タイヤのプロがスポーツタイヤの選び方を徹底解説!お勧めスポーツタイヤ8選

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いまタイヤ選びをする上で一番難しいのではないかと思われるのがスポーツタイヤです。

スポーツタイヤは後述しますが、ハイグリップ系スポーツタイヤと、ウルトラ・ハイ・パフォーマンスタイヤ (UHP)に分けることができます。

それぞれが高性能なためクルマを選びます。高性能と評判だからといって、必ずしも自分のクルマにあるとは限りません。

そのあたりのタイヤ選びのコツも含めてお薦めスポーツタイヤを紹介してみたいと思います。

斎藤 聡|さいとう さとし

モータージャーナリスト。車両のインプレッションはもちろん、タイヤやサスペンションについて造詣が深く、業界内でも頼りにされている存在。多数の自動車雑誌やWEBマガジンで活躍中。某メーカーのドライビングインストラクターを務めるなど、わかりやすい解説も人気のヒミツ。日本自動車ジャーナリスト協会会員、日本カーオブザイヤー選考委員。

斎藤 聡
Chapter
スポーツタイヤってそもそも何?
スポーツタイヤの歴史
スポーツタイヤの選び方
おすすめハイグリップ系スポーツタイヤ3選
ブリヂストン・ポテンザRE71RS
ヨコハマ・アドバン・ネオバAD08R
ダンロップ・ディレッツァZⅢ
おすすめUHPタイヤ5選
ミシュラン・パイロット・スポーツ4S
コンチネンタル・スポーツコンタクト6
ピレリ・P-ZERO(PZ4)
グッドイヤー・イーグルF1アシンメトリック5
ヨコハマ・アドバン・スポーツV105

スポーツタイヤってそもそも何?

乗り心地よりも操縦性やグリップ性能の高さからくる安定性を重視したタイヤを指します。かつて国産スポーツタイヤといえばポテンザ、アドバンに代表されるハイグリップ系スポーツタイヤが主流でしたが、この10年スポーツタイヤの定義が拡大されました。そのため、最近では500馬力オーバーのハイパフォーマンスカーに純正装着するウルトラ・ハイ・パフォーマンスタイヤ(UHP)もスポーツタイヤとして数えられるようになりました。

実際UHPは、ハイパワー化したハイパフォーマンスセダン、スポーツカーの安定性を保つためにハイグリップ化の傾向にあります。今でこそハイパフォーマンスカーの4WD化が進んで来ましたが、依然として後輪駆動モデルも多く、安定性を確保するためにはハイグリップ化に向かわざるを得ないという事情がありました。

一方、ハイグリップ系スポーツタイヤは、性能を各社競い合い進化(ハイグリップ化)してゆき一部タイヤはセミレーシングタイヤを超えるグリップ性能を発揮するものも登場しています。セミレーシングタイヤとはワンメークレースやジムカーナ、ラリーのターマックSSセクション用に開発されたタイヤでここではスポーツタイヤとは別扱いにします。

ここではハイグリップ系スポーツタイヤとUHPの2つに分けて紹介したいと思います。

スポーツタイヤの歴史

国産ハイグリップタイヤの登場は1978年まで遡ります。ヨコハマタイヤが発売したアドバンHF、ダンロップのフォーミュラ(ディレッツァの前身)が始まりになります。翌1979年にブリヂストンのポテンザRE47がデビューし三社三つ巴のハイグリップタイヤ競争に突入します。

同時にモータースポーツ競技用としてほぼ同じトレッドデザインのセミレーシングタイヤ、ポテンザRE47S・アドバンHF-R・ダンロップ Formula-Rとサーキットでも性能競争が繰り広げられることになりました。

日本でハイグリップタイヤが進化したのはタイヤメーカー間の威信をかけた競争があったのは間違いありません。さらに日本では高速移動の文化が育っておらず、高速道路も制限速度は100km/hであることや平地が少なくタイトな山道が多くハンドルを切るとぐいぐい曲がるハイグリップ性能が求められていたことが、ハイグリップタイヤ進化のバックボーンになっていたのだろうと思われます。

近年ではタイヤのハイグリップ化が進む一方、クルマの高性能化によって平均時速が上がってウエット性能が求められるようになり排水性、ウエットグリップともに大幅な進化を遂げています。
一方欧州では高速移動がクルマに求める重要な性能で、タイヤも極端なハイグリップ性能より排水性やマイレッジ(ロングライフ性)が求められる傾向にありました。

