コンチネンタルが新開発した「電動パーキングブレーキ」は何がすごいのか?

コンチネンタル・オートモーティブ

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「パーキングブレーキ」、サイドブレーキやハンドブレーキと言う場合もありますが、今は足踏み式も多いので「パーキングブレーキ」が妥当な呼び方ですね。今回はコンチネンタルが開発した、低価格コンパクトカーでも使用可能な電動パーキングブレーキの紹介です!
Chapter
コンチネンタルとは?
コンチネンタルの電動パーキングブレーキ
今回画期的なのは、低価格車への採用
低コストで普及に拍車

コンチネンタルとは?

今回電動パーキングブレーキを発表したのは、正確に言えば「コンチネンタル・オートモーティブ」です。ドイツの老舗自動車部品メーカー「コンチネンタル」と、日本のブレーキ大手「日清紡」の合弁会社で、自動車関連のさまざまなブレーキシステムを開発・製造しています。

「コンチネンタル」の日本拠点である「コンチネンタル・オートモーティブ・ジャパン」と共に自動運転も含めた様々な運転支援システムの開発に取り組んでおり、電動パーキングブレーキの開発もその一貫です。

コンチネンタルの電動パーキングブレーキ

電動パーキングシステムと言っても、単にパーキングブレーキを電動で動かす、という事にとどまりません。通常のブレーキとは別個にコンピューターで制御される「ブレーキ・バイ・ワイヤ」を採用し、単にブレーキをかけるだけではなく、あらかじめ設定した範囲でのブレーキの調整、またはブレーキの利きを調整する事で緊急ブレーキとしての作動も可能にしています。

現状でもっとも得意とするのが坂道発進を支援する「ヒルスタート・アシスト」機能で、車両の傾き具合やエンジントルクの発生具合などから総合的に判断し、パーキングブレーキをかけた状態からアクセルを踏めば自動的にブレーキを解除し、坂道発進を容易にするのです。

さらに、前走車との車間を一定に保つACC(アダプティブクルーズコントロール)にも応用されるので、単純なパーキングブレーキではない「アドバンスド・ブレーキ」とも言えるでしょう。

また、手動でのブレーキ操作も、これまでのパーキングブレーキのように機械的にサイドブレーキワイヤーを引っ張るようなものではなく、プッシュボタン一つで操作できます。そのため、力の弱い人でも簡単に操作でき、パーキングブレーキのかけ方が弱いための暴走事故も防げるほか、今までのようにレバーやペダルが不要になるので、車内のレイアウトやデザインの自由度も広がるのです。

今回画期的なのは、低価格車への採用

電動パーキングブレーキそのものは、ディスクブレーキ用のキャリパーや、インナードラム内臓ディスクブレーキのドラムブレーキ用では既に存在します。

しかし低価格車のほとんどが採用している、「ドラムブレーキだけでフットブレーキもパーキングブレーキも併用」に対応した電動パーキングがラインナップに無く、2015年11月に発表されたのがコンチネンタルでは初となりました。

基本的には従来のドラムブレーキの内部に納まるコンパクトなアクチュエーターでパーキングブレーキを制御しており、他の方式同様、油圧で作動するフットブレーキとは別個に動作します。

ESC(横滑り防止装置)との連動による緊急ブレーキや、ヒルスタート・アシストなど運転支援機能にも対応しており、この高度なシステムが今後低価格車にも普及すれば、それらの車で交通事故の抑止や自動運転に対応するためのハードルを、一つ越えることになるのです。

低コストで普及に拍車

今回の発表で一番大きなポイントは、多くの低価格車で使われている「フロントがディスクブレーキ、リアはドラムブレーキ」というブレーキシステムに大きな手を加える事無く実装が可能な事です。

これにより、低価格車を開発・生産している自動車メーカー各社とそのユーザーは、高コストに悩まされる事無く、先進技術の導入が可能になります。この低価格車向け電動パーキングブレーキの量産開始は2017年からで、今から2年後以降に新規開発、あるいはモデルチェンジされた車から導入が始まることでしょう。

ヨーロッパでは既に2015年度末には新車の4台に1台は電動パーキングブレーキが装着されると言われており、2008年から比較すると5倍の市場規模になっています。今後数十年でパーキングブレーキ用のレバーやペダルが無くなると予測されていますので、これからはサイドブレーキを使ったスピンターンなどが必要な競技のドライバー向けに、「サイドブレーキレバーを後付するチューニング」が登場するかもしれませんね。
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