サスペンション形式の違いによる、それぞれの特性の違いとは?

三菱デリカ D:5 フロントサスペンション

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良く見かけるストラット式サスペンションから、高級車に採用されるダブルウィッシュボーン式サスペンションまで、自動車の走行シチュエーションや価格帯に合わせたものが純正採用されています。それぞれのサスペンションでどんな性能の違いがあるのでしょうか?
Chapter
一番良く見かける「ストラット式サスペンション」
FF車の後輪に使用される「トーションビーム式サスペンション」
スポーツカーや上級車種に採用される「ダブルウィッシュボーン式&マルチリンク式」
どのサスペンション形式が最適化は、車両によって異なる

一番良く見かける「ストラット式サスペンション」

小型車等を含む非常に多くの量産車で採用ストラット式サスペンション(アール・マクファーソンという技術者が開発したのでマクファーソン・ストラット式と呼ばれることも)。
採用されるクラスの幅は広く、軽自動車~シルビア・ローレル等のスポーツカーやセダンにまで採用されています。特にフロントへの採用例が多く、量産FF車においては非常に高い採用率となっています。

サスペンション自体がアッパーアームの役割を兼ねているので、その他部品はロアアーム・タイロッド(FF、4WDの場合はドライブシャフトも含む)などの少数の部品でナックルを支えることが可能です。後輪に採用される場合は、タイロッドが無いことが殆どの為、ロアアームが2本になるケースも存在します。

車高がダウン(ストローク含む)すると、ネガティブ方向へ変化します。
一般的にトー角のみが調整可能となっていますが、調整用のキャンバーボルトが純正部品としてリリースされていることもあります。

FF車の後輪に使用される「トーションビーム式サスペンション」

比較的安価な量産FF車の後輪に使用されることが多いトーションビーム式。FF車両でも高級車の場合は後述のダブルウィッシュボーン/マルチリンクがリアに採用されるケースも。トヨタは高級ミニバンの「アルファード/ヴェルファイア」にトーションビーム式を採用していましたが、2015年のモデルチェンジでダブルウィッシュボーン式となりました。

トーションビーム式のメリットは構造が単純でコストを抑えることが可能な点や、サスペンションがストロークした際にキャンバー・トレッドが変化しないことが挙げられます。
デメリットは、左右のサスペンション構造が独立している独立懸架式と比較すると接地性が低くなる点です。

駆動力や舵角が無いFF車の後輪に採用されるのが一般的ですが、FF車をメインに展開している車両の4WDグレードにも採用されることがあります。

スポーツカーや上級車種に採用される「ダブルウィッシュボーン式&マルチリンク式」

ナックル上下に装着されるロアアームとアッパーアームでタイヤを支持します。車両の前後どちらにも採用されることがあります。

マルチリンク式は、ダブルウィッシュボーン式に使われるロアアームとアッパーアームの本数と形状が変化したものです。マルチリンク用のアームは、車両によっては知恵の輪のような状態になっていることもあります。

スポーツモデルや上級車種に採用される理由は、アームの形状・長さや取付け位置などで乗り心地や走りなどの操縦特性を自由に設定できる点や、サスペンションのストロークのスムーズさ等が挙げられます。

デメリットは部品点数が増える点(コスト増加)や、バネ下重量の増加などが挙げられます。

走りを良くする為にコストをかけて採用するので、市販車ではスポーツカーや一定以上のハイグレード車両(セダン等)に採用されることが多いです。
スポーツカーやレーシングカーは、アッパーアームとロアアームを調整式とすることで非常に走行セッティングの幅が広がります。
F1などのフォーミュラーマシンでは、タイヤ付近にカウルが無い為、普通に設置すると剥き出し状態となってしまいます。スプリングとダンパーは車両内部に設置しアームやロッドによって入力を伝える方式が主流です。

どのサスペンション形式が最適化は、車両によって異なる

現在多く使われているストラット式、ダブルウィッシュボーン式、マルチリンク式、トーションビーム式などを説明させて頂きました。その他にも、リーフリジット式がトラック等の商業車に採用され、旧車ではセミトレーリングアームが流行した時期もありました。

サスペンション形式が複数存在しますが、その中で「どれが優秀か??」というと、やはりダブルウィッシュボーン式やマルチリンク式が乗り心地や走行性能に優れているということになるでしょう。

しかし、それはコストとスペースに余裕があればということになります。軽自動車やコンパクトカー等、車内等にスペースを確保したい場合は採用し辛いです。軽自動車ではスズキ・カプチーノ等の特殊なモデルにしか採用されませんでした。

そして、大事な点は「ストラット式やリアトーションビームの採用が劣っている」わけではないということです。メーカーが研究を進め、普通に乗る分には何ら問題ない仕上がりとなっています。車両のスペック・コスト・スペース等を考慮した結果、コンパクトカークラスではストラット式のサスペンションが最も効率が良いということです。

しかし、トヨタの一部車両では、重量が重たく280馬力を超える大出力4WDにトーションビーム式が採用されたケースがあり、これには批判的な意見も多いようです。2015年に久々のモデルチェンジとなった新型アルファード/ヴェルファイアでは、ダブルウィッシュボーン式が採用されました。
購入車両を選ぶ際、足回りの構造をチェックしてみるのは悪いことではありません。

各メーカーの同価格帯の車両でも、車両の走行性能や乗り心地に対しての力の入れ具合が異なることもありますので、意識して乗り比べてみると良いでしょう。
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