カムリ、ハイラックス、シビックなど…逆輸入車のメリット・デメリットとは?

トヨタ カムリ 2017

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トヨタのカムリやハイラックス、スズキのバレーノ、ホンダのシビックなど、国産メーカーなのに海外で生産されたモデルが増えている印象です。いわゆる逆輸入車と呼ばれる、それらにはどんなメリットとデメリットがあるのでしょう?
Chapter
急増する逆輸入車
かつての代表的な「逆輸入車」
最近の逆輸入車は、本気の量販車が多い
逆輸入車のメリット
逆輸入車のデメリット

急増する逆輸入車

スズキ バレーノはインド、三菱 ミラージュはタイ、トヨタ カムリは北米と、ひと口に逆輸入といってもその生産国はまちまちです。その理由は、多く売れる地域の近くで生産することで販売コストを下げるため。これは、わりと昔からある話です。

日本の自動車メーカーでは、2輪分野でその手法を積極的に進めていたホンダが先駆者的存在でしたが、その後日本車の輸出が増えると、貿易の不均衡による国際摩擦を解消する意味合いもあって、北米での生産が増えました。

その一方で、膨らむアジア市場に対応するため、東南アジア地域に現地法人を設立し、工場を建設。最初は型落ちのクルマや、技術育成的な意味合いもあって簡単なクルマを作り、次第に品質を上げていくという、いわば戦後日本の自動車業界と同じような立ち上げ方(日産や日野、いすゞはそれで技術を磨きました)をしたわけです。

世界中の工場で品質の高いクルマを作れるようになり、需要の拡大で生産規模が拡大したこと。同時に、国内生産車を輸出にまわすと、関税や輸送コストによってときには法外に高価になってしまうなど、メーカーにとって国内で生産するメリットが無くなったことも、「海外製日本車」が増えた要因です。

かつての代表的な「逆輸入車」

最近では増えているとはいえ、昔も海外製日本車の逆輸入が無かったわけではありません。

日産のスペイン工場で作られたミストラル、ホンダ米国工場生産のアコードワゴン、タイ生産のフィットアリアなど、結構な数がありました。なかでもミストラルとアコードワゴンは売れ行きも良かったようです。

ただし、それらの多くは「国内生産するまでもないけれど、ある程度の需要が見込める」という理由であったり、メーカーの資本提携の関係で輸入したなど、メーカーとしてもそれほど売る気は無かったのです。

ですから販売台数が振るわないのも当然で、三菱のピックアップトラック、トライトンのように最初からマニア向けに100台限定とされたものがあるくらいでした。

最近の逆輸入車は、本気の量販車が多い

一方、最近増えている逆輸入車ではどうでしょう?

ホンダ シビック タイプR(イギリス製)などスポーツカーは別としても、本気で売らなければいけない量販車が増えています。

トヨタは商用車のタウンエース/ライトエースがインドネシア生産(アストラ ダイハツ モーター)ですし、日産は量販コンパクトカーのマーチをタイで、三菱も同じくミラージュをタイで作って輸入しています。

スズキなどは、インドで生産しているバレーノはもとより、SX4 C-ROSSとエスクードもハンガリーのマジャールスズキ生産と、もっとも逆輸入に力を入れているメーカーと言えます。

では、そんな逆輸入車のメリット・デメリットは何でしょうか?

逆輸入車のメリット

海外で生産する意義と言えば、なんと言っても低コストであることでしょう。人件費が安いのはもちろんですが、それ以上に「一番売れる地域で作ることで、全体の輸送コストをミニマムにできる」というメリットがあります。

クルマにかかるコストは開発から販売までさまざまな種類がありますが、車体に直接関係のない輸送コストが多大にかかるようでは販売競争力を維持できません。逆に、そこで利益を確保できれば、日本市場のように需要の少ない地域でも販売を継続できるわけです。

さらに得られる利益が大きくなれば、品質向上にもあてることができますから、まさに一石二鳥なのです。

ユーザーにとっても、無理して国内生産する車よりは同じ価格でより品質の高いクルマを手に入れる事ができるというわけで、事実インド製のスズキ バレーノも、最新の1リッターダウンサイジングターボを搭載した軽量活発な走りと、コストダウン感の無い内装が売りになっています。

逆輸入車のデメリット

一方、逆輸入車は、生産国の国のイメージがつきまといます。

かつてスペイン製のミストラルや米国製のアコードワゴンがヒットした話を書きましたが、それらは”その国で作られたこと自体が価値になる(すくなくともマイナスイメージにならない)”ことが要因でした。

しかし、東南アジア製やインド製となれば、話は変わってきます。誰かに説明する時に「え~〇〇製なの、大丈夫?」と言われてしまったり、自分自身でもどことなく感じる国産品への安心感へと、先進国以外で生産された製品への不信感があるわけです。

おまけに、もっとも需要のある国に合わせたデザインが日本人好みでは無いというケースもありますから、なおさら手を伸ばしにくくなるのです。

実際には、国産にこだわった結果としてかえって品質を落とさざるを得ないようなケースもあるので、メーカーとしては時間をかけて説得力をつけていくしか無いでしょうね。

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