フットブレーキは前輪・後輪どちフットブレーキの仕組みとは?前輪・後輪どちらに効くか、サイドブレーキとの違いを解説!らにかかっているの?その仕組みやサイドブレーキとの違いも解説!
更新日:2025.06.20

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車のブレーキペダルを軽く踏むだけで、1トン以上もある車がスーッと減速するのは不思議で、まるで魔法のようだと感じたことはありませんか?実は、その裏側にはフットブレーキの仕組みという、車の安全を支える秘密が隠されています。フットブレーキの仕組みと、サイドブレーキとの違いや、フットブレーキを使いすぎたときに起こる現象、エンジンブレーキとの上手な使い分けについても解説します。この記事を読めば、ブレーキのメカニズムにちょっと詳しくなってドライブがもっと楽しくなるかもしれません!
- Chapter
- フットブレーキとサイドブレーキの違い・役割
- 基本的な役割の違い:「常用ブレーキ」と「駐車ブレーキ」
- 構造上の違い:作用する車輪と力の仕組み
- 操作方法と危険性の違い:走行中の使い方と注意点
- フットブレーキの仕組み
- フットブレーキとは?-走行中に使う「主役」のブレーキ
- 主流の「ディスクブレーキ」と「ドラムブレーキ」の違い
- 軽い力でクルマが止まる仕組み-油圧と倍力装置
- ディスクブレーキが作動する具体的な流れ
- フットブレーキの使いすぎでブレーキの効きが悪くなる?
- フェード現象
- ペーパーロック現象
- エンジンブレーキも活用しよう!フットブレーキとの違いと使い分け
- エンジンブレーキとは?その仕組みと使い方
- エンジンブレーキの2大メリット(ブレーキ保護と燃費向上)
- 安全な使い分けのコツと注意点
- 【豆知識】エンジンブレーキとサイドブレーキは全くの別物
- フットブレーキは前後どの車輪に効くの?
- まとめ
フットブレーキとサイドブレーキの違い・役割
基本的な役割の違い:「常用ブレーキ」と「駐車ブレーキ」
車のブレーキには大きく分けて2種類あります。走行中の減速・停止に使うフットブレーキ(常用ブレーキ)と、駐車時に車両を動かないよう固定するサイドブレーキ(パーキングブレーキ)です。フットブレーキは右足で踏むペダルで操作し、走行中に最も頻繁に使われるメインのブレーキです。一方サイドブレーキは停車中に使う補助的なブレーキで、手で引くレバー式のほかに足で踏むペダル式、最近ではボタン操作の電動式も増えてきました。正式名称が「パーキングブレーキ」とある通り、駐車中に車を動かないようにするのが目的です。
構造上の違い:作用する車輪と力の仕組み
フットブレーキは車両の全ての車輪に制動力を伝えて減速させます。一方、サイドブレーキは装置の構造上後輪の2輪のみをロックする仕組みになっています。多くの乗用車では4つの車輪すべてにブレーキが付いていますが、そのうちサイドブレーキが作用するのは後輪だけなのです。この違いは、用途と構造によるものです。フットブレーキは油圧と倍力装置(後述)によって踏力を増幅し、前後輪のブレーキを強力に作動させます。対してサイドブレーキは人力(手や足)のみで作動させるため、レバーやワイヤーで後輪を機械的に固定する程度の力しかかけられません。走行中に使うブレーキではないので十分と言えますが、後輪だけしか止められない点は覚えておきましょう。
操作方法と危険性の違い:走行中の使い方と注意点
サイドブレーキとフットブレーキのもう一つの違いは、その役割と操作方法です。フットブレーキはペダルの踏み込み加減で制動力を調節できるため、速度や状況に応じてなめらかに減速・停止できます。踏めば踏むほど強く効き、必要なときに瞬時に最大の制動力を発揮できるのが特徴です。
一方サイドブレーキは駐車中に車輪をロックするのが目的なので、走行中には通常使いません。もし走行中にサイドブレーキ(特にレバー式)を引いた場合、後輪がロックしてスピンする恐れがあり大変危険です。サイドブレーキはあくまで停車・駐車時の安全確保のために使いましょう。また、サイドブレーキを戻し忘れたまま走行すると、後輪に引きずり抵抗がかかって車の動きが重く感じられます。「なんだか車のパワーが出ないな?」と思ったらサイドブレーキの引きっぱなしだった…なんて経験のある方もいるかもしれませんね。駐車後は発進前にサイドブレーキを確実に解除する習慣をつけることも大切です。
