小沢コージのものくろメッセ その14 軽自動車が贅沢になるという日本の貧困

その14 軽自動車が贅沢になるという日本の貧困

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確かに出費には2種類あって単なる無駄使い系の金と、前向きな金がある。お金は使わなければ増えないのは本当なのだ。古来日本人は倹約を美徳としたらしいが、決して無闇な倹約がステキなのではなく、目的ある倹約がステキなのだ。

それどころか時に贅沢だって捨てたもんじゃなく、前回のジュネーブショーネタと反対に聞こえるかもしれないが買える人はスーパーカーだろうがスイスの複雑時計だろうがどんどん買って貰ってかまわないと小沢は考える。

かまわないどころかむしろウェルカム。人は何のために生きるかって、ガマンするためじゃない。欲望は開放すればいいし、お金で買える幸せもある。人に奢りまくって返ってくる信頼もあるのである。

そこで悩ましいのが日本の軽自動車だ。今の軽の贅沢化はハンパじゃなく〝小さくてシンプルで税金が安いカテゴリー〟の名の元に〝豪華装備で質が高いクルマを手軽に消費〟している感じもある。

中でも話題の軽スポーツは凄い。たかが2人乗りでほぼ200万円。乗り出しを考えると220万円ぐらいは掛かるはずだ。

正直、軽自動車で200万円以上ってどうなのかと思う。ボディが小さいのはいいとして、排気量660㏄ってなんだ? ボディは技術進化で安全になっているけど、エンジンは排気量が小さすぎて高速で回しすぎると燃費が悪化する。

おかしくないか? 日本には昔から結構そういうザ・本末転倒みたいなことがあって、信号を作り過ぎて道が渋滞するとか、脇道が危険になるとか、安全を求め過ぎて危なくなる!? みたいな例がちょくちょく散見できる。

先日も踏切でびっくりしたが、真横で警官が一時停止をしっかり見ているので開かずの踏切が〝物凄い開かずの踏切〟になっていた。

だったら警官が交通整理して、行けるところは行かせればいいのに。小沢が言うのもなんだが日本人はマジメな余り、目的を忘れ、決まりを守るだけになることがある。ま、本来のゴールを忘れるわけだ。

正直、ホンダS660のエンジンが800㏄、あるいは1リッターだったらどんなによかっただろうと思う。

サイズは可愛いからまあいいとして、少なくともラクに海外で売れたはず。軽だから逆にグローバル競争の外にいて、質にお金をかけられた…という説もあるがやっぱりもったいないと思う。

64馬力の自主規制もよく分からない。誰だってもっと速いスポーツカーに乗りたいのだ。特にターボなら排気量が小さくてもどんどん馬力を出せるのだ。

欲望を抑える枠は日本の至る所にあり、確かにリスクは減るし、管理側はラクだし、一見安全っぽい。が、同時に大きなチャンスも捨てているという事実を忘れないでいただきたい。こづかい制の男に、大きな未来とチャレンジはやってこないのである。

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text:小沢コージ/Koji Ozawa
雑誌、ウェブ、ラジオなどで活躍中の “バラエティ自動車ジャーナリスト”。自動車メーカーを経て二玄社に入社、『NAVI』の編集に携わる。現在は『ベストカー』『日経トレンディネット』などに連載を持つ。愛車はロールスロイス・コーニッシュクーペ、トヨタ iQなど。

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