ポルシェの「リアアクスル ステアリング」とは?911カレラSにも採用!
更新日:2024.09.09
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991型の911GT3と911ターボで先行採用していた「リアアクスル ステアリング」が、2016年型からはNAのスポーティモデル、911カレラSにも採用されることとなり、ポルシェにもジワジワと電子制御デバイスが広がっています。かつて、この分野で先行していた日産が採用を取りやめる中、レクサスやBMW、そしてポルシェが拡大している新しい4WSシステムはどんなものでしょう?
4WSは日本人としては、すでに枯れた技術
空冷から水冷、4WDは電子制御、そして911以外はミドシップを積極的に採用と、ポルシェが変化してきています。
昔ながらのポルシェオーナーと言えば「ジッポーと911は男の最後の砦」などと言ってしまうくらい保守的なユーザーも多かったのですが、ここに来て世界中で売りさばくには最新技術もどんどん取り入れなければいけないと思ったのでしょうか。991型からポルシェにも4WS化の波が到来しました。
とはいえ、日本人なら4WSは昔ながらの馴染みの技術。むしろ流行りの廃れたほうだとすら考えてしまう技術ですが、世界中で販売される高級国際戦略車では、いまがむしろ旬と言えます。
ある意味では、そこまで枯れてこそはじめて新技術を採用するのが、高級車たる所以なのかもしれません。
昔ながらのポルシェオーナーと言えば「ジッポーと911は男の最後の砦」などと言ってしまうくらい保守的なユーザーも多かったのですが、ここに来て世界中で売りさばくには最新技術もどんどん取り入れなければいけないと思ったのでしょうか。991型からポルシェにも4WS化の波が到来しました。
とはいえ、日本人なら4WSは昔ながらの馴染みの技術。むしろ流行りの廃れたほうだとすら考えてしまう技術ですが、世界中で販売される高級国際戦略車では、いまがむしろ旬と言えます。
ある意味では、そこまで枯れてこそはじめて新技術を採用するのが、高級車たる所以なのかもしれません。
ポルシェ4輪操舵の元祖は、1978年の928
そんなポルシェですが、じつは機械的な後輪操舵においてはパイオニアであったりします。HICASどころかナチュラル4WSのニシボリック・サスも無かった1970年代、1978年デビューの928に採用された「ヴァイザッハ・アクスル」がそれです。
コーナリング中の横Gがある程度を超えると、サスペンションのリンク機構の働きでアウト側のリアが最大2°ほどトーインになることで、テールハッピーを防ぐという、いわばリア片輪操舵でした。
しかし、特別に動力などを必要とせずリンク設計のみでリアの安定性を実現してしまうという発想は秀逸で、メルセデス・ベンツなど高級FR車でも後に同じような機構を実現し、日本車でもマツダのSSサスペンションなど、FF車の急激なテールブレークを防ぐ妙案としても採用されています。
なにごとにも保守的、よく言えば基本設計から完成度が高すぎるため、技術的なブレイクスルーを連続して行わないポルシェにしては珍しい話ですが、928が”北米向け高級ラグジュアリーGT”という、ポルシェとしては新分野だったからこそ可能だったのかもしれません。
コーナリング中の横Gがある程度を超えると、サスペンションのリンク機構の働きでアウト側のリアが最大2°ほどトーインになることで、テールハッピーを防ぐという、いわばリア片輪操舵でした。
しかし、特別に動力などを必要とせずリンク設計のみでリアの安定性を実現してしまうという発想は秀逸で、メルセデス・ベンツなど高級FR車でも後に同じような機構を実現し、日本車でもマツダのSSサスペンションなど、FF車の急激なテールブレークを防ぐ妙案としても採用されています。
なにごとにも保守的、よく言えば基本設計から完成度が高すぎるため、技術的なブレイクスルーを連続して行わないポルシェにしては珍しい話ですが、928が”北米向け高級ラグジュアリーGT”という、ポルシェとしては新分野だったからこそ可能だったのかもしれません。
ポルシェでついに実現したリアアクスル ステアリング
そのポルシェ928の生産中止(1995年)から20年、991型の911GT3と911ターボでポルシェが久々に後輪を動かしたのが「リアアクスル ステアリング」。身も蓋も無い言い方をしてしまえば、電動4WSです。