一方サイドブレーキは駐車中に車輪をロックするのが目的なので、走行中には通常使いません。もし走行中にサイドブレーキ(特にレバー式)を引いた場合、後輪がロックしてスピンする恐れがあり大変危険です。サイドブレーキはあくまで停車・駐車時の安全確保のために使いましょう。また、サイドブレーキを戻し忘れたまま走行すると、後輪に引きずり抵抗がかかって車の動きが重く感じられます。「なんだか車のパワーが出ないな?」と思ったらサイドブレーキの引きっぱなしだった…なんて経験のある方もいるかもしれませんね。駐車後は発進前にサイドブレーキを確実に解除する習慣をつけることも大切です。
フットブレーキの仕組み
フットブレーキとは?-走行中に使う「主役」のブレーキ
フットブレーキとは、ペダル操作によってタイヤの回転を直接抑えるブレーキ方法で、ほとんどのドライバーが「ブレーキ」と聞いて真っ先に思い浮かべるものです。アクセルペダルの左隣にあるブレーキペダルを踏み込むことで車を減速・停止させるこの装置は、状況を問わず安定した制動力を発揮できるよう設計されたメインブレーキです。
主流の「ディスクブレーキ」と「ドラムブレーキ」の違い
一般的な乗用車のフットブレーキには、油圧で動作するディスクブレーキとドラムブレーキの2種類の方式があります。いずれも仕組み自体は「摩擦」によって車輪の回転を押さえつける点で共通しています。ディスクブレーキはホイールと一緒に回る金属製の円盤(ブレーキディスク=ローター)をブレーキパッドで挟み込んで制動する方式、ドラムブレーキはホイール内側のドラムにブレーキシューと呼ばれる部品を押し付けて制動する方式です。現在の普通車では放熱性に優れるディスクブレーキの方が主流となっており、ドラム式は主にリアブレーキ(後輪)など一部に使われる程度になっています。
軽い力でクルマが止まる仕組み-油圧と倍力装置
フットブレーキ(ディスクブレーキ方式)の主な構成要素を挙げると、ブレーキペダル、油圧を生み出すマスターシリンダー(ブレーキの油圧ポンプ)、踏力を倍増させるブレーキブースター(倍力装置)、そして各車輪に付くブレーキキャリパーとディスクローターなどがあります。
ブレーキペダルからマスターシリンダーまではロッド(棒)でつながり、マスターシリンダーから各ブレーキ装置まではブレーキオイル(ブレーキフルード)を満たしたパイプで接続されています。
このパイプ内は密閉されており、運転者がペダルを踏む力はブレーキオイルの圧力となって各車輪へ伝わります。液体は押し縮められない性質(パスカルの原理)があるため、ペダルでかけた力は効率よく全てのブレーキに行き渡るのです。さらに、この圧力は踏力に応じてブレーキブースターによって増幅され、人間の足の力では止めきれない重い車体でもしっかり減速できるようになっています。
ブレーキペダルからマスターシリンダーまではロッド(棒)でつながり、マスターシリンダーから各ブレーキ装置まではブレーキオイル(ブレーキフルード)を満たしたパイプで接続されています。
このパイプ内は密閉されており、運転者がペダルを踏む力はブレーキオイルの圧力となって各車輪へ伝わります。液体は押し縮められない性質(パスカルの原理)があるため、ペダルでかけた力は効率よく全てのブレーキに行き渡るのです。さらに、この圧力は踏力に応じてブレーキブースターによって増幅され、人間の足の力では止めきれない重い車体でもしっかり減速できるようになっています。
ディスクブレーキが作動する具体的な流れ
1. ペダルを踏み込む: ドライバーがブレーキペダルを踏むと、その力がマスターシリンダー(油圧ポンプ)のピストンに伝わります。
2. 油圧が発生: マスターシリンダー内のピストンが押されることでブレーキオイル(ブレーキフルード)に圧力がかかり、油圧が発生します。
3. 圧力が各輪に伝わる: 高まった油圧はブレーキライン(配管)を通じて4輪それぞれのブレーキ装置へと送られます。
4. 各ブレーキが作動: 各車輪に備わるブレーキキャリパー(ディスクブレーキの場合)やホイールシリンダー(ドラムブレーキの場合)のピストンが油圧によって押し出されます。
