小沢コージのものくろメッセ その4 女性自動車ジャーナリストの功罪

アヘッド ものくろメッセ

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前回の続きにはなるが、最近の女性自動車ジャーナリストの増加。それはクルマの本質的求心力低下の裏返しに他ならないと思う。

text:小沢コージ [aheadアーカイブス vol.140 2014年7月号]
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その4 女性自動車ジャーナリストの功罪

その4 女性自動車ジャーナリストの功罪

昔は、クルマを語るだけで良かったし、それ自体が立派な仕事となった。まさに自動車メディア特権階級であり、新聞ラジオテレビなど大手マスコミの特権構造とも微妙に違い、「凄いクルマに乗れるからその人も凄い!」そういう幻の格付け連動が行われ、自動車ジャーナリストでありメディアは憧れられる存在にもなった。

だが、最近それはほとんどないし、今後海外進出を果たすならともかく、日本においてクルマ語り部の格が上がることやギャランティが上がることはほぼ考えられない。あるとすれば日系3世あたりで英語と日本語と中国語ペラペラのイケメンクルママニアが登場することだが、それもどうやら無さそうだと個人的には感じている。

代わりに台頭してきたのが、我が同僚たる女性ジャーナリストたちだと私は考える。彼女達は、失礼ながら純粋アイドルというより、キレイなお姉さん系で、往年のパナソニックのCMのイメージをもっと研ぎすませ、進化させたものだ。非常に親しみやすく庶民的な美しさを持ち、特別マニアックではないが確かにクルマが好き。

冷静に考えると、彼女達こそ今のメディアに求められているのだろう。クルマそのものの魅力は落ち、言うことは限られ、添え物としての語り部やジャーナリストを考えると、無粋なオヤジよりも、恐れを抱かせない程度の美貌の持ち主がいい。

ある種お天気お姉さん的であり、どさ回りの演歌歌手的。読者の大抵が男性で、なおかつ大抵がおそらくモテ期から外れていることを考えると(失礼!)、彼女達は非常におあつらえ向きな存在であり、まさに割れ鍋に綴じ蓋なのである。

自動車イベントに行くたびに、これこそが時代であり、日本的メディア進化でありガラパゴス現象なのだと思う。実際、海外モーターショーに出かけて、テレビの美人女性レポーターに会うことはあっても、女性ジャーナリストに出会ったことはない。世界各国、大抵は無粋なマニアオヤジがやるものなのだ。なんとも日本独特の現象。

多少の弊害というか心配もなくはない。おそらく彼女たちは愛されることに慣れ過ぎている。よってそのほとんどが辛口的提言をしないし、必要性も感じてない。まさに日本のおしとやかな女性像そのものであり、非常に優しく慎み深い。まさに良く出来た妻のような存在なのだ。

だから個人的には、これは日本の自動車メディアを長らえさせると同時に退化することにも繋がるものと思えなくもない。繰り返すが、敢えて毒は持ち込まないからだ。というかその役割は、やはり男性がやらなければいけないのだろうとは思う。

とはいえ不肖オザワはふと考える。万が一だがここに来て、若く美人でなおかつ毒舌の女性自動車ジャーナリストが来たらどうなるのだろう? 小沢の存在などは一瞬にして吹っ飛び、木っ端微塵になるに違いない。そんな時がきたら嬉しい反面、多少つらい気もするが、まあ、あまり考えないようにしておこう。

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text:小沢コージ/Koji Ozawa
雑誌、ウェブ、ラジオなどで活躍中の “バラエティ自動車ジャーナリスト”。自動車メーカーを経て二玄社に入社、『NAVI』の編集に携わる。現在は『ベストカー』『日経トレンディネット』などに連載を持つ。愛車はロールスロイス・コーニッシュクーペ、トヨタ iQなど。
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