小沢コージのものくろメッセ その1 B面を語る人間でありたい

その1 B面を語る人間でありたい

アヘッド ものくろメッセ

「クルマはね、道具とか生活必需品とか言われているけど、本質は麻薬なんだよ。やったこと無い人には分からないだろうけど」

不肖小沢コージの20年以上にわたる自動車ジャーナリスト生活で会得したシンプルかつ究極の回答だ。

クルマは、現代なんとか生きながらえているメカニカルな麻薬に他ならない。本来無条件で人を楽しくさせ、シビれさせ狂わせるものだがそこには利便性があり、人が運べ、重用されると同時に人を恐れもさせてきた。

なにしろ人を危める可能性があるシロモノなのだ。いわばメチャクチャ切れるナイフであり、おいしい料理も作れれば、人を刺すこともできる。使い方によっては善にもなり、悪にもなる。

中でも我が国日本である。警察、政治家、行政、新聞テレビなど大マスコミは、思いっきりクルマを使って生活しているクセに、なにかあると徹底的にこきおろす。

どんな素晴らしいものにもリスクはあるはずなのに、クルマは極端に害悪視される。論理的思考はほぼ無く、モノ作りへの愛情もなく、ただマイナスの感情があるだけ。海外では合法化が叫ばれるものでも、全く受け付けない日本のよう。あるいは誰かを敵にしないと気が済まない反日教育のようと言うか。

今の日本は超リアル建前&潔癖主義で、清く正しくクリーンで優秀な人間のみが尊ばれる。昔は多少いい加減で、前日酒を飲みまくっている野球選手でも、翌日に大ホームランを打てば賞賛されたが、今はほぼ考えられない。

「人に迷惑をかけない」「後ろ指を指されない」 基本的にはマイナス指向で、失敗を糾弾し、あげつらう国になりつつある。それはマスコミ、ネット報道を見ればよく分かる。

このままじゃ人がマトモに育たない。クルマ好きであるべき人達が、嫌いどころか無関心にさせられる。隣国はPM2.5が蔓延する異様な国だが、この国もどうしてヘンテコだ。

だが、ahead読者のように、クルマを愛している人は分かっているし、クルマを日々使っている人も疑問を持っているはずだ。

「クルマってそんなに悪いモノなの?」と。

今のクルマはなんとか麻薬性を減らし、薬として使うことで生き延びようとしている状態だ。その結果が総ハイブリッド化であり、アイサイト化だ。だがクルマはそれだけじゃ語れない。

「人生にはA面とB面がある」

アルピニスト野口 健はその昔、私にそう教えてくれたが、実はクルマにもA面とB面がある。なんとかB面を語る人であり続けたい。私は本気でそう思っている。

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text:小沢コージ/Koji Ozawa
雑誌、ウェブ、ラジオなどで活躍中の“バラエティ自動車ジャーナリスト”。自動車メーカーを経て二玄社に入社、『NAVI』の編集に携わる。現在は『ベストカー』『日経トレンディネット』などに連載を持つ。愛車はロールスロイス・コーニッシュクーペ、トヨタiQなど。


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