5. 摩擦で減速: 押し出されたピストンにより、ディスクブレーキではブレーキパッドがディスクローターを両側から挟み込み、ドラムブレーキではブレーキシューがドラムの内側を押し広げて接触します。これによって発生した摩擦力で車輪の回転が強く抑えられ、車が減速します(車の運動エネルギーが熱エネルギーに変換されます)。
6. 倍力装置によるアシスト: これら一連の動作を行う際、エンジンの吸気負圧を利用したブレーキブースターが踏力をアシストしています。人間が踏み込む力を何倍にも増幅して油圧に変えてくれるため、比較的軽い力で1トン以上の車体を安全に止められるのです。
2. 油圧が発生: マスターシリンダー内のピストンが押されることでブレーキオイル(ブレーキフルード)に圧力がかかり、油圧が発生します。
3. 圧力が各輪に伝わる: 高まった油圧はブレーキライン(配管)を通じて4輪それぞれのブレーキ装置へと送られます。
4. 各ブレーキが作動: 各車輪に備わるブレーキキャリパー(ディスクブレーキの場合)やホイールシリンダー(ドラムブレーキの場合)のピストンが油圧によって押し出されます。
5. 摩擦で減速: 押し出されたピストンにより、ディスクブレーキではブレーキパッドがディスクローターを両側から挟み込み、ドラムブレーキではブレーキシューがドラムの内側を押し広げて接触します。これによって発生した摩擦力で車輪の回転が強く抑えられ、車が減速します(車の運動エネルギーが熱エネルギーに変換されます)。
6. 倍力装置によるアシスト: これら一連の動作を行う際、エンジンの吸気負圧を利用したブレーキブースターが踏力をアシストしています。人間が踏み込む力を何倍にも増幅して油圧に変えてくれるため、比較的軽い力で1トン以上の車体を安全に止められるのです。
フットブレーキの使いすぎでブレーキの効きが悪くなる?
フェード現象
フェード現象とは、フットブレーキを過度に使ってブレーキパッド(摩擦材)が高温になることで、摩擦力が低下してブレーキが利きにくくなる現象です。熱でブレーキパッドの表面が一時的に滑りやすくなり、「ブレーキを踏んでいるのに減速力が弱まる」状態に陥ります。さらにパッド内部の樹脂や接着剤といった素材が熱分解し、ガスを発生させることもあります。このガスがパッドとディスクローターの間に入り込むとクッションのような役割をしてしまい、余計に摩擦力が低下してしまうのです。
フェード現象はサーキット走行のようなスポーツドライビング時や、山道の長い下り坂でフットブレーキを踏み続けた場合などに起こりやすい傾向があります。またブレーキパッドが摩耗して薄くなっているほど発生しやすくなります。普段から走行距離の多い方や山道をよく走る方は、パッドの厚みを定期的に点検し、早めに交換することでフェード現象のリスクを減らせます。
フェード現象はサーキット走行のようなスポーツドライビング時や、山道の長い下り坂でフットブレーキを踏み続けた場合などに起こりやすい傾向があります。またブレーキパッドが摩耗して薄くなっているほど発生しやすくなります。普段から走行距離の多い方や山道をよく走る方は、パッドの厚みを定期的に点検し、早めに交換することでフェード現象のリスクを減らせます。
ペーパーロック現象
ベーパーロック現象とは、フットブレーキを長時間酷使した際にブレーキオイル(ブレーキフルード)が沸騰し、油圧ライン内に発生した気泡のせいでブレーキペダルの踏力がうまく伝わらなくなる現象です。ブレーキを繰り返し使うとパッドとローターが摩擦で高温になりますが、その熱がブレーキフルードにまで及ぶと液体が沸騰し小さな気泡(蒸気)が混ざってしまいます。油圧回路内に入り込んだこの気泡がクッションのような役割をして、マスターシリンダーから各ブレーキへ伝わるはずの圧力を逃してしまい、ブレーキペダルを踏んでも踏んでもスカスカで効かないという危険な状態に陥ります。ベーパーロックはフェード現象以上に深刻で、最悪の場合ブレーキがほとんど効かなくなることもあり得ます。
こうしたベーパーロック現象を防ぐには、まずブレーキフルードの管理が重要です。ブレーキフルードは吸湿性があり長期間使用すると沸点(沸騰し始める温度)が下がってしまうため、定期的に交換して常に新しい油液を保つようにします。また山道の下り坂などで長時間減速が続く場合は、できるだけエンジンブレーキを併用してフットブレーキの連続使用を避けることが有効です。フットブレーキを休ませながら速度をコントロールすることで、ブレーキの過熱を防ぎベーパーロックのリスクを下げられます。