日産などは、1985年にR31スカイラインでHICASを搭載したのを皮切りに、油圧でも電動でもやり尽くし、いまでは「4輪アクティブステア」の名で、フーガにしか残していません。
一方、世界的に見れば、レクサスのLDH(レクサス・ダイナミック・ハンドリングシステム)、ホンダのPAWS(プレシジョン・オール・ホイール・ステア)、BMWのインテグレイテッド・アクティブテアリングと、次々に4WS復活の波に乗っています。
高級車をラインナップに持ちながら、いまだにその波に乗らないのは、ポルシェ以上に保守的なメルセデス・ベンツくらいなもの。
保守的だったはずのポルシェが、そのなかでももっとも保守的な車と言える911、それもGT3やターボで4WSを採用してきたことは、ある意味ではトヨタがクラウンから新技術を投入してきたのと一緒で、保守的な車から攻めてしまえば他の車への展開が容易、という計算があったのかもしれません。
日産などは、1985年にR31スカイラインでHICASを搭載したのを皮切りに、油圧でも電動でもやり尽くし、いまでは「4輪アクティブステア」の名で、フーガにしか残していません。
一方、世界的に見れば、レクサスのLDH(レクサス・ダイナミック・ハンドリングシステム)、ホンダのPAWS(プレシジョン・オール・ホイール・ステア)、BMWのインテグレイテッド・アクティブテアリングと、次々に4WS復活の波に乗っています。
高級車をラインナップに持ちながら、いまだにその波に乗らないのは、ポルシェ以上に保守的なメルセデス・ベンツくらいなもの。
保守的だったはずのポルシェが、そのなかでももっとも保守的な車と言える911、それもGT3やターボで4WSを採用してきたことは、ある意味ではトヨタがクラウンから新技術を投入してきたのと一緒で、保守的な車から攻めてしまえば他の車への展開が容易、という計算があったのかもしれません。
リアアスクルステアリングの高速安定性は大丈夫か?
肝心の中身ですが、後輪操舵機構そのものは単純で、トーコントロールロッドを電動操作することで、高速域ではフロントと同位相、低速域では逆位相にするという、4WSとしては当たり前の動きをします。
現代の4WSは、単純に速度から必要性を割り出して操作するわけではなく、前後左右のGなどの入力や、トラクションコントロール、ABS、電子制御デフなどさまざまな電子制御デバイスとの統合制御の結果として後輪も操舵させます。その点はポルシェも同様と言えます。
機能を紹介する動画でも、サーキットでのスタビリティ向上を謳ってはいますが、どちらかといえば大きく、重くなってしまった911の低速域での取り回し向上が一番のメリットではないでしょうか。
高速域でのスタビリティという面では、日産のHICASで高速走行では弊害にしかならぬと、サードパーティー製のHICASキャンセラーを使用する例が相次いだこともあり、ポルシェが「スポーツ走行向けにリアアクスル ステアリングを採用した」という意見には疑問符がついています。
レクサスやBMWなどが高級セダンに採用しているのとは違い、ポルシェはスポーツ性を高めるために「リアアクスル ステアリング」を採用してきました。そのウラには、991型911が車両安定性向上のために、ロングホイールベース化せざるを得なかったというお家の事情もあるようです。
現代の4WSは、単純に速度から必要性を割り出して操作するわけではなく、前後左右のGなどの入力や、トラクションコントロール、ABS、電子制御デフなどさまざまな電子制御デバイスとの統合制御の結果として後輪も操舵させます。その点はポルシェも同様と言えます。
機能を紹介する動画でも、サーキットでのスタビリティ向上を謳ってはいますが、どちらかといえば大きく、重くなってしまった911の低速域での取り回し向上が一番のメリットではないでしょうか。
高速域でのスタビリティという面では、日産のHICASで高速走行では弊害にしかならぬと、サードパーティー製のHICASキャンセラーを使用する例が相次いだこともあり、ポルシェが「スポーツ走行向けにリアアクスル ステアリングを採用した」という意見には疑問符がついています。
レクサスやBMWなどが高級セダンに採用しているのとは違い、ポルシェはスポーツ性を高めるために「リアアクスル ステアリング」を採用してきました。そのウラには、991型911が車両安定性向上のために、ロングホイールベース化せざるを得なかったというお家の事情もあるようです。