120年の歴史!ディーゼルエンジンの利点4つ

BMW X3 xDrive30d

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ディーゼルエンジンが発明されてから120年余り。自家用車だけでなく、トラックやバス、船舶や鉄道、航空機などに搭載されて人々の暮らしに貢献してきました。ここ数年、欧州各メーカーの排ガス不正によって、逆風のなかにあるディーゼルエンジンですが、ガソリンエンジンにくらべて利点が多いことも事実。今回は、ディーゼルエンジンの持つ良さを振り返ってみましょう。

文・立花義人
Chapter
ディーゼルエンジンとは?
良い点① 燃費が良い
良い点② 燃料が安い
良い点③ トルクがある
良い点④ エンジンの耐久性が高い
ディーゼルエンジンの今後

ディーゼルエンジンとは?

ドイツの機械技術者ルドルフ・ディーゼルが、1892年に技術を考案した内燃機関エンジンです。シリンダーに吸入した空気を、高圧高温に圧縮して、そこに燃料として重油もしくは軽油を噴射し、自然発火させて爆発させ、動力を得るという仕組みです。

一方のガソリンエンジンは、シリンダー内に混合気(ガソリンと空気が混ざったもの)を吸入し、圧縮してから点火プラグで発火させ、爆発させます。この点火プラグは、ディーゼルエンジンにはありません。

ひと昔前までのディーゼルエンジンは、独特のガラガラ音や振動、真っ黒いススを吐き出していたため、「ディーゼルエンジンは環境に悪い」というイメージが定着してしまいました。

しかし、昨今のディーゼルエンジンは、目を疑うほどの技術進歩によって、ガソリンエンジンとの差は気にならないレベルにまで到達していると言えるでしょう。

では、具体的にディーゼルエンジンの良さはどんなところにあるでしょうか?

良い点① 燃費が良い

ディーゼルエンジンは、空気のみを圧縮するので、圧縮比(圧縮始めの容積と圧縮後の容積との比)を高くする=馬力を出すことが可能です。ガソリンエンジンの場合、圧縮比を高くし過ぎると、ピストンが上死点(ピストンが最上位になる点)に到達する前に自然発火してしまい、異常燃焼を起こしてしまいます。

熱力学では、圧縮比が大きいほど熱効率が高くなります。言い換えると、送り込まれた燃料から取り出されるエネルギーが、熱によって損失してしまう割合が少なく済むということです。一般的にディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンに比べて2割程度燃費が良いといわれています。

良い点② 燃料が安い

ディーゼルエンジンが使用する軽油は、ガソリンを蒸留する過程で出来る燃料、いわば副産物のためガソリンよりも価格が安くなります。

資源エネルギー庁による石油製品価格調査の結果によると、2018年9月18日時点でのレギュラーガソリンの小売価格は153.7円/L、軽油は132.3円/Lと、その差は20円以上です。

一般的に、燃費が良いことと合わせて、燃料費が安く、ディーゼルエンジンのほうが経済的と言われます。

良い点③ トルクがある

ディーゼルエンジンは高圧縮のため、1回の爆発によるトルクが大きくできます。トルクとは、軸を回す力のことで、アクセルを軽く踏んだときから「ぐっ」と押し出されるような、力強い加速が得られます。

ただし、軽油はガソリンに比べて燃焼速度が遅いため、ディーゼルエンジンは高回転には向きません。とはいえ、低い回転数で十分な力が得られるので、多人数乗車や坂道発進時でも扱いやすく、同排気量のガソリンエンジンと比べて、力に余裕がある、と実感されている方も多いことでしょう。

良い点④ エンジンの耐久性が高い

ディーゼルエンジンは構造がシンプルで、高圧縮に対応するために頑丈に作られており、一般的にガソリンエンジンと比較して耐久性が高いです。
                                    
一般的な自家用車とは設計が違うので単純な比較はできませんが、 大型トラックや観光バスのディーゼルエンジンは50万〜100万km、なかには200万kmも走行する車輌もあるようです。

ディーゼルエンジンの今後

2017年、フランス政府はガソリンエンジンとディーゼルエンジンの車の国内販売を、2040年までに中止すると発表し、イギリス政府もそれに続くと表明しました。

さらに、先進国や新興国もエンジン車の販売禁止を検討する動きを見せており、世界的なEV(電気自動車)シフトに傾きつつあります。背景には、気候変動に影響を及ぼす温室効果ガスの削減の強化が挙げられます。

日本では、日産自動車が欧州でのディーゼルエンジンを搭載する乗用車の販売から撤退する方針を発表していますし、トヨタも徐々にディーゼル車を縮小し、将来的に廃止すると発表しています。

しかし、世界的なディーゼルエンジンへの逆風が吹くなか、クリーンディーゼルのラインナップを展開するマツダは、新しい排ガス規制に対応した1.8Lディーゼルエンジンを開発するなど、積極的な姿勢を見せています。歴史あるディーゼルエンジンに、未来はあるのでしょうか。

今後の自動車メーカーの動向に注目していきましょう。

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文・立花義人
5歳の頃に自動車図鑑で見たアルファロメオのデザインに衝撃を受け、以降クルマに魅了される。様々なクルマの個性を知りたいと考え、免許取得後国産・輸入車問わず20台以上を乗り継ぐ。車検整備を取り扱う企業に勤務していた際、メンテナンスや整備に関する技術や知識を学ぶ。趣味はドライブ、食べ歩き。現在の愛車はパサート・ヴァリアント。
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