輸入車と国産車で切れ角のセッティングはどれほど違うのか?

ハンドルを切ると、前輪が左右に動きます。この動く幅を切れ角といいます。切れ角が大きいほど、小回りが効きやすくなりますし、ドリフトでクルマをコントロールしやすくもなるといわれます。自動車の構造上、国産車でも輸入車でも切れ角の持つ意味や働きに違いはありませんが、実際のところ、切れ角のセッティングの違いはないのでしょうか?
ステアリングの切れ角とは?
ステアリングを回すと、前輪のタイヤが左右に動きます。切れ角とは、ステアリングをフルに切ったときに前輪が進行方向に対し、何度動いているかを意味します。
この切れ角は、左右同じではなく、左右の角度が異なっていることで、旋回時の安定性を高めています。それがターニングラジアス、またはターニングラジアルといい、ホイールアライメントを調整するうえで、重要な項目のひとつとなっています。
切れ角が大きい、小さいとどうなる?
ステアリングの切れ角は、どのようにして決まるのでしょうか?主な決定要因として、物理的要因と操安性的要因があります。
物理的要因としては、タイヤハウス内でタイヤが左右に切れるスペースを十分に確保できていることがあげられます。タイヤハウスを大きく、広く設計するためには、左右の前輪間の構造物を少なくするか、もしくは車両の全幅を広くとる必要があります。そのため切れ角を大きく取れる車種は、必然的にエンジンがフロントに無いMR、RR車、大型のFR、そしてトラック・ダンプカーなどの積載車となります。
ステアリングの切れ角が大きくなると、当然小回りが利く設定になります。とはいえ、切れ角を大きくすると、一般的なラックランドピニオン式のステアリングでは、切れすぎる状態になり、横転などにつながりやすくなったり、FFではドライブシャフトにトラブルが発生するなどの問題が起こります。
一方で、ステアリングの切れ角が小さいということは、物理的にみれば十分な大きさのタイヤハウスが確保できない、前輪間に構造物が多い車両といえます。つまり世界的に主流のFF車や4WD車に多く見られます。
ステアリングの切れ角が小さいと、小回りの利かない車両になります。しかし、FFの多くはそもそものボディサイズが小さく、現実的にはそれほどデメリットに感じないのです。
また、切れ角が適性値でない場合タイヤの摩耗が早くなる、旋回時の安定性に悪影響を及ぼし走行性能そのものが低下する、といった現象が発生します。
ホイールアライメントを構成する要素のひとつでもあるので、年に1度は点検しておきたいですね。