ブローオフバルブの効果とは?役割やメリット・デメリット、音の特徴をやさしく解説

ブローオフサウンド

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ターボ車ならではの「プシューッ」という独特な音、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
実はこの音を生み出しているのがブローオフバルブというパーツです。ブローオフバルブは決して音を出すためだけの飾りではなく、ターボエンジンの保護と性能維持に重要な役割を担っています。

本記事では、車好きでターボ車のカスタムに関心がある皆さんに向けて、ブローオフバルブの役割、その効果(メリット)、注意すべきデメリットや車検との関係、そして気になるサウンドの特徴や選び方のポイントまで、丁寧に分かりやすく解説します。ぜひ最後までお付き合いください。

CARPRIME編集部

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Chapter
ブローオフバルブの基本的な役割と仕組み
ブローオフバルブの効果・メリット一覧
ブローオフバルブのデメリットと車検対策
ブローオフバルブの音(ブローオフサウンド)の魅力
ブローオフバルブの選び方ガイド【初心者向け】

ブローオフバルブの基本的な役割と仕組み

ブローオフバルブは、ターボチャージャーで過給(圧縮)された空気(過給圧)の逃げ道となる「圧力開放バルブ」です。アクセルペダルをオフにしてスロットルバルブが急に閉じた際、ターボチャージャースロットルバルブの間で高まった過給圧の行き場がなくなります。
この行き場を失った高圧の空気を瞬時に逃がすことで、過剰な圧力がターボチャージャーのコンプレッサーホイール(羽根)に逆流して、回転に急ブレーキをかけるようなダメージを与えるのを防いでいます。

つまり、ターボチャージャー本体の破損や寿命低下につながる「サージング」(過給圧の逆流によって発生する異常な脈動現象)を抑制し、タービンブレードや軸(シャフト)を保護するのがブローオフバルブの最も重要な役割です。

また、ブローオフバルブはターボラグの軽減、すなわちアクセルレスポンスの維持にも貢献しています。余分な圧力を適切に逃がすことでタービンへの余計な負荷を減らし、アクセルを再び踏んだときにターボチャージャーの回転が落ち込み過ぎるのを防ぎ、スムーズな再加速を可能にしてくれます。

なお、市販車の多くは、解放した空気をエンジンの吸気側(エアクリーナーとターボチャージャーの間など)へ戻すリサーキュレーション(再循環)タイプを採用しています。一方で、競技用部品など社外品には、解放した空気をそのまま大気に放出する大気開放タイプも存在します。

ブローオフバルブの効果・メリット一覧

  • ターボを保護し寿命を延ばす 

    前述の通り、アクセルオフ時に発生する過剰な過給圧を逃がすことで、ターボチャージャーへの圧力の逆流(サージング)を防ぎ、タービンブレードやシャフトへのダメージを防止します。これにより、ターボチャージャーの寿命を延ばす効果が期待できます。

  • 加速レスポンスを向上させる 

    アクセルオフ時にタービンの回転が急激に失速するのを防ぐため、シフトチェンジ後やコーナーからの再加速時などに、ブースト圧が素早く立ち上がるようになります。これにより、アクセルレスポンスの悪化(ターボラグ)を抑え、よりスムーズで意のままのドライビングが可能になります。

  • 高ブーストセッティングを安定化 

    社外品の強化ブローオフバルブに交換すると、純正品よりも高い過給圧に耐えられるよう設計されているため、ブーストアップ(過給圧の向上)などのチューニングを施した車両でも、設定したブースト圧を無駄に逃がすことなく安定して維持できます。その結果、エンジンの持つパワーを有効に引き出すことにつながります。

  • バルブ自体の耐久性アップ 

    強化タイプのバルブは、純正品よりも高い圧力や過酷な使用環境に耐えられるよう、高強度の材質(例えばアルミ削り出しなど)や、より精密な構造で設計されているため、バルブ自体の耐久性が向上します。頻繁に高い過給圧がかかるスポーツ走行など、ハードな運転でも信頼性が高く、安心してアクセルを踏めるようになります。

※なお、「ブローオフバルブを社外品に交換すると車が速くなる」といった直接的なパワーアップ効果は基本的にありません。あくまでターボチャージャーの保護と、ブースト圧の安定制御による間接的な性能維持・向上が主なメリットになります。

ブローオフバルブのデメリットと車検対策

  • 大気開放式は車検に通らない 

    大気開放式のブローオフバルブを装着した車は、原則として車検に合格できません。
    これは、エンジンが吸い込む空気の量を計測するセンサー(エアフローメーター)を通過した「計測済みの空気」を、エンジンに吸入させずに車外に放出してしまうと、車のコンピューター(ECU)が算出した燃料噴射量と、実際にエンジンに入る空気量との間にズレが生じ、一時的に燃料が濃すぎる状態(空燃比の悪化)になってしまうためです。
    その結果、不完全燃焼が起こり、排出ガスに含まれる有害物質(CO:一酸化炭素やHC:炭化水素)の濃度が道路運送車両の保安基準で定められた規制値を超えてしまうからにほかなりません。公道を走行する車では、解放した空気をエンジンの吸気側へ戻すリサーキュレーション(再循環)タイプを装着する必要があります。社外品でも大気開放音を楽しめるモデルはありますが、車検時には純正に戻すか、別途「リターンキット」などで再循環方式に変更するなどの対策が必要です。