こうしたベーパーロック現象を防ぐには、まずブレーキフルードの管理が重要です。ブレーキフルードは吸湿性があり長期間使用すると沸点(沸騰し始める温度)が下がってしまうため、定期的に交換して常に新しい油液を保つようにします。また山道の下り坂などで長時間減速が続く場合は、できるだけエンジンブレーキを併用してフットブレーキの連続使用を避けることが有効です。フットブレーキを休ませながら速度をコントロールすることで、ブレーキの過熱を防ぎベーパーロックのリスクを下げられます。
エンジンブレーキも活用しよう!フットブレーキとの違いと使い分け
エンジンブレーキとは?その仕組みと使い方
エンジンブレーキとは、アクセルを離した際のエンジンの抵抗力を利用して減速する方法です。アクセルオフだけでも効果はありますが、低いギアへシフトダウンすれば、より強い制動力が得られます。AT車でも、シフトを「2」や「L」レンジに入れれば強いエンジンブレーキがかかるので、長い下り坂などでは積極的に活用しましょう。
フットブレーキが車輪を直接止めるのに対し、エンジンブレーキはエンジン自体の抵抗で緩やかに減速させる補助的な役割を担います。単体で車を完全停止させることはできません。
フットブレーキが車輪を直接止めるのに対し、エンジンブレーキはエンジン自体の抵抗で緩やかに減速させる補助的な役割を担います。単体で車を完全停止させることはできません。
エンジンブレーキの2大メリット(ブレーキ保護と燃費向上)
主なメリットは2つあります。1つ目は、フットブレーキの負担軽減です。長い下り坂などでエンジンブレーキを併用すれば、ブレーキの過熱(フェード・ベーパーロック現象)やブレーキパッドの摩耗を防ぎ、安全性と部品寿命を向上させます。
2つ目は燃費の向上です。近年の多くの車は、アクセルオフでエンジンブレーキがかかっている間は燃料の供給をカットする「フューエルカット」機能が働きます。そのため、エンジンブレーキでの減速中はガソリンをほぼ消費しません。早めにアクセルを離して減速する習慣をつければ、燃料節約と安全運転の一石二鳥です。
2つ目は燃費の向上です。近年の多くの車は、アクセルオフでエンジンブレーキがかかっている間は燃料の供給をカットする「フューエルカット」機能が働きます。そのため、エンジンブレーキでの減速中はガソリンをほぼ消費しません。早めにアクセルを離して減速する習慣をつければ、燃料節約と安全運転の一石二鳥です。
安全な使い分けのコツと注意点
エンジンブレーキとフットブレーキを上手に併用することが安全運転のコツです。減速時はまずエンジンブレーキで十分に速度を落とし、停止に必要な分だけフットブレーキで補うのが理想的です。これによりブレーキへの負担が分散し、余裕のある運転ができます。
ただし、最も重要な注意点として、エンジンブレーキ作動中はブレーキランプが点灯しません。後続車に減速が伝わらず追突される危険があるため、後続車がいる場合は軽くフットブレーキを踏んでランプを点灯させ、減速の意思を知らせる配慮が不可欠です。
ただし、最も重要な注意点として、エンジンブレーキ作動中はブレーキランプが点灯しません。後続車に減速が伝わらず追突される危険があるため、後続車がいる場合は軽くフットブレーキを踏んでランプを点灯させ、減速の意思を知らせる配慮が不可欠です。
【豆知識】エンジンブレーキとサイドブレーキは全くの別物
ちなみに、エンジンブレーキと駐車時に使うサイドブレーキ(パーキングブレーキ)は名前が似ていますが全くの別物です。エンジンブレーキは走行中の減速技術であり、アクセルオフとシフト操作で機能します。エンジンに負担をかける危険な操作と誤解されがちですが、適切に使えば車に優しく安全に減速できる賢い方法ですので、ぜひ正しく理解して活用してください。
フットブレーキは前後どの車輪に効くの?
フットブレーキは前輪と後輪どちらに効いているのでしょう?
結論から言うと、フットブレーキは通常前後すべての車輪に作用しています。車種や駆動方式にかかわらず4輪全てにブレーキ力が伝わるよう設計されているのです。ただし、その前後配分(どのくらいの力が前輪と後輪に配分されるか)は均等ではありません。一般的な乗用車では、前輪側に強い制動力がかかるように設計されています。
なぜ前輪ブレーキの方が強く効くようになっているのでしょうか?
