下り坂でNレンジに!これって正解なの?Nレンジの正しい使い方

シフトノブ

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2017年現在、日本で販売されている乗用車の9割以上が、オートマチックトランスミッション(以下AT)仕様だといわれます。ATの多くは、ゲートにP(パーキング)、R(リバース=バック)、N(ニュートラル)、D(ドライブ)がありますが、Nレンジの必要性が良くわからないという方が少なくないようです。みなさんは、Nレンジの正しい使い方、知ってますか?
Chapter
Nレンジは使った方が良いのか?
走行中にNレンジに入れるのは基本的にNG…
ではどんな時にNレンジを使えばよいのか?

Nレンジは使った方が良いのか?

2017年現在、CVTや多段化ATと進化したATは、かつてのように燃費が悪いなんて話も聞かれなくなってきました。

さて、このAT車のシフトゲートは、冒頭で記したように、P、R、N、D、2、1となっていることと思います。

停車時にはP、走行時はD、は常識ですよね。またNレンジ=ニュートラルは、ギアが入っていない状態というのもわかると思います。

Nレンジは、走行中であっても入れればギアがどこにも入っていない状態となり、エンジンはアイドリング時の回転数で維持されます。

そこで信号で止まる際に、早めにNレンジに入れたら、回転も落ちるし燃費にも良い、だとか、下り坂でNレンジにいれて惰性で走行すれば燃費が良くなる…なんてこと考えて、実行している方もいると思います。

しかし、結論から言うと、走行時(クルマが動いている状態)で、Nレンジは使わないほうが良いです。

確かに停車前にNレンジに入れて惰性でゆっくり止まることは可能ですが、その際、急に車を加速させることが求められても、咄嗟には反応ができないでしょうし、信号待ちなどの停車中、Nレンジに入れていることを忘れ、青信号になった時にアクセルを踏むとエンジン回転だけが上がってしまいます。

そんな時にあわててDレンジに入れてしまうと、ATミッションを痛めてしまう可能性がありますし、なにより急発進に繋がります。

下り坂でNレンジに入れて惰性で走る、というのも絶対に行わないほうが良いです。なぜなら、エンジンブレーキがまったく作動していない状態で坂を下ると、減速はブレーキに依存することになるわけで、長い坂ではフェードやペーパーロックといったブレーキのトラブルを誘発しやすくなります。

いかに近年のブレーキ性能が上がっているとはいえ、長時間ブレーキを踏みっぱなしにしていると、ブレーキユニットが耐えきれないほどの熱を持ってしまいブレーキの効かない状態になってしまうのです。長い下り坂で「エンジンブレーキを使いましょう」と注意喚起しているのは、そのためです。

走行中にNレンジに入れるのは基本的にNG…

前述のように、走行時にNレンジに入れることは、まったくもってオススメできないどころか、自ら危険を招く結果ともなります。

また、停車時にもNレンジを頻繁に利用している方がいるかもしれません。トルコンAT等はDレンジに入れることで、ATFオイルが循環する仕組みになっています。つまり、オートマオイルの循環が止まると、ATFクーラーでオイルを冷却することができず、オイルの劣化を早めたり、ATのコンディション悪化につながります。

そう考えると、停車中もあまりNレンジには入れない方が良いといえます。


ではどんな時にNレンジを使えばよいのか?

では、なんのためにNレンジがあるのかといえば、一番大きな理由としてはエマージェンシー用です。

ご存知のようにATは、Nレンジ以外はエンジンを止めてしまうと車両のタイヤはロックされた状態になります。もしも踏切内でエンジンが動かなくなってしまったなんてときに、AT車はNレンジ以外では、車はびくともしなくなってしまいます。こうした場合に、ギアをフリーにするNレンジに入れることになります。

ある意味身近な存在であるNレンジですが、このように極力使わない存在であるというのも興味深いところです。
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