座り心地の良いシートとは?世にも素晴らしい掛け心地のシート5選

ルノーのマシュマロ系シートはたっぷりサイズで快適性をアピール

ルノーというより、フランス車のシートと乗り心地の素晴らしさは有名ですよね。

これには諸説あって、フランス人の好みがそうさせているということ。柔らかくてショックを伝えないソファーのようなかけ心地、快適性をとことん追求する国民性。また、実情として、パリの石畳を代表にフランス国内はデコボコが多くて(現在は減っているようです)、足回りもシートも、それを吸収する性能が求められるという傾向もあるようです。

さて、ルノーのシート。ルノーというと日本国内ではコンパクトカーのイメージが強いかもしれませんが、そんなコンパクトカーでも上級車に引けを取らない柔軟な乗り心地と快適性を確保しているというのが特徴で、このシートなら腰が痛くならない、このシートならいくらでも乗っていられるというドライバーは少なくありません。

このルノーのシートが恋しいがためにルノーにする、ルノーから離れられないという人までいたりします。ルノーというと日本ではややマイナーな銘柄に属していますが、しなやかさとしたたかさをあわせ持った足取りと、このマシュマロ系シートの組み合わせは説得力も充分です。

プジョーはフランスの中では「剛」、しかし時間とともに身体とトモダチに

プジョーは、足回りも含めてフランス車のなかでは硬め、ドイツ車に近い味わいを持っているといわれています。

世の中、全般的にドイツ的なガッシリ感を求める傾向が強いですから、プジョーの人気の高さにも頷ける気がします。実際、剛性感が高くガッシリとした印象を与えてくるのですが、しかし、走り込んでしばらくしてみると、じつはそうでもないという不思議な感覚です。

足回りは、最初こそ比較的ゴツゴツを感じさせますが、慣れた道を、あるいは荒れた道を走ると懐の深さがあって、これはガタガタとショックが来るかなと思うと、難なく涼しい顔でスムーズに走り抜けてくれるようなところがあります。シートもまた、最初は張りが強めかなと思うのですが、15分も乗っていると段々と身体に馴染んでくれて、知らないあいだに「トモダチ」になっている、という感じ。これもまたプジョー独特の印象です。

そしてこれもまたフランス車の例に漏れず、長距離長時間など苦にしない快適さ。フランス車は見た目だけで判断すると、魅力の半分以下しかわからないかもしれない。ぜひとも、ディーラーさんにわがまま言って、せめて20分は試乗してみてください。

シトロエン、ハイドロの独特の乗り心地と癒し系シートのテッパンコンビ

シトロエン インテリア

シトロエンといえば、ハイドロニューマチックサスペンションによる独特のフラットでしなやかな、まるで動物のような乗り味が特徴ですが、シートもやはりそれに合わせるように「癒し系」です。

ルノーともプジョーとも異なるそれは、シート自体もまるで生き物のように乗員の身体の形に合わせて変形し、それでいてそのまま沈み込んでしまうというようなこともまったくない、言葉にするとじつに摩訶不思議な魅力を持っています。

もちろんこのシートにもファンはたくさんいて、とくにハイドロニューマチック世代のシトロエンの足とシートの組み合わせは、もはや中毒性のあるような惹きつけられ方をしている人もいるほど。

もちろん、シトロエンにはハイドロではないものも最近は増えていますが、それでもシトロエンのシートは他とは違った、見事なフィット感と見事な癒し感があります。もちろん走行中に眠くなるというものではないのですが、身体はリラックスして自然体、頭はスッキリと運転に集中できる、素晴らしい環境を持っていると言えます。

哲学の塊、メルセデスのシートはまるでサスペンション?!

メルセデス・ベンツの、とくに80年代までのモデルに取り付けられているシートは、独特のかけ心地です。

シートのクッションスプリングをたっぷりとしたストロークに設定して、ゆったりと座らせるということに加え、これ自体がサスペンションとしての機能をより大きく担っているようなところがあって、足回りのおおらかでありながら正確なセッティングとも絶妙にマッチして、非常に快適な移動空間としてくれました。

いまのメルセデスのシートはどちらかというと硬めのもので、シートというよりも足回りの性能を上げて快適性を得ようという考え方に変わっています。これが、以前と現在のメルセデスが「変わった」という声に結びつく要因ではないでしょうか。現在も出来はいいですし、以前のものもまたよかった。しかし考え方が変わってしまったという認識でいいと思います。

個人的にはどちらも好きですが、いまのものに慣れた人は以前のものに馴染めないでしょうし、以前のものが好きだという人は、現在ものを受け入れがたいかもしれません。つまりそれくらい変わっています。モデルで言うとEクラスのW124とW210が境目といったところです。

世界戦略車のシートにはさすがに手が抜けない?!E16#系カローラ

筆者がここ数年色々と試してみた国産車のシートのなかで、ひときわ感激したわけではないけれど、「うーーーん」とうならされた逸品があるとするなら、それはE16#系トヨタ・カローラのシートです。

カローラなんて大衆車だしコストもかけられないからシートの出来も気が抜けてるんじゃないか、そんな予想をお持ちになる方もいらっしゃるかもしれませんが、その先入観は、まず横に置いていただいたほうがいいと思います。

カローラ系のシートの良さは、まず国産車としてサイズがたっぷりしていることと、フレームの剛性感が高くて、信頼感とともに身体を預けられるということ、またサポートもしっかりしており、背中のS字にもしっかりフィット。沈み込みも少なく、さらにいうなら足回りの設定とのマッチングが抜群にいいです。やや柔らかめのアシですが、シートの硬さとのバランスがとても良くて、人馬一体感みたいなものさえあるんです。

これも、乗ってみないとわからない…。

クルマの乗り心地というのはシートもそうですし、同時に足回りとのマッチングにもよっている部分が大きいです。シートだけが突出していても良くないですし、かといって足回りが腰のサポートをカバーすることもできない。両方の適切な設計とチューニングがモノを言うわけですね。

その点、先に紹介させていただいたフランス車やメルセデスベンツなどの欧州車は非常に綿密に、そのあたりの仕事をやっているというふうにも取れます。ある意味、その綿密さを買うというのが、欧州車を選ぶ理由といってもいいくらいです。ただ、現行カローラのように国産車でもよくできているものはありますから、ここは乗ってみて、なんといってもご自身と相性が良いかどうかを確認する必要もあるでしょう。

シートや乗り心地が気に入れば、走っている時間を気に入るということにもなります。それはすなわち、クルマへの愛着度が極めて高くなる要素だと考えてもいいのではないでしょうか。

スタイリングや動力性能、あるいはカタログを飾るスペックだけではなく、実際に「シートによって身体が喜ぶ」という観点からクルマを選んでみると、また違った楽しみが見つけられるかもしれません。

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