オンナにとってクルマとは Vol.33 クルマによって何を手に入れたい?

オンナにとってクルマとは

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パリの街角でワイングラスを傾けながら、パリ在住の日本人女性たちと雑談する機会があった。スタイリスト、コーディネーター、そのほか個人で事業をしている人など、みんなもうパリで10年以上、仕事のキャリアを積んでいるステキな女性たちばかりだ。私の職業がクルマのジャーナリストだとわかると、彼女たちはおもむろにクルマ観について熱心に話しはじめた。

text:まるも亜希子 [aheadアーカイブス vol.127 2013年6月号]
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Vol.33 クルマによって何を手に入れたい?

Vol.33 クルマによって何を手に入れたい?

既婚のひとりを除いて、未婚の彼女たちはクルマを所有していなかった。でも、もし買うとしたらスマート以外は考えられない、と言う。

駐車場が少なく路上駐車も常に満杯、停める場所を探すだけで30分もかかることがザラにあるパリで、下手なクルマを持ったらかえって不便になるばかり。スマートなら、小さいからバイク感覚でどこでも停められるのがいいいと、口を揃えて言うのである。

ひとりくらい、「なに言ってるの、私はプジョーのオープンカーが欲しいわ」などと反論するかと思ったのに、誰も異論を唱えないことにショックを受けていると、「でも問題がひとつあるのよね」とスタイリストの彼女。

フランスでは助手席にチャイルドシートを装着してはいけないので、もし結婚して子供が生まれたら2人乗りのスマートでは用が足りなくなる。きっと金銭的にはクリアする彼女たちが、購入を躊躇する理由はそこなのだった。

それにしても、べつだんクルマ好きでもない女性が集まって、こうした話が普通にできるというのは、たとえ今は所有していなくても普段から意識している証拠だ。スマートの次に小さくて4人乗れるクルマは何かと、逆に私に質問して情報収集も怠らない。

結婚したら男性が女性を養うのが常識の日本とちがい、結婚後も男女がそれぞれの稼ぎで、独立して生活を維持していくことが多いというだけあって、パリで生き抜く女性たちの、潔いまでに現実的な観点はとてもいい刺激になった。

日本の女性たちがクルマを選ぶ時にも、まず目的をはっきりさせることは大切だ。デザインや色や、好きなタレントのCMだから、というきっかけでクルマに目を向けるのも悪くはないけれど、それだけで買うのはリスクが高い。

自分はクルマを買うことで、何を手に入れたいのか。そこを見極められた時が、クルマの買い時なのかもしれない。私自身も今いちど、見つめ直そうと思った。

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text:まるも亜希子/Akiko Marumo
エンスー系自動車雑誌『Tipo』の編集者を経て、カーライフジャーナリストとして独立。ファミリーや女性に対するクルマの魅力解説には定評があり、雑誌やWeb、トークショーなど幅広い分野で活躍中。国際ラリーや国内耐久レースなどモータースポーツにも参戦している。
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