  • セッティング不良によるエンジン不調 

    社外品の中には汎用設計のものも多く、車種ごとのセッティングが合わないとエンジンの調子が悪くなるケースがあります。例えば、作動タイミングを制御するバルブスプリングの硬さが合わず、過給圧の抜け方が適切でないと、アイドリングが不安定になったり、加速時にもたつきを感じたり、燃費が悪化したりする恐れがあります。
    また、前述の通り、エアフローメーターを備える車で大気開放にすると、計測した空気が逃げてしまうことで、アクセルオフの直後などに燃料が濃くなりすぎてしまい、失火(アフターファイア)やエンストの原因になる場合もあります。

  • ノーマル車では効果が限定的 

    ノーマル車両(無改造)程度の過給圧であれば、純正のブローオフバルブで性能は十分に足りており、社外品に交換しても「ファッション(見た目や音を楽しむ)の域を出ない」とも言われます。
    実際、エンジンやタービンがノーマルのままで公道走行がメインなら、社外の強化バルブへ交換することによる大きな性能向上は体感しにくいでしょう。

  • 過度なブーストアップは危険 

    強化型ブローオフバルブは、作動する圧力を純正より高めに設定できるため、より高いブースト圧をかけることが可能になりますが、その分エンジンやターボチャージャー本体への負荷も増大します。
    車両の他の部分(燃料系、冷却系、エンジン内部パーツなど)の強化を伴わずに、無理に高ブーストを狙えば、最悪の場合はエンジンブロー(エンジン破損)といった深刻なトラブルを招く危険性も高まるので注意が必要です。

ブローオフバルブの音(ブローオフサウンド)の魅力

ターボ車ならではの「プシューッ」という独特のサウンドは、アクセルを離した瞬間にブローオフバルブが開いて圧縮空気を逃がすときに発生する音で、ターボ車に乗る醍醐味の一つです。

この音は、とても爽快で「ターボ車を操っている」という特別感をドライバーに与えてくれます。 特に、解放した空気をそのまま外に放出する大気開放型のブローオフバルブでは、この音が大きく明瞭に聞こえ、マニュアル車でのシフトチェンジの度に「シュパッ」といった鋭い開放音が響き渡ります。

対して、多くの純正車両に採用されているリサーキュレーション(再循環)式では、解放された空気はインテークパイプ内に戻されるため、音はエンジンルーム内にこもり、車外に聞こえるほどの派手な音はほとんどしません。


音の感じ方や好みは人それぞれですが、社外品のメーカーやバルブの構造によって音色にも様々な違いがあります。甲高い「ピシューン!」という金属的な音を出すものもあれば、比較的マイルドで「プシュー…」と息が抜けるような音、あるいは「シュルルル」といった独特の音を奏でるものもあります。市街地の静かな環境で、常に大音量のブローオフサウンドを響かせるのは、周囲への迷惑となる可能性もあります。

必要以上にアクセルのオン・オフを繰り返して音を鳴らさないようにする、あるいは後述する音量調整が可能なバルブを選ぶといった、周囲への配慮も心がけましょう。

ブローオフバルブの選び方ガイド【初心者向け】

  1. 公道使用なら車検対応バルブが安心 

    公道を走行するストリート仕様の車で使うなら、解放した空気を吸気系に戻すリサーキュレーション対応(再循環型)のブローオフバルブを選ぶのが基本です。どうしても大気開放の迫力あるサウンドを楽しみたいという場合でも、車検時には保安基準に適合できるよう、オプションの「リターンキット」などで簡単にリサーキュレーション方式に変更できる製品を選ぶのがおすすめです。


  2. チューニングに合わせた適合モデル選び 

    現在の愛車の状態と、今後のチューニング計画に合わせてモデルを選定しましょう。エンジンがノーマルの場合、純正のブローオフバルブで性能は十分に足りていますので、無理に社外の強化バルブに交換する必要性は低いと言えます。一方で、タービン交換や大幅なブーストアップ(過給圧の向上)を行うなら、その高い過給圧によって純正バルブが意図せず開いてしまう(圧が漏れてしまう)のを防ぐため、より高い圧力に耐えられる容量と耐久性を持つ強化モデルに交換するメリットがあります。


  3. 実績ある有名メーカー品を選択 

    社外品のブローオフバルブは様々なメーカーから販売されていますが、特に初心者の方は、長年の実績がある有名メーカーの製品を選ぶと安心です。品質が不明な安価な製品や模倣品の場合、過給圧が漏れてブーストが安定しなかったり、バルブの作動不良によってサージングが発生したりと、エンジン不調の原因となるケースもありえます。


  4. 音量と実用性のバランスを考慮 

    ブローオフバルブ選びでは、「特徴的な音も楽しみたい」という気持ちと、車検対応や周囲への配慮といった実用面とのバランスを取りましょう。大気開放型は確かに迫力のあるサウンドが魅力ですが、前述のようにデメリットもあります。 普段乗りが中心であれば、純正同様の静かなリサーキュレーションタイプや、音量が調整できるタイプのバルブを選ぶのが良いでしょう。また、一部の社外品には、付属のアタッチメントの交換や調整によって、迫力のある大気開放サウンドと、静かで車検にも対応するリサーキュレーション(再循環)とを切り替えることができるモデルもあります。このような製品を選べば、TPO(時、場所、場合)に合わせて音の有無を使い分けることが可能です。
以上、ブローオフバルブの基礎知識と効果、選び方のポイントについて解説しました。ブローオフバルブはターボ車の信頼性と楽しさを支えてくれる重要なパーツです。

そのメリット・デメリットを正しく理解した上で、ご自身の車と使い方に合った製品を上手に活用し、ターボ車のカスタムライフを安全に楽しんでくださいね。
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