クルマの電子制御デバイスの進化は容易にハイパワーにしても安全性が確保できるようになりハイパワー化が進みます。限られたタイヤサイズでハイパワーを受け止めるため、タイヤにより強力なグリップ性能が求められるようになりました。

もともと欧州では認証タイヤ制度が一般化しており、ハイパワーモデル用には専用開発ハイグリップコンパウンドを搭載したタイヤが装着されており、リプレース(市販)用に用意された同銘柄のタイヤのグリップ性能も全体的に引き上げられる傾向にあります。

スポーツタイヤの選び方

スポーツタイヤの種類と必要性の項目で、欧州の自動車メーカーでは認証タイヤ制度が広く採用されていると記述しました。これはメーカーが車両開発の段階からタイヤも専用に開発しクルマの性能をより引き出すためのものなんです。

ポルシェのNコード、BMWの☆マーク、メルセデスベンツのMO、アウディのAO/ROなどがそれです。それからフォルクスワーゲンは表記こそありませんが品番で追っていくと専用設計されたタイヤが購入できるようです。

欧州ではタイヤの性能が重視されており新車開発時にタイヤの同時に開発されます。コンチネンタルタイヤのコンチ・スポーツ・コンタクト6がシビックタイプRに合わせて開発されたというのは有名な話です。ニュルブルクリンクFF市販車最速を奪還するために共同開発しました。
つまり、欧州ではそのくらいクルマとタイヤのマッチングを重視してクルマが作られているということなのです。ですから、欧州プレミアムカーやスポーツカーは専用開発以外のタイヤをつける場合はよほど明確に乗り味を変えたいという意図がない限り、アンマッチングのデメリットが出てしまう可能性があります。

国産ハイグリップ系スポーツタイヤは、サーキット走行会ブームを受けハイグリップ化がさらに加速し、サーキットでのラップタイムの良さを競うような激しい開発競争の結果、もはやノーマルサスペンションのままハイグリップ系スポーツタイヤを履きこなせるクルマがかなり少なくなってしまいました。

単にタイムが出るとかグリップ性能がいいからといって、必ずしも自分のクルマとマッチするとは限りません。例えば86やロードスターでノーマルサスペンションのままハイグリップ系スポーツタイヤを履くとロールが極端に大きくなってしまい、気持ちよく走れなかったりします。

スポーツタイヤ選びの目安はUHPの場合自分が乗っているクルマのキャラクターや、足回りの硬さを勘案して、純正装着より少しグリップが良いくらいのタイヤを選ぶのがポイントです。

感覚的には、ハイグリップタイヤをつければコーナリングスピードが上がって速く走れるようになる…といったイメージですが、実際にはロールが大きくなりタイヤの接地面を有効に使い切れなくなってしまいます。あるいは、サスペンションがボトム(縮み切って)してしまい逆に曲がりにくくなってしまうこともあります。

ハイグリップ系スポーツタイヤは、単にタイヤを履き替えるだけではなく、スポーツサスペンション(ダンパー+スプリングセット)や車高調整式サスペンションキットなど、スポーツドライブやサーキット走行をターゲットにセッティングしたサスペンションに交換するなど足回りの強化を図ることをお勧めします。

おすすめハイグリップ系スポーツタイヤ3選

スポーツタイヤには欧州系のUHPタイプのスポーツタイヤと、国産ハイグリップ系スポーツタイヤの2種類に分けることができます。

ここではそれぞれのカテゴリーについてお勧めのタイヤを紹介しようと思います。

ハイグリップ系スポーツタイヤは、選び方でも書いたようにスポーツサスペンションに交換して装着することをお勧めします。

代表的なタイヤは3つ。ブリヂストン・ポテンザRE71RS、ヨコハマ・アドバン・ネオバAD08R、ダンロップ・ディレッツァZⅢ

ブリヂストン・ポテンザRE71RS

ブリヂストン(BRIDGESTONE)

POTENZA RE-71RS

33,030円〜(税込)

最速へのこだわりが生んだ,リアルスポーツPOTENZA

1つ目はブリヂストン・ポテンザRE71RSです。かつて一世を風靡したポテンザRE71に立ち返り、ケース剛性とコンパウンドグリップのバランス、接地面圧分布など動的なグリップ性能やトラクション性能を徹底的に見直し開発されたハイグリップタイヤです。

