2025年最新版:横出しマフラーは本当に合法?

マフラー 横出し

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「あなたは“横出しマフラー”と聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか?

――派手なカスタム車? それとも車検に落ちる危険な改造

実は、その答えはここ数年で大きく変わりました

もし今、『サイド出しは違法に決まっている』と思っているなら... その常識、すでに時代遅れかもしれません。

逆に、『方向規制が緩和されたから完全フリーでしょ!』と楽観視しているなら... 最新の騒音プレート義務化やOBD検査を見落としてはいませんか?

かつて“絶対に通らない”と言われた横出しマフラーが、なぜ合法の選択肢になり得るのか。
そして、新たに課された書類や電子診断のハードルをどうクリアすればいいのか。

この記事では、そんな疑問を抱くあなたに向けて、2017年の規制緩和から2025年現在の最新ルール、さらには今後控えるフェーズ3騒音規制までを、分かりやすく解きほぐしていきます。

CARPRIME編集部

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Chapter
はじめに
開口方向はどう変わったのか?
騒音規制はどう変わったのか?
電子診断はどう変わったのか?
サイド出しのメリット・デメリットはどう変わったか?
市販車・社外品はどう変わったか?
検査をクリアする実践手順――2017年 vs 2025年
将来展望――フェーズ3騒音規制とEV時代
おわりに

はじめに

2017年6月22日、道路運送車両の保安基準が改正され、「排気管は車体後部または下方」「左右30度以内」といった開口方向の制限条文が丸ごと削除されました。

これにより、右向き・左向きに排気する横出しマフラーはもちろん、上向きや前向きの排気まで法的に可能となり、それまで“車検不合格の象徴”とされたサイド出しが一転して合法のステージへ躍り出ます。

ところが2024年9月には加速走行騒音(ASEP)の事前認証プレート義務化が始まり、同年10月からはOBD(車載式自己診断装置)検査が本格運用。形状は自由でも書類や電子診断でNGを突きつけられるケースが増えました。

この記事では、2017年当時のルールと2025年現在のルールを一つひとつ対比しながら、横出しマフラーを合法かつスマートに楽しむための手順と注意点をわかりやすく解説します。

開口方向はどう変わったのか?

2017年以前:後方排気“縛り”の時代

改正前の保安基準では、排気ガスを後続車や歩行者に浴びせないという理由から「排気管は車両後部または下方に配置し、中心線から左右30度以内」と定められていました。

横出しはもちろん、北米仕様のSUVのように右側へ軽く斜めに向けるだけでもアウト。輸入車ディーラーは日本専用の曲げパイプを作り直し、コストをかけて後向きに改造していたのが実情です。

2017年改正:開口方向条文がごっそり削除

2017年6月22日の改正では、この開口方向条文そのものが削除されます。有害物質の低減とエンジン排温の低下によって「方向縛りの必要性が薄れた」こと、そして海外仕様と日本仕様の共通化を図りたいメーカーの声が背景にありました。

結果、横出し・上向き・前向きまで理論上は自由という画期的な緩和に至ります。

2025年現在:方向規制は依然“自由”のまま

改正から8年が経った2025年も、「どの方向に排気しても良い」という方針は一切変わっていません。

よって横出しマフラーは方向だけで車検に落ちることはなく、突起規定(車体から10mm以上はみ出さない、尖端が鋭利でない等)とナンバー視認性、熱害防止を満たせば合法です。

騒音規制はどう変わったのか?

2017年当時:近接排気騒音と実測主義

2017年当時、マフラー交換の車検合否は近接排気騒音値(規定回転数でマイクを当てて測定)が基準でした。

社外マフラーでも測定値を満たせば「ニコイチ」で合格できるため、ワンオフ品やカッター溶接での“現場対応”が横行していました。

2024年以降:加速騒音プレート“義務化”

2024年9月1日からは、平成22年4月以降に製造された車両に対して加速走行騒音試験の事前認証(JQR・JMCAなど)を受けたマフラーだけが有効という制度に様変わりしました。

“現場測定”はほぼ不要となり、プレートが無ければ受付拒否。騒音で迷う余地がなくなった分、ユーザーは「認証の有無」でマフラーを選ぶ時代に入りました。

2025年の現実:書類がすべてを決める

現在の継続検査では、認証プレートの刻印位置が錆びて読めない、板金塗装で剥がしたまま忘れた――それだけで不合格になります。音量が静かかどうか以前に“書類の有無”が最重要であり、ここが2017年と決定的に異なる点です。

電子診断はどう変わったのか?

