ハンドルにもいろいろあります

現代の自動車のハンドルは、ほぼ丸形基調です。しかし車両によっては楕円形であったり、D字型であったりします。またトラックやバスのように直径の大きなものや、グリップ部の断面が細いハンドルもあります。

すべては車両の使われ方や特性に基づき設計・デザインされています。今度お出掛けしたときには、それとなく自動車のハンドルに注目してみてはいかがでしょうか。きっと面白い発見がありますよ。
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