タイプ
オールマイティスポーツラジアルタイヤ
ホイールサイズ
13インチ〜20インチ
タイヤ幅
170mm〜301mm
扁平率
30%〜60%
リム幅
4 1/2インチ〜10 1/2インチ
リムガード
転がり抵抗性能
C
ウェットグリップ性能
b
ランフラット
-
非対称パターン

ヨコハマ・アドバン・ネオバAD08R

YOKOHAMA(ヨコハマ)

ADVAN NEOVA AD08R

24,200円〜(税込)

走りを追求した,ADVAN最強のストリートタイヤ

ヨコハマ・アドバン・ネオバAD08Rはハイグリップ系スポーツタイヤの代表モデルともいえるタイヤです。独特のトレッドデザインがハードコーナリングでの安定した接地面形状とトラクションを生み出します。シリカを配合してウエットグリップを高めているのも特徴の一つです。

タイプ
オールマイティスポーツラジアルタイヤ
ホイールサイズ
14インチ〜19インチ
タイヤ幅
170mm〜313mm
扁平率
30%〜40%
リム幅
4 1/2インチ〜11 1/2インチ
リムガード
-
転がり抵抗性能
-
ウェットグリップ性能
-
ランフラット
-
非対称パターン
-

ダンロップ・ディレッツァZⅢ

ダンロップ(DUNLOP)

DIREZZA Z3(ディレッツァZIII)

26,840円〜(税込)

LAPタイム短縮を追求した,ハイグリップスポーツタイヤ

ダンロップ・ディレッツァZⅢはタイヤの温まりが速くすぐに安定した強いグリップを発揮してくれます。サーキットで周回を重ねてもグリップの落ち込みが少なく安定したラップタイムを刻めるのもが特長です。

タイプ
オールマイティスポーツラジアルタイヤ
ホイールサイズ
14インチ〜19インチ
タイヤ幅
170mm〜301mm
扁平率
30%〜55%
リム幅
5インチ〜10 1/2インチ
リムガード
-
転がり抵抗性能
C
ウェットグリップ性能
c
ランフラット
-
非対称パターン
-
いずれもサーキットでのパフォーマンスを謳ったタイヤとして進化しており、接地面に対する溝の比率を比較的多めにして排水性を高めているのが特徴の一つです。

一方でスポーツタイヤを謳いながらサーキット寄りのタイヤもあるのですが、水比率が少なく一般道での走行はあまりお勧めできません。

またどのタイヤを選ぶかはまったくの好みでよく、そのメーカー推しという選択の仕方ももちろんありです。

サスペンションのセッティングもタイヤとのマッチングがかなりの比重を占めるので、好きなブランドあるいは好きなレーシングドラバーの履いているブランドでOKです。

おすすめUHPタイヤ5選

UHPはちょっと多いのですがミシュラン・パイロット・スポーツ4S、コンチネンタル・スポーツコンタクト6、ピレリ・P-ZERO(PZ4)、グッドイヤー・イーグルF1アシンメトリック5、ヨコハマ・アドバン・スポーツV105の5本をお勧めタイヤとして挙げておきます。

ミシュラン・パイロット・スポーツ4S

ミシュラン(Michelin)

PILOTSPORT4S パイロットスポーツ4S

35,700円〜(税込)

優れたドライグリップ,サーキット走行をも可能なドライグリップ性能

パイロット・スポーツ4Sはパイロット・スポーツ4のハイパフォーマンスバージョンです。

実質的にミシュラン・パイロット・スーパースポーツの後継に位置づけられます。

素直で正確な応答性と抜群の排水性を備えたハイパフォーマンスカー向けのバランス系スポーツタイヤです。

ちなみにパイロット・スポーツ4はもう少し肩の力が抜けたプレミアムセダンやスポーティカー向けのタイヤです。

タイプ
オールマイティスポーツラジアルタイヤ
ホイールサイズ
17インチ〜23インチ
タイヤ幅
215mm〜325mm
扁平率
25%〜55%
リム幅
-
リムガード
-
転がり抵抗性能
B
ウェットグリップ性能
a
ランフラット
-
非対称パターン

コンチネンタル・スポーツコンタクト6

コンチネンタル

【コンチネンタル スポーツ コンタクト 6】

29,000円〜(税込)

