ディーゼルエンジン車のブレーキが重く感じる理由とは?ガソリン車との違いを解説

メルセデス ディーゼルエンジン

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皆さんが乗っている車のブレーキには、「ブレーキブースター」という倍力装置が使われている事はご存知ですか?この装置が無いと、ブレーキペダルはとても重く、また効きも悪く感じます。構造上、ガソリン車とディーゼルエンジンその他では装置の方式が異なるのですが、その違いを紹介します。


Chapter
ディーゼル車のブレーキが重い!
ガソリン車のブレーキブースター
ディーゼル車に多用される真空ポンプ式ブレーキブースター
他の方式のブレーキブースター

ディーゼル車のブレーキが重い!

以前、とある会社で車両の配車担当をしていた時に、「自分が割り当てられた車のブレーキの効きが悪い」と相談された事があります。確認すると、その人への割り当てはディーゼルエンジンを搭載した国産のライトバンでした。

早速、実際に効きが悪いかどうか試乗させてもらうと、ブレーキペダルが重めでしっかり踏み込めば効き自体には問題ありません。同車種のガソリンエンジンと同じ感覚でブレーキを踏んでいたので、効きが悪いと錯覚したのだと思い、少し強めに、気持ち早めに踏めば大丈夫ですよとアドバイスしました。実はディーゼルエンジン車とガソリンエンジン車ではブレーキブースターの方式が違うので、慣れない人だとフィーリングの違いに戸惑う人も多いようなのです。

ガソリン車のブレーキブースター

ガソリンエンジンのみで走る車の場合、もっとも多い方式がエンジンのスロットルバルブの開閉により、インテークマニホールド内に生じる負圧吸(気管圧力)を利用した真空式ブレーキブースターです。

簡単な構造図は画像を参照してください。構造としては、ブレーキブースター内でインテークマニホールドから接続され、負圧になっている二つのチャンバー(気室)があります。ブレーキペダルを踏むと、そのチャンバーの片方に大気圧が導入される事で二つのチャンバーの間に気圧差が生じ、大気圧が導入された方が、負圧のままの方を押し込む力が、ブレーキブースターの力となっています。

この方式が、ガソリンエンジンしか乗らない人にとっての「ブレーキフィーリング」として染み付いているという事です。ディーゼルエンジン車や一部の直噴ガソリン車のようにスロットルバルブを持たないため、インテークマニホールド内の負圧が小さいものや、そもそも負圧の生じる余地が無い電気自動車、それにハイブリッド車のEVモードでは、また別な方式が使われます。その方式の差がそのままブレーキフィーリングの差に繋がっているというわけです。

ディーゼル車に多用される真空ポンプ式ブレーキブースター

ガソリン車のそれに対して、ディーゼル車も真空式ブレーキブースターには違いないのですが、インテークマニホールドの負圧を利用できない以上、別な方法をとります。それが、エンジンの動力を使った機械駆動式、もしくは電気式の真空ポンプを使ったブレーキブースターです。

結果的には同じようにブレーキに対する倍力装置として働いているのですが、同じようなフィーリングにならない原因はこの真空ポンプにあります。ディーゼルエンジンの場合は、この真空ポンプの容量やレスポンスにブレーキフィーリングが左右されるのです。

ガソリン車と同じようにブレーキを小刻みに多用すると、真空ポンプの能力を超えてブレーキを補助する力が弱まり、同じように踏んでいるだけでは、効きが悪くなったように錯覚します。また、真空ポンプを作動させる分どうしても作動にワンクッション置かれるので、ブレーキの踏み始めでブレーキブースターが一瞬動作していないような錯覚を起こす場合もあります。そこが、慣れていないと怖く感じる人がいる原因です。

そのレスポンス改善のためもあり、最近では電気式真空ポンプを使う例も増えてきました。

他の方式のブレーキブースター

そもそもエンジンを搭載していないため負圧が発生せず、また機械式真空ポンプを駆動させる動力源も無い電気自動車では、電気式真空ポンプか、油圧式のブレーキブースターを用います。低速時には電気自動車としてエンジンを止めるハイブリッド車も同様です。

電気自動車にせよ、ハイブリッド車にせよ「ブレーキフィーリングの違和感」というレビューがよく聞かれますが、発電のための回生ブレーキを使っている他、このブレーキブースターの違いも、違和感の一つと思われます。
「ディーゼルエンジンなどのブレーキの重さや違和感の正体」は、ブレーキブースターの仕組みの違いにある事がご理解いただけたかと思います。同じ自動車でも、仕組みの違いによってブレーキのフィーリングに大きな差は出ますが、ブレーキそのものには十分な制動力を起こせる仕組みにはなっていますので、ガソリン車との違いに慣れながら、安全運転を心がけてください。
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