2017年:OBDスキャンは参考扱い

2017年時点でもOBDポートに診断機を挿してチェックする検査場はありましたが、あくまで補助的な参照にとどまり、不合格ラインではありませんでした。

2024年10月〜:OBD検査が正式な落第ポイントへ

同年10月から開始したOBD検査は、排気温センサー断線や触媒効率低下など排ガス系DTCが残っていると即不合格。マフラーを横出しに換装する際にO2センサーを延長し損ねて電圧異常が出る、そんな単純ミスでも車検は通りません。

2025年:マフラー交換=電子診断リセット必須

今ではマフラー交換後にDTCを消去し、学習走行で再発しないか確認するのが整備工場の常識になりました。つまり機械的な“通し方”から、電子的な“証明と管理”へ検査の判断軸が移ったわけです。

サイド出しのメリット・デメリットはどう変わったか?

2017年の魅力と課題

改正直後「横出しなら最短排気でレスポンスアップ」「見た目がUSDMっぽくカッコいい」という高揚感が先行し、熱害や煤汚れ対策は“やってみて不具合が出たら考える”というムードでした。

2025年の現実的な評価

8年が経過し、サイドスカートの焦げ・排気巻き込み臭・縁石接触など具体的なトラブル事例が蓄積。

現在は遮熱板追加やテール長さ調整など、実践的なノウハウが整い、派手さより耐久性と検査適合性のバランスが重視されています。

市販車・社外品はどう変わったか?

2017年:横出し純正は輸入車だけ

当時はメルセデスAMG Gクラスや北米ピックアップなど、一部輸入車が横出しを装備していましたが、国内量販車での採用例は皆無でした。

2025年:純正横出しがチラホラ登場

現在では、G63が本国仕様のまま販売されるほか、一部スポーツモデルが上向き排気でダウンフォースを稼ぐなど、レイアウト自由化の恩恵が実車に反映。

加えて社外パーツ各社が認証付きサイド出しを相次ぎリリースし、「量販モデル+合法横出し」が当たり前の風景になりました。

検査をクリアする実践手順――2017年 vs 2025年

2017年モデルの通し方
  1. 近接排気騒音を測定し、規定値以下であることを確認。
  2. マフラー突出を10mm未満に調整し、尖端を面取り。
  3. ナンバープレートが隠れないようテール位置を微調整。

2025年モデルの通し方
  1. 認証プレート付きマフラーを選定し、刻印を写真保存
  2. OBDスキャンでDTCがゼロか確認し、必要に応じて補正。
  3. サイドステップ裏へ遮熱シートを貼り、排気熱対策を施す。
  4. 排気巻き込みでナンバープレートが汚れない角度に微調整。

手順を比べると、2017年は測定中心2025年は証明書類と電子診断中心という違いが一目瞭然です。

将来展望――フェーズ3騒音規制とEV時代

2026年7月開始予定のUN ECE R51-03フェーズ3は、騒音上限をさらに引き下げ、サイレンサー容量と熱耐久性への要求を高めます。

短い排気経路に大容量タイコを入れにくい横出しマフラーは、グラスウールの高耐熱化や多層断熱構造といった新技術の導入が欠かせません。

一方でEVシフトが進むと、物理的なマフラーそのものが姿を消し、「サイドパイプ」は過去の象徴としてデザイン的な装飾やエアロに転用される可能性があります。

おわりに

2017年の方向規制撤廃により解放感あふれるカスタム文化が芽生えた一方で、2024年の騒音プレート義務化とOBD検査導入によって、マフラー交換は“自由”から“管理された自由”へフェーズが移りました。

形状は自由だが証明が命という現在のスタンスを理解し、認証付きマフラー選びと電子診断クリアを徹底すれば、横出しマフラーは2025年でも堂々と楽しめます。

フェーズ3騒音規制やEV化が進んでも、法令とマナーを守りつつ“最後のアナログ装飾”を味わう喜びは決して色褪せないでしょう。どうぞ最新ルールを味方に、あなたらしいサイド排気サウンドを響かせてください。
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