コンチネンタルのフラッグシップ・スポーツタイヤ

コンチ・スポーツ・コンタクト6は、コンチ・スポーツ・コンタクト5Pの後継モデル。

切れ味のいいシャープな応答とがっちり路面をホールドする強力なグリップ性能が両立する不思議なタイヤです。

ウエットグリップ+排水性にも力を入れて開発したスポーツカー、ハイパフォーマンスカー向けのUHPです。

ブランド
コンチネンタル

ピレリ・P-ZERO(PZ4)

PIRELLI(ピレリ)

NEW P ZERO(PZ4) 95Y

20,970円〜(税込)

全てのクルマのパフォーマンスに最適

ピレリP-ZERO(PZ4)はデビュー当初からポルシェ・フェラーリ・ランボルギーニ・アウディ・マセラティ等々名だたるスポーツカーに向けて最適なチューニングを施し純正装着タイヤとして認証を受けたセミオーダーUHPタイヤでもあります。

P-ZEROにはさらに強力なグリップ性能を発揮するP-ZEROコルサ(PZC4)も用意されています。

タイプ
スポーツコンフォートタイヤ
ホイールサイズ
17インチ〜23インチ
タイヤ幅
-
扁平率
-
リム幅
-
リムガード
-
転がり抵抗性能
-
ウェットグリップ性能
-
ランフラット
非対称パターン

グッドイヤー・イーグルF1アシンメトリック5

グッドイヤー(Goodyear)

EAGLE F1 ASYMMETRIC5

43,990円〜(税込)

高速走行性能と快適性を追求するEAGLEシリーズのフラッグシップ

グッドイヤー・イーグルF1アシンメトリック5は名前からするとスパルタンなタイヤに思えるかもしれません。

しかしUHP群の中では最もマイルドな乗り味を持ったタイヤです。

ハイグリップとウエット性能を備えながら路心地の良さも持っています。

スポーツ性と乗り心地を両立したい人向けのタイヤです。

タイプ
スポーツコンフォートタイヤ
ホイールサイズ
17インチ〜20インチ
タイヤ幅
211mm〜289mm
扁平率
30%〜55%
リム幅
-
リムガード
-
転がり抵抗性能
B〜AAA
ウェットグリップ性能
a
ランフラット
-
非対称パターン

ヨコハマ・アドバン・スポーツV105

横浜タイヤ

ADVAN SPORTS(アドバンスポーツ) F7848

30,530円〜(税込)

ADVANスポーツが新たにより高性能へと進化

ヨコハマ・アドバン・スポーツV105は欧州プレミアムセダンをメインターゲットに開発されたUHPです。

カーカスと呼ばれる骨格部分のコードを斜め(セミラジアル構造)にすることで周方向の剛性を高めトラクション性能と操縦性を高めています。

足回りの引き締まったセダン・サルーンに向いています。

タイプ
スポーツコンフォートタイヤ
ホイールサイズ
16インチ〜23インチ
タイヤ幅
201mm〜331mm
扁平率
25%〜65%
リム幅
5 1/2インチ〜12 1/2インチ
リムガード
-
転がり抵抗性能
-
ウェットグリップ性能
-
ランフラット
-
非対称パターン
UHPに関してはメーカー指定コード(専用設計であることを示す刻印)がある場合はそれを優先してください。

同じ銘柄の同じトレッドパターンのタイヤでも他メーカーの刻印のものを選ぶと、構造やコンパウンドなどセッティングが異なるので最適なパフォーマンスが得られなくなる可能性があるからです。

UHPでも無刻印の市販(リプレース用)タイヤの場合はどの車に装着してもマッチングが図れるようにセッティングしているそうです。
スポーツカーが売れている時代は、スポーツカー向けのタイヤが多く作られていました。

そのためバリエーションが豊富でクルマの使い方により多くの選択肢があったのですが現在はSUC全盛。またどのタイヤメーカーも低燃費タイヤの開発に力を入れており、スポーツタイヤの選択肢は狭くなりがちです。

発売されているハイグリップ系スポーツタイヤを改めて見るとサーキット性能を謳ったタイヤがほとんど。いまの時代ワインディングロードでスポーツドライビングを謳いにくくはあるんですが…。

その一方タイヤ自体は確実に進化しているので、グリップパフォーマンスは確実に上がっています。グリップ性能に関してはUHPも同様で、大パワーを受け止めるグリップ性能とウエットの排水性の両立レベルはどんどん上がっています。

タイヤが高性能化している分「一番イイの持ってきて」的な買い方ができなくなっています。自分のクルマの性能と使い方、求める性能を考えてタイヤを選んでみてください。

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