小沢コージのものくろメッセ その32 オタク化するスバルと本格化するトヨタ

その32 オタク化するスバルと本格化するトヨタ

アヘッド 小沢コージ

以前語った絶好調マツダだが、オシャレさはますます進んでおり、一時のホンダのお株を奪っているようなところも見受けられる。

ホンダ社員の中に「低圧縮比エンジンとか、目を惹くデザインとか、本来ウチがやってなきゃいけないですよね…」という人もいるし、スーパーカーのNSXやF1で勢いを取り戻しているようで、全然取り戻せてない。それどころか企業体質の不調ぶりや、キレの無さすら感じる。

加えて面白いのはスバルだ。先日、新型インプレッサが発表されて乗って来たが、まさしく独自オタクイズム全開! いまどき昔の日産の901運動と呼ばれた活動のような方向のクルマ作りをやっていて、ズバリハンドリングオタクぶりが物凄い。

ここに来て打倒VWゴルフ! を掲げプラットフォームから一新。なかなか数値に出ないボディのたわみやよじれをなくし、感触のよい、正確な乗り味を実現した。しかもエンジンはいまどき大排気量とも言いたくなる2ℓがメイン。

聞けば水平対向エンジンがゆえに、排気量を落としても大して燃費も良くならないがゆえらしいが、そこがまたスバルらしい。

そもそもスバルは技術にこだわったオタクな会社なのだ。

創業以来の水平対向エンジン、そして70年代のレオーネに端を発する4WDシステムに自己の存在意義を投影し、頑なにそのレシピを守り続ける。

ある意味、4輪車版ハーレーダヴィットソンのようなもので、クソ頑固なメーカーだがいまやアメリカで大ヒット。一時は存続が怪しまれた時期もあったが、今では増収増益で利益率もハンパじゃなくいい。

その結果生まれたますますオタクなコンパクトカーが新世代インプレッサなのだ。

まさに海外で認められた日本の自動車オタクカルチャーだ。宮崎 駿やドラえもんではないが、ジャパニメーションみたいなところもあり、小沢はそれを全く予想できなかった。そこは情けないが人気ぶりは嬉しい。

一方、これまた全く想像もできない自己改革を遂げたのがトヨタだ。今じゃ当たり前のように感じるが、トヨタがある意味、'89年のマツダのロードスター以来とも言える大衆ピュアスポーツカーを、2010年代に成功させるとは予想できなかった。

'12年発売のトヨタ86&スバルBRZはこの4年間で20万台! も売れたのだ。あのロードスターが27年もかかってやっと累計100万台を到達したのにだ。ズバリロードスターの倍近いペースと言っていい。

あのマーケティングする自動車会社と言われ、計算高いはずのトヨタがスポーツカーで大バクチを打ち、さらに今、燃料電池ビジネスで国がらみとはいえ壮大なバクチを打とうとしている。これは日本のエネルギー政策を変え兼ねない超ビッグビジョンだ。

まだまだ見えない未来だが、それこそトヨタMIRAIの初代はともかく、2代目、3代目がプリウスほど売れたら日本と世界は確実に変わるだろう。企業の体質は10年20年で驚くほど変わる。つくづくクルマ作りとその企業は先が見えなくて面白い。

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text:小沢コージ/Koji Ozawa
雑誌、ウェブ、ラジオなどで活躍中の“バラエティ自動車ジャーナリスト”。自動車メーカーを経て二玄社に入社、『NAVI』の編集に携わる。現在は『ベストカー』『日経トレンディネット』などに連載を持つ。10月よりTBSラジオ(AM954/FM90.5)にて、辛口の自動車番組『週刊自動車批評』(月曜17:50〜18:00/)が放送中。 www.tbsradio.jp/car

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