なぜエンジンを止めた車のブレーキは固く感じるのか?

自動車のブレーキは油圧式

エンジン

ボンネットを開けてエンジンルームを除くと「ブレーキフルードリザーバー」なるものがあります。フルードって何?という方もいると思いますが、要するにブレーキオイルです。

自動車のブレーキというのは、ママチャリのようにレバーなりペダルなりからワイヤーで直接ブレーキに繋がっているわけではありません。自転車で思い浮かべるとよくわかりますが、ワイヤー等で直接繋げる方式というのは、前後どちらのワイヤーが緩んだりして、均等に利かせるのは難しいものです。

とはいえ自転車のように前輪と後輪だけならば、ハンドルの左右に前後別々のブレーキレバーをつけて自分で効きを調整すれば済む話で、原付やオートバイなど二輪はおおむねブレーキ操作が前後別々の方式ですね。

ただ、四輪自動車の場合はほとんどの場合、ブレーキペダルがひとつしかありません。これで四輪の効きをどう制御するかと言えば、ペダルとブレーキの間はブレーキホースでつなぎ、中のブレーキオイルにかかる油圧を前後で変える装置をつけたりして、一つのペダルでも適正なブレーキ圧がかかるようになっているんです。

最近の車だと、この油圧をABSで制御するので、コーナリングの旋回性能向上や、滑りやすい路面での横滑り防止にも積極的にブレーキを使います。

油圧ブレーキの補助はエンジンのバキューム圧

ここで「油圧」については二種類あります。一つは前述したように、動かしたい機器の制御を行うための「油圧」。

もう一つは、人力ではとても動かないものを動かすための、補助装置としての「油圧」です。飛行機など昔は操縦桿を翼の可動部に直接繋いで動かしていましたが、高速化、大型化が進むととても人力で動かせるものではないので、油圧や可動部を動かしているケースが多いです。

ただし、この場合の「油圧」はポンプで圧力をかけるので、操縦者に力が無くてもそれなりには動きます。自動車で言うと、油圧式パワーステアリングなどが「補助装置としての油圧」ですね。

では油圧ブレーキもポンプで動かしているかと言えば…ここではメカニズムの細かい説明は省きますが、エンジンの吸入空気圧を利用した負圧バ(キューム圧)で補助している例が多いのです。

海外では「バキュームサーボ」、日本では「マスターバック」と呼ばれる事が多い装置です。ちなみにディーゼルエンジンの場合は、このエンジンの吸入空気圧が弱いので、別途に真空ポンプを駆動してバキューム圧を作ります。

もちろん他の補助方式もあります

バキュームサーボはエンジンの吸入空気圧の負圧を利用したバキューム圧で油圧をかけているわけですが。そうなると、エンジンをかけない車、たとえば電気自動車やFCV、EVモードのハイブリッド車はどうするの?という事になります。

その場合は別個に油圧ポンプを使ったブレーキブースターを使うので、エンジンをかけなくても電源さえ入っていればブレーキが効く仕組みです。

バキュームサーボよりも強い補助効果が見込める事から、大型車や建設機械など重量級の車や高級車でも、油圧式のブレーキブースターを使っているケースが多くなっています。また、バスやトラックでは「プシュー」と音が鳴る空気圧式の「空気ブレーキ」が多用されています。

エンジンを止めればバキューム圧供給も止まる

さて、このバキュームサーボはエンジンから供給されるバキューム圧でマスターシリンダーを押し込む装置です。マスターシリンダーとは要するにブレーキペダルで踏んだ圧力をバキュームサーボに伝達し、そこで補助された力を加えてブレーキに油圧をかける装置なわけですが。エンジンを止めると、当然バキュームサーボへのバキューム圧の供給も止まります。

それでもバキュームサーボの容量分のバキューム圧は残っているので、エンジンを止めても最初はブレーキを踏めますが、何度か踏むとバキューム圧が無くなり、完全に人力でマスターシリンダーを押し込まなければなりません。それが「エンジン停止後のブレーキが固くなる理由」です。

たまに、燃費走行のつもりでエンジンを止めたまま慣性で走ろうとする人がいますが、下り坂でそれをやると、何度かブレーキペダルを踏むと、ブレーキを効かせるためにかなりの力がいるので、それが元で「ブレーキが効かないような錯覚」に陥り、事故に繋がるケースがあります。

そのような時、エンジントラブルであればやむをえずパーキングブレーキなども併用して何とか止まるよう努力するしかありませんが、エンジンさえかければまた普通にブレーキが効くようになるので、あわてず再始動、あるいはそもそも下り坂でそのまま走るからとエンジンを止めて走るのはやめましょう。

以上、「エンジンを止めた車のブレーキが固くなる理由」でした!

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