理由は、車が減速する際の挙動にあります。走行中にフットブレーキを踏むと、車の重心が前方に移動する(いわゆる「前のめり」になる)ため、車重の大部分が前輪にかかります。その結果、前輪には後輪よりも大きな制動力が必要になります。前輪ブレーキが強力でないと、前方に集中した運動エネルギーを受け止めきれず十分に減速できないからです。このため多くの車では、フロント(前輪)に大径のディスクローターや対向ピストン式の強力なブレーキキャリパーを備えるなど、前輪ブレーキに高い制動力を持たせています。
特にスポーツカーでは前後でブレーキ性能に大きな差をつけ、前輪側に大容量のブレーキシステムを採用することが一般的です。逆に、後輪は減速時に荷重が抜けて軽くなるためロック(滑り)しやすく、前輪ほど強い制動力は不要です。そうした力の配分も踏まえて、通常のフットブレーキは「前重視」で効くようになっているのです。
(参考までに、ほとんどの車で前後輪にブレーキが効く中で、実は古い自動車や一部の特殊車両には後輪だけにしかブレーキが付いていないものも存在しました。しかし現代の乗用車は基本的に4輪すべてにブレーキがありますので、「前も後ろも両方効いて当たり前」と思っておいて大丈夫です。)
結論から言うと、フットブレーキは通常前後すべての車輪に作用しています。車種や駆動方式にかかわらず4輪全てにブレーキ力が伝わるよう設計されているのです。ただし、その前後配分(どのくらいの力が前輪と後輪に配分されるか)は均等ではありません。一般的な乗用車では、前輪側に強い制動力がかかるように設計されています。
なぜ前輪ブレーキの方が強く効くようになっているのでしょうか?
理由は、車が減速する際の挙動にあります。走行中にフットブレーキを踏むと、車の重心が前方に移動する(いわゆる「前のめり」になる)ため、車重の大部分が前輪にかかります。その結果、前輪には後輪よりも大きな制動力が必要になります。前輪ブレーキが強力でないと、前方に集中した運動エネルギーを受け止めきれず十分に減速できないからです。このため多くの車では、フロント(前輪)に大径のディスクローターや対向ピストン式の強力なブレーキキャリパーを備えるなど、前輪ブレーキに高い制動力を持たせています。
特にスポーツカーでは前後でブレーキ性能に大きな差をつけ、前輪側に大容量のブレーキシステムを採用することが一般的です。逆に、後輪は減速時に荷重が抜けて軽くなるためロック(滑り)しやすく、前輪ほど強い制動力は不要です。そうした力の配分も踏まえて、通常のフットブレーキは「前重視」で効くようになっているのです。
(参考までに、ほとんどの車で前後輪にブレーキが効く中で、実は古い自動車や一部の特殊車両には後輪だけにしかブレーキが付いていないものも存在しました。しかし現代の乗用車は基本的に4輪すべてにブレーキがありますので、「前も後ろも両方効いて当たり前」と思っておいて大丈夫です。)
まとめ
今回はフットブレーキの仕組みを中心に、サイドブレーキとの違いやエンジンブレーキとの使い分け、さらにはブレーキのトラブル現象まで幅広く解説しました。
フットブレーキは油圧と摩擦を利用して車の全輪を減速させる、とても重要な装置です。サイドブレーキとの役割の違いもお分かりいただけたでしょうか。サイドブレーキは駐車時のみの補助ブレーキで、フットブレーキとは目的も構造も異なることがポイントです。
また、フットブレーキを長く使い続けると起こるフェード現象やぺーパーロック現象についても紹介しました。どちらも山道などで誰にでも起こりうる現象ですが、エンジンブレーキを活用したり定期的なメンテナンスを行ったりすることでしっかり予防できます。そしてエンジンブレーキとの違いや上手な使い方も理解していただけたと思います。エンジンブレーキは怖がるものではなく、フットブレーキを助けて安全に走るための強い味方です。
フットブレーキは油圧と摩擦を利用して車の全輪を減速させる、とても重要な装置です。サイドブレーキとの役割の違いもお分かりいただけたでしょうか。サイドブレーキは駐車時のみの補助ブレーキで、フットブレーキとは目的も構造も異なることがポイントです。
また、フットブレーキを長く使い続けると起こるフェード現象やぺーパーロック現象についても紹介しました。どちらも山道などで誰にでも起こりうる現象ですが、エンジンブレーキを活用したり定期的なメンテナンスを行ったりすることでしっかり予防できます。そしてエンジンブレーキとの違いや上手な使い方も理解していただけたと思います。エンジンブレーキは怖がるものではなく、フットブレーキを助けて安全に走るための強い味方です。